旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

オペラ『カプレーティとモンテッキ』の公演(8月5,6日)迫る

2016-07-27 16:34:03 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

  ミャゴラトーリのオペラ公演『カプレーティとモンテッキ』が、8月5日(19時)と6日(15時)と迫ってきた。開演に合わせ、練習も佳境に入ったようである。ミャゴラトーリは、岩田達宗(演出)、柴田真郁(指揮)両氏の支援を受け、小劇場演劇的オペラという新しいジャンルに取り組んできた。一昨年の『ラ・ボエーム』、昨年の『カヴァレリア・ルスティカーナ』に続く第3弾が、この『カプレーティとモンテッキ』である。
 常に独自の解釈による演出で、オペラ界の鬼才と呼ばれている岩田氏の演出は、今年も冴えわたって、熱い練習会場は一層の熱気に包まれているようだ。大量の舞台道具を抱えて毎晩深夜に帰宅してくる娘は、疲れ果てているようであるが、同時に新たなエネルギーを受けているようで、そのエネルギーが生み出す練習成果に目を輝かせている。
 カプレーティ家とモンテッキ家の争いで、多くの人たちが死んでいく…。その中で、若いロメオとジュリエッタも「戦争はイヤだ!」と叫び、苦しみ続けながら死に向かう…。単なる悲恋物語ではないこの戦争の物語を、鬼才岩田氏はどのように演出するのであろうか?
 以下、その練習風景のいくつかを。 (写真は熊谷香保里さん提供)

   

 左が初日、右が2日目のロメオとジュリエッタ。作曲者のベッリーニは、ロメオ役をメゾソプラノと指定しているので当然女性。しかし今度は、初日公演でこの役をテノールの寺田宗永が演じる。正に禁を破った演出である。2日目は原作通りメゾソプラノの森山京子が演じるので、これは双方を観る必要があろう。ジュリエッタは、初日高橋絵理、2日目平野雅代とこれまた実力派である。

         
         初日ジュリエッタ役の高橋絵理

           
       指揮 柴田真郁            演出 岩田達宗

                             

           

  


眼の注射治療の成果

2016-07-23 14:45:10 | 時局雑感

 

 何度か書いてきたが、網膜の黄斑浮腫の治療を続けている。ルセンティスという注射を眼球に行い浮腫を退治する治療である。2年前に行い、それなりの効果があったのだが、再び浮腫が大きくなり再度挑戦中である。
 1回の治療で3か月かかり、月毎に3回の注射をやる。既に6月13日と7月11日の2回を終えた。何となく、2年前のような効果がないような気がして、注射の効果に疑問を抱いたりしていたが、視力検査では、0.5弱にまで落ちていた視力が0.7まで回復した。前回(2年前)は、0.5強から0.9まで回復したが、2年の加齢はいかんともしがたいものがあるのだろう。
 担当医師は、「それなりの効果が出てよかった」と注射の成果を誇っている。そして見せてくれたのが、以下に掲げる「使用前と使用後写真」だ。注射前の5月の写真では、明らかに突起が出ているが、第1回の注射で突起は引っ込み、2回目の注射でかなり消えている。「3回目で退治してしまいましょう」というのが先生の意向だ。
 この年になってはあまり効果は出ないのではないか、と思い、「3回目はやめましょうか」と言うつもりであったが、このような写真を見せつけられてはそうも言えなく、8月17日の注射を予約した。まあ、81歳になってもそれなりの治療による回復力があるのだ、ということに若干の自信も持った。
 以下、①注射前、②第1回注射後、③第2回注射後、の写真である。

 
      
           

 どうも、このような気持ちの悪い写真をお見せして恐縮である。他人にとっては不快以外の何物でもないだろうが、私にとっては一つの「生きている証」であり、ブログは一面では自分の「生の記録」でもあるので、その記録の一端を残させていただいた。お許しください。


戦後最悪の逆風(改憲勢力3分の2議席)に立ち向かう、鳥越俊太郎氏の野党共闘都知事選

2016-07-15 10:52:50 | 政治経済

 

 6月25日の投稿で、参議院選挙で安倍自公政権を中心とする改憲勢力が、憲法改訂の発議要件である3分の2議席を占めることに対する不安を書いた。そして、当時の新聞各紙の予想通り、改憲勢力は3分の2を占めた。これは戦後初めてのことである。
 すでに書いたように、自民党は憲法改訂を党是としてきたが、日本国民はその発議要件たる3分の2議席だけは与えてこなかったのである。世界に冠たる平和条項第9条を始め、基本的人権など国民主権を高らかに謳った憲法を守り続けたい国民の意思の反映であったと信じる
 ところが今回、9条2項(戦力不保持と交戦権の否認)の削除や基本的人権の制限を改訂内容に掲げる安倍信三政権という戦後最悪の政権に、日本国民は3分の2議席を与えたのである。この判断は、「軽率にもEU離脱に投票してしまった」英国人の判断に劣らぬ間違いではなかったのか? いや、これこそが、いまや日本国民の民意となりつつあるのだろうか?

 参院選の終わりと同時に東京都知事選が始まった。当初は、相変わらず与党内の権力争いの中での人選だけが関心を呼んでいたが、一人の男が全く異なる判断基準を持ってこの都知事選に立ち向かった。鳥越氏は、税金の使い方や、福祉、労働、環境など「住んでよし」東京の建設を目指す方針を当然として掲げるも、彼をこの選挙に立候補させた動機は、参院選挙が3分の2議席を安倍政権に与えたこの逆風に立ち向かうことにあった。
 彼は、参院選の開票速報を見る中で、この風潮に立ちはだかる何らかの意思表示を、身を持ってなす必要を感じたと言う。76歳は決して若くない。また、すでに克服したと思うが、満身に癌を患った身である。しかしこの余生を投げうってでも、この流れを変える意思を示す必要を感じたのである。
 その背後には、ジャーナリストとして長く政界を見続けてきた鋭い勘も働いていただろう。参院選で一定の成果を見せた野党共闘の前進ともども、鳥越氏の勝利で都政を都民の手に取り戻し、逆風に一矢報いることを願ってやまない。


消えてゆく旅…、のさびしさ

2016-07-09 10:56:43 | 

 

 今年もすでに折り返した。アッという間に過ぎたが、それは時間という量的な感覚より、「何もなかった」という中味が、そう感じさせるのであろう。
 気が付いてみれば、今年の前半、旅に一度も出かけていない。海外旅行に至っては、2011年のオーストラリア旅行以来何処にも行ってないし、また今後も海外に出かける気は当面ない。近年、国内旅行には随分出かけたし、身近なところに意外な発見をして楽しんできたが、今年はそれもない。
 このところ定例のようになっていた「山びこの会」の一泊旅行(今年は伊香保温泉と榛名山)や日蘭協会のバス旅行(今年は韮山反射炉など)にも参加しなかった。6月は毎年YDK社の株主総会に出席し、ついでに北東北のどこかを旅していたが、今年は株主総会そのものにも参加しなかった。
 老い…という感覚とこの旅の減少は無関係ではなく、それを考えるとさびしい。このブログも、旅と酒が主要テーマで、カテゴリー別の投稿数では旅がトップだ。酒の方は、1回の酒量は減ったが毎日飲むことに変わりなく、これは死ぬまで続きそうだ。ただ、新たな銘柄を求めて飲み歩く、というようなことは少なくなったのでこれも中身からすれば「消えて行っている」のかもしれない。

 ただ、旅の思い出は尽きない。いつかも書いたが、いろんな切り口から「思い出の旅ベスト3」とか「…ベスト5」などをまとめてみたいと思っている。しかし、それは人に読ませるようなものではなく、自分に固有のものであろう。そこに「老いのさびしさ」があるのかもしれない。


日本酒の銘柄はいくつあるのか?

2016-07-01 14:55:41 | 

 

 日本酒の銘柄っていくつあるのだろう? 私の意識では、数千銘柄から1万銘柄の間だろうと何となく思ってきた。最近、酒量も減り、酒の会も参加を極力抑えているので、新しい銘柄にすっかり疎くなっている。
 日本酒を造る蔵の数は、自社の銘柄を造っている蔵の数で1200前後と聞いている。沖縄、鹿児島県の各1蔵を加え、全都道府県に散らばっているのが、かなりの数だ。正に地酒という言葉がふさわしい。この約1200蔵が、平均5銘柄から10銘柄造っているだろうという想像が、私の数千から1万銘柄という根拠だ。何かで2万銘柄あるという記事を読んだ記憶があるが、1蔵平均20銘柄近くとなるので、それはないのではないかと思っている。
 ところが最近、たまに呑み屋を訪れると知らない銘柄ばかり並んでいる。日本酒ブーム(?)に乗って各蔵が新銘柄を出しているので、2万銘柄になっているのだろうか? ただその時、飲まれなくなった古い銘柄をどう数えているのだろうかと、つまらないことが気になったりしている。

 毎日通る八幡山駅への通りに、『エビス八幡山』という店があり、「九州うまかもん店」という乾板が掲げられているので、九州人としては気になっていた。入ってみると焼酎はもちろん、日本酒も数多く並んでいる。ところが、焼酎はもちろん九州産であるが、九州の日本酒はほとんどない。わが大分県だけでも、西の関、八鹿、一の井手、龍梅、智慧美人など枚挙にいとまがないが、全国的にはまだまだ知られていないのだろう。結局私が「九州うまかもん店」で飲んだ酒は、秋田と栃木の酒であった。
 メニューを見ると「角右衛門」という銘柄が目につくので聞くと、「秋田の酒だ」という。定番という純米吟醸を注文すると、一升瓶とともに出てきた。よく見ると、湯沢の木村酒造さんだ。この蔵の代表銘柄「福小町」は随分飲んで知っているが、この銘柄は初めてだ。
 料理の方は「鯛刺しの梅酢風味」や「するめいかの明太子和え」、最後の食事の「明太子めし」(飯の上に明太子のぶっち切りがたっぷり乗っていた)に至るまで九州の味であったが、そのあと注文した純米酒も含め秋田の「角右衛門」がよく合った。
 メニューを辿ると「姿」という銘柄が目についた。これも見たことないので注文。持ってきた一升瓶を見ると栃木県上都賀郡の飯沼銘醸さんだ。ここの代表銘柄は「杉並木」で、これも栃木県酒の会などでよく飲んだ。なかなかの銘酒で、この「姿」純米吟醸もおいしかった。きりっとした飲み口で、博多の辛子明太子にもよくあった。
 なお辿ると「うしろ姿」という銘柄が浮かぶ。聞けば、「姿」の“責め”の部分をブレンドしたものだという。“責め”とは酒搾りの最終場面の酒で独特なものであり、ぜひとも飲みたいと思ったが満腹状態でこれ以上飲めず、「うしろ髪」を惹かれる思いで店を後にした。
 いやあ、銘柄は2万を超えているのかもしれない。


投票ボタン

blogram投票ボタン