年末になって、海の彼方から大変なニュースが飛び込んできた。ニューヨーク・ヤンキースの黒田博樹投手が、古巣広島カープに帰ってくるというのだ。今年のスポーツ界は話題に事欠かなかった。錦織圭(テニス)、羽生結弦(フィギュア―スケート)、萩野公介(水泳)……、しかしこれらはすべて吹っ飛んで、私は黒田復帰のニュースに感動し、喜びに浸った。
黒田投手は、ヤンキースの先発ローテーションを守り抜き、年俸約19億円、来年度もヤンキースは更改を望んでいたという。またタイガースなどから18億円などのオファーが示されていたともいう。大リーグにとどまれば広島の年俸(4億円プラス出来高給)の4~5倍は稼げたのだ。
それをすべて振って、「育ててくれた広島でもう一度プレイしたい」と帰ってきた。カープは貧乏球団だ。金で買えないので一生懸命選手を育ててきた。そして育った選手の多くは巨人や阪神に出て行った。金と権威を求めてのことだ。残ったのは山本、衣笠、大野、野村など数少ない。
黒田は大リーグだから許していたが帰ってくるとは思っていなかった。背番号「15」を空けて待っていた広島も偉いが、それに応えた黒田の心意気は泣かせる。来年2月で40歳になる黒田は、それまで現地で調整して、2月の沖縄キャンプに合流するという。爽やかなり、40歳! というしかない。
40歳といえば他にもいる。旭天鵬が40歳を越えて、三賞受賞や幕内勝ち越しなど次々と記録を改めている。9月場所で初めてマス席から相撲を見たが、旭天鵬の美しい姿に惚れぼれした。控えめで淡々と記録を更新する姿は、これまた爽やかだ。
葛西紀明は41歳でオリンピック銀メダルを獲得(本年2月17日ソチオリンピック)し、その後も大会で優勝するなどレジェンドを重ねている。7回もオリンピックに出場すること自体考えられないことだが、だんだん成績を上げていくとは想像を絶する。驕らず、謙虚で、しかしここぞという時は万全の勇気をもって颯爽と飛ぶ。
2014年のスポーツ界…、それは「爽やかな40歳」につきる。