旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

トルコの本は売れているか

2009-07-31 16:47:59 | 

 トルコに行くとなれば、トルコについて知りたくなる。ガイドブックは有力な材料であるが、言うなれば表面的である。どんな町があり、どんな遺跡があり、どこが景色がよく、またどんな酒や食べ物があるか、などを知るにはまずガイドブックから入る。
 しかし、何故そこにそのような遺跡が生まれ、そのような生活や食べ物や文化が生まれたかは、やはり歴史書や小説などを読まねば分からない。そのようなうってつけの書物があるだろうか?

 いいかどうかは分からないが、とりあえず読もうとして四つの本を選んだ。村上春樹『雨天炎天』(新潮文庫)、池澤夏樹・渋沢幸子『イスタンブール歴史散歩』(新潮社)、塩野七重『コンスタンチノーブルの陥落』(新潮文庫)、小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書)の四つである。
 新潮社が多いことに特に他意はない。本を選んだら結果がそうなっていた。村上、池澤、塩野など有名作家に偏ったがこれも他意はない。やっぱり売れっ子さんたちがトルコに行っているのだ、とむしろ驚いている。あらゆる国に行って多くの本を書くので売れっ子になるのかなとも思った。

 早速会社近くの中野坂上文教堂さんに立ち寄ったが、『雨天炎天』のほかは品切れだった。
 やはりトルコは人気がいいので、本がよく売れているのだろうか?
 いや、あまり売れないので常備してないのだろうか? 村上春樹ぐらいになると、トルコだろうとどこの国だろうと売れるので常備しているのかもしれない。いや、やはり人気がいいので品切れになったのだろう、と言うことにして、後の3冊の取り寄せを頼んだ。
 2~3日で来ると言うので、何も一緒に買うことは無い。『雨天炎天』をゆっくり読んでいれば、ちょうど読み終えた頃に後の3冊が来るだろう。
                            


トルコへ急接近

2009-07-29 17:29:46 | 

 トルコツアーを申し込んだところ、JTBさんより「満員、キャンセル待ち」の返事を受けて、「トルコは遠くなろうとしている」と書いた。あまり物ごとに動じない、というか一喜一憂しないワイフは「きっとキャンセルがあるわよ」と預言者めいたことを言っていたが、申し込みをモタモタしていた私としては責任も感じ、何となく気が沈んで「遠ざかるトルコ」を恨めしく思っていたのだ。
 仲間の一人は早くも「残念ですねえ・・・、まあ、来年を期しますか」などとメールを寄越して来て、先の短い年寄りにしては意外にあっさりしているなあ、などと思っていたのだ。

 ところが、早くも昨夕「申し込みどおり全てとれました」とJTB担当者から連絡があった。「へえ、そんなに早くキャンセルってあるものですか」と問うと、「ハイ、キャンセル待ち1位でしたから必ずとれると思ってました」とケロリとしている。なーんだ、心配するんじゃなかった、と気をもんだ自分を悔やんだのであるが、とにかくメデタシということに相成った。

 決定となると急激にトルコが近づいてきた。出発まで余すところ2ヶ月ない。改めてコースを確かめ、行く先々のガイドブックをめくる。だんだんその街を歩いているような気分になってくるので、旅とは行く前も楽しい。
 これまでの海外旅行では、ツアーでありながらオペラ鑑賞など独自計画を盛り込んだりしてツアコンさんに迷惑をかけて来たが、今回は年齢のことも考えて、全て搭乗員に従う旅をするつもりであるので準備するものは無いが、その国、その街についての予備知識だけは持って行きたい。
 これから数十日、トルコを勉強する毎日が続くことになるのであろう。
                             


トルコが遠くなろうとしている

2009-07-27 17:20:51 | 

  620日の本稿で「トルコに行きたい」と書いた。久しぶりに旅仲間とビールを飲みながら、一挙に盛り上がった計画であった。ただし既に行った連中を除くと、私とK氏の二人だけになったので、仲間を集めるべくもたもたしていた。
 ようやく参加者五人となったので、先週JTBさんに「まんぞくトルコ周遊8」という8日間コース(922日出発)を申し込んだ。80歳の後期高齢者を先頭とする我々としては八日間が精一杯で、しかも、長距離バスや夜行寝台列車などを極力避けようとし(つまり飛行機で出来るだけ目的地近くまで行けるコース)、かつ目玉の個所ははずさないと言う欲張り満々で選んだのだが、それだけに人気コースのようで、定員いっぱいのキャンセル待ちという返事が返ってきた。

  トルコは人気がいいとは聞いていたが、それだけ各旅行会社のコースはごまんとあるので、2ヶ月前なら十分だろうと申し込んだのだが、世の中そう甘くはなかった。みんな考えることは同じなのだろう。 
 したがって、出発日を変えようかなどいろいろ検討中だが、そのうちの一人が超多忙人間で、その他の日程では参加が難しい。JTBの担当者はキャンセルの出る可能性は高いのでしばらく待て、と言うが、それこそそう甘くはないだろう。

 ただ、行けないかもしれないと思うと一層行きたくなるのが人情の常、祈る思いでキャンセルの出るのを待っている。
 トルコは半分東洋にまたがっている国というのに、思いのほか遠いところだ。
                            



うらなり選挙に実は実るか?

2009-07-25 21:17:30 | 政治経済

 選挙の顔(麻生首相)が現れて一年近く待たされてようやく選挙が始まった。「うらなり選挙」とでも言うべきか。選挙の顔に生気なく、うらぶれ果ててやぶれかぶれに伝家の宝刀を抜いたという感じだ。抜いた刀は、当然のことながら、竹光にもならぬなまくら刀と言うほかあるまい。
 一方の民主党も、一年近く攻め手を欠いて、それどころか党首に次々とほころびが出てくる有様だから、相手に抜かれたのがなまくら刀でよかったと言うべきだろう。本当に真剣を抜かれたらひとたまりも無いところだが、神は慈悲深く、双方にそれぞれふさわしい武器を持たせたのであろう。

 ところで国民はそんなのんきなことを言っていられない。
 小泉竹中路線で弱肉強食の社会に放りこまれ、大変な数の国民が貧困の中に放り出された。自由な競争の中で企業が伸びれば、そのおこぼれが全国民に施されると言うので信じていたら、施されたのは貧困と諸費用(医療、教育その他もろもろ)の負担増であった。
 これだけは何とかしなければならない。何かが間違っているに違いないので、それを見つけ出して、それを正す方向に日本を持っていかなければならない。戦後あれほど苦労して日本を成長させ、世界第二の国まで持ってきたので、もう「働いても食っていけない」というような状況は生じないと思っていた。それが生じているのは、何かが間違っているからだ。
 今度の選挙で、その原因だけは見つけ出し、それを少しでも正そうとする方向を探そうと思っている。
                            


24節気の酒 ・・・ 大暑

2009-07-24 13:54:29 | 

 昨日が24節気の大暑。暑中も今日から後半に入ったわけだ。23日、ないしはそこから8月7日の立秋までが大暑で、暦便覧によれば「暑気いたりつまりたるゆえんなればなり」とあるので、暑さもここに極まる時節と言うわけであろう。
 しかし、このところ雨が続き気温は上がらず、気象庁も一旦宣言した梅雨明けを取り消す検討をしているそうだから、どうも昔のように季節のけじめはつけ難くなったのであろう。ただ蒸し暑さだけは堪らないが。
 因みに、立秋前の18日間が「土用」で暑中と重なる。体力消耗に備えて土用の丑の日にはうなぎを食べる慣わしがあるが、今年も家で1
回、昼食の飯屋で2回食べたので、何とか生き抜いていけるであろう。

 さて、この時節の酒は何だろう。夏といえばなんと言ってもビールだ。既に5月5日の立夏にビールを採り上げた。夏が始まる、といえば先ず飲みたくなるからだ。そのとき飲みたくなるビールは、のど越しで飲む下面醗酵のピルスナービールであるが、ビールにはもう一つ上面醗酵ビールがある。
 
下面醗酵ビールは醗酵後に酵母が下面に沈み、それを抜き取って上澄み部分を飲むので、前述したようにのど越しに良い。反面、上面醗酵ビールは醗酵後に酵母が上面に浮き、生きた酵母のまま飲むので、どちらかといえば味わって飲むビールだ。典型がイギリスのエールとベルギービールだ。
 特にベルギービールは、その味を最大限に楽しめるように、銘柄ごとにグラスが決まっている。各銘柄で若干違うが、香りを楽しむものは、香りが逃げないようにチューリップ型が多く、味を楽しむものは写真の「ORVALオルバル」型、また縦長で中の膨らんだもの(味も香りも逃がさない)や上の開いたもの(むしろのど越し向き)など様々ある。実に贅沢な国である。

 立秋の前日、つまり8月6日にベルギービールを飲みに行く約束がある。暑中の最後を、「ムール貝のワイン蒸し」や「牛肉のビール煮」などで、いろんなベルギービールを飲むことを楽しみにしている。
                            


神のいたずらか・・・、雨の皆既日食

2009-07-22 17:36:10 | 時局雑感

  陸上での皆既日食は46年ぶりという話であるが、話題の悪石島(こんな名前の島があることは今度初めて知った)は雨の様子だ。観光と二股かけて多くの人が押しかけた上海なども悪天候のようだ。
 神は人間を懲らしめようとしているのではないか? 自然を破壊しつづけてそ知らぬ顔をしている人間どもが、日食となればその自然の美しさを味わおうとワンサと押し寄せる。そんな良いとこ取りは許さない、という神様の気持ちもわからぬでもない。

  一番典型的なのは東京だ。75%でも欠けるところを見ようなどと思っていると朝から雨、日食の始まる頃には雨は上がったが、太陽は厚い雲に閉ざされている。テレビで硫黄島の中継など見ていたが、ちょうど日食の終わった時間に一瞬晴れた。
 神は、日食は見せなかったが、終わった時点で「ちゃんと太陽は元通りですよ」と示してくれたのだろう。悪い人間が一番多く住んでいる東京に対する仕打ちかもしれないが、いくら神でもちょっといたずらが過ぎるのではないか?
                               


素晴らしきかな ワトソン

2009-07-20 16:24:15 | スポーツ

 全英オープンの、トム・ワトソンの2位には驚いた。17歳の石川遼に気を取られていたところ、59歳のトム・ワトソンがするりと勝ち抜いていた。昨年は確かグレグ・ノーマンが優勝に絡み大いに沸かせたが、今年は還暦前のワトソンが出てきた。
 1977年のターンベリーでの、「真昼の決闘」と呼ばれたジャック・ニクラウスとトム・ワトソンの優勝争いが歴史に残るが、そのターンベリーの勝者は未だ健在であったのだ。残念ながら今回は2位に終わったが。

 ワトソン風の顔は、アメリカ人の一部を占めていると思っている。大統領のジミー・カーターも同種だと思う。いずれも、さわやかで涼しげな顔だ。カーター大統領など特に実績を上げたのかどうかわからないが、最近でも「平和外交」などになると彼が登場したりしている。
 ワトソンは最早消えたのかと思っていたら、ドッこい、『ジ・オープン』となればチャンと出てきて、59歳で優勝を争う。
 それにしても、18番ホールの最後の2.5
メートルパットをはずして勝利を逃した。それまで10メートル以上や8メートルパットなどをねじ込みながら、最後の勝機は「還暦の男」にも重いのであろう。しかし、72ホールを同率首位で終えたことは、実質勝利に値しよう。素晴らしいことだ。

 とにかく、そのさわやかな立ち居振る舞いに接しただけで、第138回全英オープンを見る値打ちがあった。
                            


石川遼選手の全英オープン

2009-07-18 14:40:45 | スポーツ

 イチローと並んで世界に羽ばたくスポーツ選手の一人に、今や人気の石川遼選手がいる。17歳にして初めて出場する全英オープンで、初日からタイガー・ウッズと同じ組で戦うなど何か神がかり的な舞台装置で、その未来がいっそうばら色に輝いたかに見えた。
 結果は敢えなく予選落ちで、多くのファンはさぞがっかりしたことであろう。しかし私は、この17歳の青年の未来にとっては、むしろ良かったのではないかと思っている。138回の歴史を持つ世界最古の大会の壁は、そう簡単なものではないことを知っただろうし、その重みをどう受け止めるかに、彼が将来大成するかどうかの鍵がかかっていると思うから。

 それにしても大器の片鱗を見せた選手である。一緒に回ったタイガー・ウッズが、石川の高い弾道を見て「将来世界を戦い抜く素養がある」と言ったそうだが、他にない何かを持っているのであろう。
 大きいスイング、早いヘッドスピード、高い弾道・・・、自己の持つ能力を、イギリス西北部特有の強風と雨の中で、物怖じすることなく発揮したこと、これが何よりも素晴らしいことであったのだろう。
 全英オープンと言う舞台は、17歳の青年にとっては、いくらプロといえども順位や賞金の対象ではなく『修練の場』であるはずだから。
                   


イチロ-、執念で手にしたオバマのサインボ-ル

2009-07-17 10:29:47 | スポーツ

 米大リーグオールスター戦に出場したイチローが、始球式を行ったオバマ大統領からサインボールをもらった記事が各紙に掲載された。
 ボールにサインする大統領の傍に立つイチローは、少年のような喜びを体いっぱい表してている。新記録を打ち立てたときも表情を崩すことの少ないあの冷徹なイチローにしては、珍しくはしゃいでいるかに見えた。よほどうれしかったのだろう。イチローをそんなに喜ばせたオバマという人間にも、改めて頭が下がるが・・・。

 大統領からサインをもらうことは、リーグとしては禁止していたようだ。ところが「ロッカーのいすに置いてあったボールが転がり落ち、偶然にも大統領の足元へ」(7月16日付日経新聞32面)、拾い上げた大統領が「サイン欲しいかい?」(同)となったと言う。
 物事はそんなにうまく行くものだろうか? 「偶然にも」というのがなんとも怪しい。私は、これはイチローが仕組んだに仕業に違いないと確信している。
 彼は大統領からサインをもらう方法を考え抜き、しかもリーグの禁止事項に触れないように「偶然にも」起こった事件を仕組んだのだ。そもそも彼が執念を燃やす『ヒット』なんて、バットを振り回していれば偶然にも生まれるものではない。特に彼のヒットは、執念に執念を重ねて生み出したという感さえする。
 今回の「大統領の足元へ転がったボール」もその延長線上にあったに違いない。そこにイチローの凄みを感じた。
 一方大統領も相当なものである。いすから転がり落ちたボールなど無視しても(むしろ無視した方が)大統領としては自然で、威厳を損なうこともない。しかしイチローの執念を読んだのか、さりげなく拾い上げサインするところが、「
ただ者ではない」(イチローの言葉)のであろう。

 常人をはるかに超えた二人の人間が、一瞬に演じた超人芸といえよう。
                           


「名古屋純米酒フェスティバル」から得たもの

2009-07-15 16:37:19 | 

 前回書いたように、名古屋での初めての試みは成功したと思っている。250人の参加者は、整然と楽しく純米酒を味わっていただいた。人数的にもちょうどよく、参加者は蔵元とも十分に話し合いながら酒を楽しんだのではなかろうか。

 23蔵の出展を頂いたが、そのうち地元から6蔵出展いただいた。岐阜県から揖斐川町の「房島屋」、中津川市の「三千桜」、恵那市の「女城主」、愛知県から安城市の「神杉」、常滑市の「白老」、それに三重県鈴鹿市の「作」(いずれも銘柄)の6蔵である。
 これらの蔵からは、もちろん山田錦を使用した酒も出されたが、五百万石の酒も多く、また、“にしほまれ”(房島屋)、“愛山”(三千桜)、“ひだほまれ”(女城主)、“若水”(神杉)、“自社若水”(白老)、“神の穂”(作)など、地元米や工夫を凝らした米を使用した酒が出品され楽しかった。全ての酒をじっくり味わう時間は無かったが、いずれも実に個性的な味わいを持つ酒で、「これぞこの地の酒」と名古屋で開いた意味を噛みしめた。
 今年は3月に、「而今」、「奥」、「滝自慢」、「九平次」さんと三重、愛知の蔵を回り、今回また前記6蔵の個性ある酒を飲む機会を得て、中部圏の酒の底力を感じた思いだ。このような基盤が、“よき酒仙”250人の参加者を生み出したのであろうと思った。
 やはりその地に出向かなければ分からないことが多い。このような会を全国あちこちで開ければよいのであろうが、なかなかそうもいかない。今後のあり方を検討しなければならない。

 そのほか面白かったのは、フィリップ・ハーパーさんの作った「玉川自然仕込(Time Machine)」と「龍力特別純米“雄町1999”」だ。前者は、88%精米の“いせひかり”を蔵付酵母で醸した酒で、日本酒度マイナス72度という超々甘口の酒だ。昔の造り方で造ったというハーパーさんのすすめで飲んだが、甘いが透明感もあり、数年か10年ぐらい寝かせたらすごい酒になるのではないかと思った。
 後者は、ちょうど10年前の酒で、10年目を迎えた純米酒フェスティバルを祝う酒にふさわしく、これまた日本酒度マイナス1と甘口で、10年のエイジングの効いた旨口酒であった。日本酒もいろんな工夫が生きてくる時代を迎えつつある。
 
(注)写真は三千桜蔵元と、お酒の研究者でもある名古屋産業大学の和泉教授

                            


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