吉祥寺の『曼荼羅』で毎年12月23日に開かれるこのコンサートに、もう10年近く通っている。息子夫妻がギターとピアノで出演すこともあるが、高田エージさんの不思議な魅力にひかれての要因が大きい。
毎年ほぼ同じ歌を歌っている。そのマンネリズムがたまらなくいいのだ。このブログにも数回書いたが(2008. 1.13と12.27付、2010.12.25付、2012.12.31付など)、読み返すとほとんど同じことを書いている。中でも「そのままでいいよ」と「永遠だったらいいなあ」の2曲が好きで、とくに最後に「永遠…」を歌うと安心して家路につける。マンネリズムの力というしかない。
今回エージさんが専ら話題にしたのが、大橋恵(ピアノ、息子の嫁)の懐妊のことだ。妊娠5か月で大きくなったお腹をかかえて弾くピアノを、エージさんは、「何か違うなあ…」、「音がやさしい…」、「一人ではなく二人で弾いてるんだなあ…」などと、曲の合間に何度も語った。そして息子に向って、「首藤君、…人生だなあ。君はこの間、大学に入り、卒業し、結婚してパパになろうとしている…、人生だなあ…」と、これも何度も語った。
高田エージさんは、同じ歌を歌い続けながら、それに人生の変化を重ね合わせている。マンネリズムと言ったのは失礼になるかもしれない。しかし変化を見ながら、「そのままでいいよ」と言い続ける。なにもしないそのままが一番美しいことを知っているのだ。偉大なマンネリズム、と言うべきか。
左から、ボーカル高田エージ、ピアノ大橋恵、ギター首藤潤
演奏後「恵チャンの安産を願って」と声を合わせるメンバー