旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

今年も終わる … 意外に長かった一年

2019-12-31 16:44:21 | 時局雑感


 年を取ると一年の過ぎるのが早い、とよく言われる。事実このところ、毎年過ぎるのを早く感じてきた。ところが今年はそれほど早く感じなかった。12月に至ってはむしろ長く感じた。ふり返ってみるとそれは以下の理由によるようだ。
 第一は、この年になって「純米酒を楽しむ会」なるものを立ち上げ、主宰することになったこと。来年から年に二回行うことを考えれば、これは重い。第二に、予てから誘いを受けていた『旅のプラズマ』の電子書籍版を出すことになった。これは夢のある話ではあるが、今更…と思うと、余分なことに取り組んだものだと後悔している。
 第三は、新解釈による『資本論』が出版されることとなり(既に二分冊発行)、過去の「勉強会用レジュメ(60ページに及ぶ)」を新版に添って書き直さなければならない。これは、いよいよ目が悪くなった老人にとっては至難の大事業だ。
 第四に、暮れになって突如話題になった「パルマに行って生ハムを食べよう」というイタリア旅行の計画が持ち上がったことだ。これは現時点でも絶対に実現しないと確信しているが、最後の海外旅行としては限りなく魅力的だ。
 
 これらのことが総合して一年を長く感じさせたのではないか? これは85歳を迎えようとする老人にとって幸せなことであろうか? 全て身に余ることで、その限りでは決して幸せなことではないだろう。
  ただ、これらに結論を出す時間もなく、今年も暮れようとしている。
 やはり年寄りにとって時間の経つのは早いのだ。


今年の出来事④ 庶民の暮らし … 高田エージショーを見て

2019-12-29 16:39:33 | 文化(音楽、絵画、映画)


 何度も書いてきたように、日本は貧しい国になってきた。高度成長の中で築いた分厚い中間層は、中曽根内閣の戦後政治の総決算、小泉・竹中路線による競争原理の導入、という新自由主義の嵐の中で壊され、一部の富裕層と大多数の貧困層に分解された。その大多数の貧困層に属する庶民の生活は、ここ何十年も向上の兆しが見えない。安倍内閣はその総仕上げに励んでいる。

 久しぶりに高田エージのクリスマス・コンサートに参加した。吉祥寺の「曼荼羅」で、27年間続けているという。彼は歌う。

   今朝は 駅まで歩いて行った
   もしかして 幸せが落ちているかもしれないから

 彼らは大金持ちになろうなんて思っていない。大会社に入って出世しようなんて野望は抱いていない。道ばたに転がっている小さな幸せを探しているのだ。そして歌う。

   長いこと待たせてゴメンね
    ……
   世界中旅して探し回ったけど
   幸せってこんなところにあったんだ
    ……

 これは、とてつもなく貧しいことなんだろうか? いずれにせよ彼らは、そのままに歌い続ける。


    


今年の出来事③ 文化スポーツ … ラグビーからノーベル賞まで

2019-12-26 16:07:22 | スポーツ


 政治や経済分野の貧困に比べれば、スポーツや文化面では明るい話題が多かったのではないか? 書くことはいろいろあるが、ラグビーとノーベル化学省についてのみ触れておく。
 
 ラグビー世界選手権における決勝リーグ進出は、このスポーツの人気を一気に高めた。イギリスやオーストラリアなどに全く歯が立たなかったこのスポーツは、何かマイナーなスポーツという印象があった。子供の頃を振り返れば、どこの中学や高校にもラグビー部はあったのではないか? 正月の花園ラグビーや早明戦、また新日鉄釜石や日本製鋼所などのラグビーには、相当な人気があったと思われたにもかかわらずだ。
 今年のラグビーは、これらの印象をすべて跳ね返し、メジャースポーツの地位に駆け上った。しかも「オールインワン」という団体スポーツの原点を全国民に示して、深い感動を与えた。それだけでなく、ラグビーというスポーツがいかに紳士的なスポーツであるかを教え、「真のカッコよさとは何か」を示した。その意味で、今年はかけがえのない年であった。

 吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞した。何年か前から候補に挙がり、当然とるべき賞であったようであるが、いざ受賞してみると、その笑顔と共に内容の素晴らしさに感動した。まず民間会社(旭化成)の研究者であったことがいい。しかもこのリチュームイオン電池の研究成果は、私たちの日常生活の各所に生きているということだ。授賞理由も「私たちの生活に革命をもたらした」とされている。
 日本からの毎年の受賞に誇りを感じる。ただ、これまでの受賞者は、戦後復興、希望に燃えた高度成長期に育った方々で、そろそろ種が切れるのではないかと心配している。経済指標だけでなく教育指標における世界ランキングは、このところ下がりっ放しだ。教育指標の下降線は、国の将来に暗雲をもたらすもので、心は思い。

  
 
 松澤病院の最後の紅葉(12月14日撮影)


今年の出来事② 日本 … 台風による想像を超えた水害、風害

2019-12-23 15:46:51 | 政治経済


 今年も、日本にとっていいことも悪いこともたくさん起こった。中でも最も記憶に残るのは、異常ともいえる台風による水害、風害ではなかったか?
 日本にとって台風は、夏から秋にかけての年中行事のようなもので、水分を与え、海や大気を清浄化して自然の恵みのようなものに思えていた。従ってその台風に備え、川の氾濫に対しては堤防を、風圧に堪えるためには相応の強固な鉄柱を組んで備えてきた。ところが最近の台風はその想像を超えてきた。川は氾濫し想像を超える範囲を水が覆った。電気を運ぶ鉄柱は倒れ、広い範囲で生活の基盤をを失った。
 台風の質は変化し、これまでの人間の備えを超えるものになったのだ。しかもそれは人間が自ら生み出した人災であることも分ってきた。人類は欲望の赴くままに自然を破壊し石油や石炭を焚いて温室効果ガスをまき散らし、地球全体の温度を高めてきた。気温が上がると大気の水分(水蒸気)が増え、海の水温も上がり、台風は強い勢力のまま上陸し、これまで想像していなかったような豪雨や強風をもたらす。

 世界の良識派はこれを指摘し、国連などを通じて温室効果ガスの削減に力を合わせようとしている。高度成長を遂げた先進国日本はもちろんその責任の一端を担いでいるはずだ。ところがそれを討議する「COP25(第25回気候変動枠組み条約締約国会議)」に出席した小泉進次郎環境相は、依然として石炭火力の使用に固執する発言を続け、世界の批判を浴び、同会議が決する「化石賞」(気候変動対策に後ろ向きな国へ与える賞)を二回も与えられた。
 小泉進次郎と言えば、自民党の若きホープと言われている。その男がこの体たらくでは、日本に将来はないだろう。今年の「想像を絶した台風被害」は、まさに自業自得であったのかもしれない。

  
  松澤病院の紅葉②(12月14日撮影)


今年の出来事① 世界 … 英のEU離脱、中村医師殺害など

2019-12-20 10:37:13 | 政治経済


 EU離脱を掲げる保守党が総選挙で大勝し、イギリスのEU離脱が確定的となった。大先進国と思われていたイギリスは、EU離脱という大問題を軽率にも国民投票というポピュリズムにかけ、何か変化を求めた国民は軽い気持ちで離脱を支持した。現実に離脱に直面した国民はびっくりして国論は割れた。4年に及ぶ混乱にうんざりした国民は、閉塞感に打ちひしがれて「とにかくはっきりしてくれ」と,総選挙で明瞭な方向を出した保守党を支持した。
 最も先進的な国と思われていたイギリスは,大きな誤りを犯したのではないか? 人類史の方向は、分裂、孤立の道ではなく統一、融和の方向であろう。EUはその先端を行く試みと思われた。イギリスは、将来必ず後悔する時を迎えるのではないか?

 背景に米トランプの主張がある。保護主義、孤立主義、排他主義…、挙句の果てにメキシコ国境に壁を張った。人類史の方向に逆行しており、アメリカは世界のリーダーの地位から降りつつあるのではないか?

 アフガニスタンの国造りに生涯をささげた中村医師を、何者かが殺害した。この、余人をもって代えがたい人物を殺傷するなんて、およそ人間のすることではない。多くを書きたくない痛恨の一事だ。万物の霊長と言われる人類も、まだこの程度の水準にしかないのだ。


  
  松澤病院の紅葉(12月14日撮影)
  早咲き桜は紅葉を散らして、早咲きの準備を進めているようだ


「純米酒を楽しむ会」の今後の方向について

2019-12-08 14:34:43 | 


 既報の通り第1回「純米酒を楽しむ会」は、好評のうちに終わったが、今後も続けるとすれば、どのような基本方針をもって望むかについて打ち合わせ会を開いた。今後も続けるとすれば、運営体制を強化する必要があるので、有能な利き酒能力を持つN氏とTさんに、運営委員に加わってもらった。ご両人は、純米酒フェスティバルにはほぼ皆勤賞で、その他の酒の会など経験深く、今後の運営には欠かせない存在だと思ったからだ。二人とも協力を快諾してくれた。
 そこで話し合われた結論は、ほぼ前回の内容を踏襲するものであり、以下の通りとなった。

 ・年2回、4月と10月に開催。
 ・「酒について知りたい」という声にも応え、30分酒の話、2時間半酒を楽しむ
 ・7~8銘柄を楽しむこととし、内1銘柄を「蔵元ブース」として提供
 ・定員は60人規模とし、弁当付き着席制。抽籤付きお土産を提供(約15本)

 その方向で、次回は4月4日(土)と決定、提供銘柄やブース蔵の決定を急ぐことになった。第1回での出品8銘柄についての人気アンケートでは、ブースを出した『梵』が1位であったが、2位には『作』が入った。特に女性に人気が良く、「作待望論」があることから、次回のブースは『作』にお願いしたいと思っていた矢先、昨夜、「兜LIVE日本酒を蔵元トークとテイスティングで楽しむ会」の「作を飲む会」に出席した。
 これは『作』の六銘柄を「南町の串ひもの」でたっぷり味わうという贅沢で大満足をした。私はその合間を見て、来る4月のわが会にブースを出してくれないかと清水慎一郎社長にお願いをした。社長は、4月4日は今のところ空いているが、いろんな計画があるので検討させてくれとなった。勿論、会の詳細も分からないで即答できるわけではなかろうから、「あとで計画書を送りますのでよろしく頼む」と重ねてお願いしておいた。『作』は今や花形銘柄でもあるので、むつかしさもあるが、それだけに待望論も強い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


桜と共に散りはてた「民主主義国家」

2019-12-02 15:29:08 | 政治経済


 早くも12月、寒さも増してきたが世はまさに桜の花の花盛り…。テレビも新聞も桜の話ばかりである。
 春になると必ずテレビで放映されていたので、「桜を見る会」という会が行われていたのは知っていたが、こんな悪だくみな会とは知らなかった。何事も聞いてみなければわからない。国の税金を使いながら、こんな身勝手な会が白昼堂々と行われていたとは、知る由もなかった。同時に、このような会が他にも無数に行われているに違いないだろうと思った。
 新宿御苑を借り切り、きれいどころと写真を撮って、あれやこれやとハイタッチしてはしゃぎまわっていた安倍首相も、真実が暴かれると早々に幕を引き、来年はやめるといち早く宣言した。裏を取り仕切っていた内閣府やその官僚どもは、実態がばれては大変と書類一切をシュレッダーにかけて「知らぬ存ぜぬ」と逃げ回る。日本で最高の頭脳の持ち主ということになっている官僚どもが、半年や一年前のことを「わからない」、「記憶にない」と逃げ回る。その様は、あきれるというより何とも惨めであった。
 民放のある解説者が、「あそこで正直に真実を語れば彼の身分は一瞬に失われるのであって、のらりくらり逃げ回るところに日本官僚の優秀さがあるのだ」と言っていた。同時に「可哀そうですね」とも呟いていたが…。彼らは、「俺はこんな答弁をするために官僚になったのか?」と悲しく思はないのだろうか?
 それにしても公文書廃棄はひどい! もちろん「法律に則ってやっている」と理屈はつけている。しかし、野党に資料請求された直後にシュレッダーにかけるなんて、どう説明されても納得する人はいない。常識を持った人間ならば…。
 日本民主主義は地に堕ちたのではないか? いや、世界第二位と言われた経済が、バブルの崩壊とともにメッキが剥げて20数位に落ちたように、戦後あわてて身につけた民主主義も、実体を伴っていなかったのかもしれない。思えば、日本民主主義の歴史はまだ70年しかないのだ。安倍首相のような男には、どうにでも扱える存在でしかないのかもしれない。

 


投票ボタン

blogram投票ボタン