旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

猛暑は何処へ … 急激に冷えてきたが、あなたはまだ燃えているか?

2015-08-30 16:23:30 | 時局雑感

 

 8月も終わろうとしている。記録的な猛暑はウソのように去って、一足飛びに冷たい秋が来た。まだ8月というのに、秋冷の時節となった。もっとも、立秋ははるか前(8月8日)に迎えたので、天は、自然のままに取り計らっているよ、と言うのかもしれない。それにしては、その前の猛暑も「自然のまま」にしてほしかったと言いたくなるが。

 世界陸上は、またしてもウサイン・ボルトで燃えに燃えている。勝つべき者が勝っていると言えばおしまいだが、日本選手は不甲斐ないのではないか? 日本だけ秋風が吹いているわけではあるまいが、冷え切ってしまっているのではないか?
 経済も怪しくなった。株価2万円を維持して好調に見えたが、季節通りに一気に急落した。少し盛り返してはいるが、中国経済はもとより、不安材料は数えきれない。アベノミクスにも秋風が吹いてきたのではないか?
 政治はどうか? 戦争法案をめぐる議論は白熱化している。様々な質問に政府はまともに答えていない。同じことの繰り返しで答えにならず、審議が続くにつれて国民は反対の意向を深めている。違憲法案をめぐる国民の反対運動は燃え盛ってきた。
 ここだけ秋風は吹いていない。「戦争だけはしない」、「戦場には誰も送らない」…、これこそ戦後民主主義の基調であり、今、それが問われているから国民は燃えているのであろう。この過半の意思(注)を踏みにじって、万が一強行採決により法案が成立しても、この国民の意思が燃え続けている以上、法案を実行させることはないだろう。
 あなたは燃えているか?

 (注)各報道の世論調査によれば、衆院の強行採決反対は7割、
    戦争法案に反対は6割以上となっている。

      


お酒のさかな 話題篇(4) … 冠婚葬祭と酒、次は冠

2015-08-23 16:48:14 | 

 

 冠婚葬祭の酒としては、まず「冠の酒」を語るべきであったかもしれない。
 冠というのは、本来は成人の儀式のことで、いわゆる昔の元服をさすのであろう。これは酒で祝うにふさわしい行事といえよう。しかし、元服と言えば15歳で行うのであるが、昔は15歳で酒を飲んでいいことになっていたのであろうか?
 現在の「冠」はただ成人の儀式だけではない。それから転じて、昇進、昇給昇格、褒章など、人の成長段階で行われるさまざまな行事全般を指すようだ。そして、これらは一般におめでたいことなので常に酒がつきまとう。
 なかでもサラリーマンにとって、昇進昇格などは最大の関心事であり、自分のことであろうが人のことであろうが、とにかく集まって話題にする。人の昇進につき心からそう思っているかどうかは別として、とにかく「おめでとう」と酒を酌み交わす。
 どこの職場にも、人事情報屋と称される人間が必ず居り、どこで仕入れるのか、また真実なのかどうかは別として、まことしやかな話を披瀝する。「あいつは誰だれに取り入って、力もないのにえらくなった」など、やっかみも含めて話題は尽きない。だから、本人不在でも酒の会は成立する。しかも話題に不足することはない。

 この昇進昇格などに伴うのが転勤である。またサラリーマンにとって転職を伴う栄進も数多くあり、これらは別れを伴う。この別れを惜しむ会は酒なくしては有り得ない。これまでの交友を懐かしみ、行く先の不安を除くための励ましが、酒を酌み交わしながら延々と続く。

 「…君にすすむ更に盡せよ一杯の酒
   西の方(かた)陽関を出(いず)れば故人なからん…」  (注)

 抱きあって涙しながら唐詩を高吟する。「初めてのあの地に赴けば、友は誰もいないのだろう。さあ、もう一杯飲んで行け」と杯を差し出して励ます。「…なからん、なからん 故人なからん…」といつまでもリフレインを繰り返し別れを惜しむ。
 冠…、すべて酒なくしては行われ難い行事である。

 (注)唐の詩人王維の別れの歌
    「送元二使安西(元二を安西に使いするを送る)」より後半部分

    


孫のお食い初め

2015-08-15 14:12:59 | 時局雑感

 

 昨日は、孫遥人(はると)のお食い初めの儀式があった。正に「儀式を行った」という感じで、本人は何のことだか分からなかったと思うが。
 お食い初めというのは、子供が生まれて100日前後経った頃、生涯にわたって食べることに不自由しないよう、その子に初めて食べ物を食べさせる儀式ということだ。もちろん本人はまだ食べることなどできないので、ほんのまねごとをするだけであるが。
 新宿小田急の『なだ万』さんで行ったところ、孫のために立派な料理が出てきた。先ずは、赤色の漆器(男児は赤、女児は黒らしい)で高足の御膳に、飯椀、汁椀、煮物椀、つぼ椀(酢の物、香の物)の四つの御椀が並び、まん中に高杯がすえられ、そこに歯固め石が乗っている。加えて、鯛皿が添えられ、立派な尾頭付きが跳ねている。歯固め石というのは、なんでも噛み砕ける立派な歯が育つように願ってなめさせる石とのことだ。

  
           


 とにかくこれらの料理を、次々と口に持っていく。最近時々笑顔を見せるなど反応を示しだした遥人君は、いくつかに口を開け気味に食べる気配を示したかに見えたが、歯固め石に至っては、「こんなもの食えるかよお…」と不機嫌な顔をした。まあ、この根性なら立派な歯が育つであろう。

        
   歯固め石をなめさせる

       
      無事に儀式を終えて、両親ともどもホッとしました


2年ぶりの東京湾華火

2015-08-09 14:10:00 | 時局雑感

 

 2年ぶりに東京湾華火を見た。例によってわが社のオフィス――浜松町の貿易センタービル前にある浜松町スクエアビルの16階、からの観賞だ。東京湾を眼下に見下ろす冷房完備の部屋で、椅子にふんぞり返り、杯を手にしての見物だ。
 こう書くと、人にうらやましがられそうだが、夏の花火は、猛暑の中を群集とへし合い、杯ならぬアイススティックでもかじりながら見るのが本来の姿かもしれない。少なくとも東京人には、これこそが江戸っ子の花火見物だ、と叱られそうだ。まあ、80歳の年寄りに免じて、こんな見物も許していただきたいが。
 花火の美しさに理屈は要らない。以下に、何枚かの写真だけを掲げておこう。ただ、猛暑にかまけて三脚を持って行かなかったので、全て手振れだ。老衰とお酒の酔いも手伝ってのことだが。

 
   
     


  これは何を表しているのだろう
   クマか? 
      ?

  


 スイスから帰京中の姪の娘ルナちゃんは、初めて見る大規模花火を喜んだ。最初から机の上に中腰になって見ていたが、大きな美しい花火が打ちあがると、立ち上がって拍手。

  
             

  
 
      


お酒のさかな 話題篇(3) … 冠婚葬祭と酒、まずは婚、葬 

2015-08-03 14:25:45 | 

 

 このところいろいろあって、酒肴シリーズのことを忘れていた。加えてこの猛暑だ。酒など飲む気もしない。と言いながら毎晩飲んでいるが。
 酒飲みにとって一番大変なことは、酒を飲む言い訳をつくることである。何か理由がないと心行くまで酒を飲みにくい。特に理由もなく飲む晩酌などは、それ相応に量は控えめとなる。もう一杯飲みたいな…と思いながらも、思いとどまる。酒飲みというのは、常に周囲(特に家族)から白い目で見られているという不安があり、この不安と闘いながら飲み続けるところに酒飲みの苦悩があるのである。酒を決して悪いものとは思わないにもかかわらずである。
 この苦悩を一気に吹き飛ばしてくれる大義名分が、冠婚葬祭の酒である。特に結婚式と葬式は、時と所を問わずにやってくる。暑かろうが寒かろうが、黒の礼服にネクタイを締めて出ていく。家を出るときは殊勝な顔つきをしているが、出来上がって帰ってくる姿はほとんど同じである。それは、ネクタイの色が違うだけで、そこで行われる酒宴(含む二次会)にほとんど相違がないからである。
 思えば面白いのは、結婚式はお祝いであり葬式は悲しみである。しかしどちらも酒を飲む。通夜は別としてさすがに葬儀ではその場で酒は出ないが、お浄めと称して必ず飲み屋に集まりじっくり飲む。結婚式をお祝いとして飲むのなら、葬式の時は酒を断って悲しみに浸る、というわけにはいかない。
 もちろんその話題はその日の主人公、新婚夫婦と死者を取り巻く話題である。「いい夫婦だ。きれいだった」と言いながら酌み交わし、「あの男も立派に生きた」とつぶやきながら一気に飲み干す。「あの祝辞は面白かった」、「あの弔辞は聴かせた」と言いながら、「お銚子2本!」と追加注文となる。その原因が喜びであろうと悲しみであろうと、それを題材にして飲む量に差はないのである。。
 酒宴は延々と続くが、酒のさかな(その日の主人公の話題)に不足はない。が、やがて話題は通常のものに移っていく。家庭のこと、職場のこと、政治のこと……。最後は通常の飲み会となんら変わりはないのであるが、酒量は通常をはるかに勝る。そして相応に酩酊するのであるが、彼らに、飲み過ぎた後ろめたさはない。だって今日は、新婚を祝った(あるいは友を弔った)のだから…。

    


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