旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

琵琶湖の旅③ … 安土城と織田信長

2014-04-29 13:32:44 | 

 


 安土城跡は、ただ石段が続くだけであった。
 天正四(1576)年、天下統一を夢見る織田信長は、重臣丹羽長秀を総普請奉行に据えて、岐阜城より京都に近い琵琶湖畔の安土山(標高199m)に築城する。

 3年で完成し、頂上には絢爛豪華な天主閣がそびえたと伝えられるが、今は何もない。大手門から続く大手道(石段)には、右に前田利家と徳川家康、左に羽柴秀吉の屋敷があったらしいが、その跡形もない。
 ただひたすら石段が登る。しかも180mも直線が続き、ようやく左右にくねる。城の石段は防衛のために曲がりくねるが、信長の狙いは戦のためというよりは権力の誇示にあったとも言われている。
 しかし信長は3年後、明智光秀の謀反で本能寺に討たれ、その混乱で安土城も落城、すべて焼失したと伝えられる。


 
                    
         

 ひたすら石段を登って30分、同じ石段を下って20分、往復約1時間の行程である。この行程には意見が分かれた。多くは、緑したたる大木を縫う石畳に風情を感じ戦国武将の夢を追ったが、一部は、何もない石段を上り疲れただけ…、というものであった。

 城址を降りて『信長の館』を訪ねた。これは、信長築城から400年余を経た1992年、「スペイン・セビリア万博の日本館のメイン展示として安土城天主の最上部5・6階部分が東京大学など3大学の指導あって忠実に復元されたもの」(同館リーフレットより)を移築した館である。
 まさに絢爛豪華で、苦労して城址に登った後だけに信長の権勢を見せつけられた思いであった。

      


琵琶湖の旅② … 琵琶湖畔『休暇村近江八幡』でくつろぐ

2014-04-28 10:52:15 | 


 初日の宿は琵琶湖畔にある『休暇村近江八幡』。市街地よりバスで約30分(料金620円)とちょっと距離はあったが、それに値するものがあった。5階の部屋から眼下に広がる琵琶湖の眺めは絶景であった。
 都会の喧騒を忘れて、その眺めに飽きることはなかった。

  

 夕食までに時間もあったので、早速湖畔を散歩、目線を変えた琵琶湖を愉しむ。

      
                         

 ガイドブック『ことりっぷ』によれば、「琵琶湖の誕生は今から400万年ほど前、かつては三重県名張から伊賀上野付近に位置する小さな湖であったが、少しずつ形を変えながら北上し今の形になったとか…」とある。
 また、「面積約670平方キロ、周囲約235㎞で、滋賀県の面積の6分の1。琵琶湖・淀川水域の生活水を約13年分まかなえる貯水量を誇る日本一の湖」(同上)とあるので、まさに関西13百万人の水がめだ。
 部屋に帰ると、やがて比叡山の山並みに日が落ちて、暮れなずむ湖がいつまでも美しかった。

       
              


琵琶湖の旅① … 近江八幡に近江商人の跡を偲ぶ

2014-04-26 17:31:51 | 


 琵琶湖の旅から帰ってきました。3日間快晴という恵まれた天候のもと、緑に包まれた琵琶湖の東岸を楽しんできました。


 初日は近江八幡。不運に泣いて若く散った豊臣秀次の人柄と、近江商人の商才を偲ばせる街並みを満喫した。
 先ずは琵琶湖を眺めんとロープウェイで八幡山に上る。眼下に近江八幡の街並みが広がり、その先に琵琶湖の湖南を望む。

    

 山を下って、次は八幡堀を舟巡り。川面の目線で見る街の風景はまた格別であった。

 
    
         

 昼食は日牟禮ヴィレッジのご存じ『たねや』…、和菓子の『たねや』の本店が近江八幡とは初めて知った。
 さすがに商人の手本となった近江商人の町、西武の堤も布団の西川もメンタームの本家もこの地と聞く。そしてその根源は豊臣秀次の善政にあったのではないかと思う。悲運の男は若くして命を絶ったが(いや、絶たされたが)、それなりのものは残したのだ。
 近江商人の精神は「売り手よし、買い手よし、その地よし」と三方のことを考えたところにある。行商して歩いても、それぞれ商売したその地のことまで配慮したので、その商売は次につながり、長く続いたのだろう。

          
    白雲館

 


明日から琵琶湖の旅に行ってきます

2014-04-22 16:41:38 | 


 明日から待望の琵琶湖の旅だ。いろいろな楽しみがある。
 先ず第一は戦国武将たちの夢の後を追うことだ。初日の近江八幡は豊臣秀次の築いた街。二日目朝の安土城は織田信長、午後の彦根城は井伊直弼、三日目朝の小谷城は浅井長政とお市の方・浅井三姉妹(これは武将ではないが)、最後に回る長浜は豊臣秀吉とテーマに事欠かない。
 第二は料理だ。旅の楽しみはその地の食べ物にある。初日の夜は近江八幡市琵琶湖畔の『休暇村近江八幡』宿泊だが、「近江牛会席コース」を予約してある。先ずは近江牛だ!
 二日目は長浜の料理旅館『千茂登』の「琵琶湖の味覚 部屋食プラン」で、琵琶湖の様々な食材が並ぶと宣伝文句にある。この旅館には他のホテルに泊まって夕食だけ食べに来る客もいるというから中身が楽しみだ。料理旅館というのがいい。
 酒は『休暇村』が藤居本家の「旭日」、『千茂登』が富田酒造の「七本槍」。前者は愛知川、後者は長浜市木之本と地元の蔵で、いずれも純米吟醸や純米酒を置いていることを確かめた。
 第三は春の近江路の風景を楽しむことだ。天気は三日とも「晴れ時々曇り」で降水確率10%というから先ず降らないだろう。桜は終わっただろうが、緑の近江路を楽しみにしている。


楽しみな琵琶湖の旅

2014-04-20 10:27:13 | 


 23日から、「春の近江路を歩く~近江八幡、彦根、長浜の旅」に出る。二泊三日、年寄り7名ののんびりした計画だ。
 初日は7時33分の新幹線で東京を出発、10時半には近江八幡に着くので、近江商人の精神が宿る街並みをゆっくり回り、琵琶湖畔の「休暇村近江八幡」に一泊。翌日は安土城跡や「信長の館」などを見て昼前に彦根に着き、彦根城と城下町を散策、夕刻長浜について料理旅館「千茂登(ちもと)」に泊まる。
 三日目は、向源寺観音堂の国宝「十一面観音立像」から「お市の方・浅井三姉妹」をしのぶ小谷城周辺を大型タクシーで回り、午後は「秀吉の街」長浜をゆっくり歩き、午後6時米原発で帰京する。
 冒頭にのんびりした計画と書いたが中身は結構充実しており、平均年齢70歳の年寄りチームにとってはかなりハードかもしれない。しかし、くたびれたらそこで止める、という分別は十分に持っているつもりなので、まあ、いい旅になるだろうと思っている。

 旅にあたりいろいろと調べるほど、この琵琶湖東岸というのは戦国の世にあっては政治経済の要所で、各武将がその命運をかけて争った所以がよくわかる。そして、真の意味で戦に勝つことはその後の街づくりにかかっていたようで、その息吹が今回訪ねる三つの街に残っているようだ。
 楽しみな旅だ。


STAP細胞をめぐる小保方事件(つづき)

2014-04-18 10:23:33 | 時局雑感


 この事件もいよいよ華僑に入ったようで、一昨日は笹井理研副センター長の長い記者会見があった。笹井氏と言えばこの世界の大御所と聞くし、理研の指導的立場にある人で、STAP論文の共同執筆者である。
 確かに、STAP細胞に関する説明は詳細で、説得力を感じた。しかし、本事件に関してはほとんど責任逃れの発言に終始したのではないか?
 混乱を起こしたことに対しては謝るが、自分はこの論分に関する実験や解析などには携わっておらず、最後の論文を仕上げる2か月間かかわっただけで、ミスを見つけ出す立場にはなかったと言う。
 しかしそれはないであろう。その道の権威として、また理研の副センター長(つまり指導者)の肩書を持って論文の最終仕上げに参画した以上、当然その責任を持つべきではないか。
 このような責任逃れは、激しい競争社会を生きる一般企業社会では通用しない。もしこの論文が大成功してノーベル賞でも受賞すれば笹井氏は高評価を受け、その受賞者に名を連ねるかもしれない。それが間違を指摘された後で、そのミスの責任はないというのは通らないのではないか。

 昨日某民放で、東大で論文の書き方などを教えているというロバート・ゲラー教授も、「共同執筆というのは連帯保証人と同じで責任は免れない」と言っていた。特に笹井氏の場合、小保方さんのネイチャー宛て第1回目の論文が拒否された後、2回目の提出に当たりエースとして登場した経緯があるという。
 とにかく、常識人の理解できるような決着をしてほしい。そして何よりもSTAP細胞の存在の解明にこそ注力してほしい。


小保方事件で明るみに出た研究機関体制の不思議

2014-04-16 16:44:04 | 時局雑感


 STAP細胞を巡る小保方事件が世を騒がしている。小保方さんの擁護者、非難者が入り乱れてマスコミを賑わしている。
 先ず、小保方さんの非は免れないだろう。捏造かチョイミスか知らないが、科学者としてあるまじき行為をしたことは弁護の余地なく、本人もその点は謝っている。それにしても幼稚すぎることに驚いた。これまた本人が「深く反省」しているように未熟すぎる。一種の「学者バカ」ではないか?
 ところで、それ以上に幼稚で未熟なのは理化学研究所はじめ彼女を取り巻く学者連中ではないか? 10数名も共同執筆者がいて、この問題の責任はすべて彼女にあり、他の者はかかわりない、という論は一般世界の常識を超えている。
 確かに学者、特に研究者の世界は特殊な世界であろう。研究はそれぞれ個に属し、特許等の関係もありそれぞれ秘密の分野も多いのだろう。しかし研究所の後ろ盾にしても共同執筆にしても、その背景を含めて世は評価しているのであり、その内容に問題が生じた場合、一人だけに責任を負わせるなどということは一般の企業や人の世界では、当該者のよほどの悪意でもない限り認められないのではないか?
 しかも小保方さんは、学者か博士か知らないが未だ30歳の小娘だ。上司や先輩連中には当然指導責任がある。こちらも一種の学者バカと言われても仕方ないのではないか?
 私は1月31日付本ブログで、小保方さんを育てた理研組織を高く評価したが、STAP論文どころかあの稿こそ取り下げねばならないと思っている。


第29回純米酒フェスティバル 楽しく盛況に終わる

2014-04-14 15:11:57 | 

 


 純米酒フェスティバルも15年目に入った。実に29回、秋には30回を迎える。今回も超満員で、昼の部、午後の部とも定員(600名)をオーバー、昼の部だけでも624名となった。飲み過ぎによる問題なども起こらず、みんな喜んで帰ってくれた。
 何と言っても素晴らしいことは、日本酒が美味しくなったことだ。今回は38蔵の出展であったが、どの蔵の酒も甲乙つけがたい。推進委員中心の反省会でもこのことが一番強調された。15年前に比べて隔世の感があるとみんな言ってた。桜は散ったが、日本酒は正に満開だ。

 私の客も毎回通りたくさん来てくれたが、久しぶりに参加してくれた「かわしまや」(八幡山の行きつけの飲み屋)の店主夫妻が特に喜んでくれた。気に入った酒がいくつかあったようで、店のメニューに加えるべく蔵元と熱心に話し込んでいた。
 日本酒は、純米酒を中心に高品質に花開いてきた。輸出の伸びが示しているように世界に羽ばたく酒になってきたと思う。しかし世界に羽ばたく前に、もっと多くの日本人にその中身を知ってもらい、もっと好きになってもらうことが必要であろう。

        

 
「黒牛」のブースでご満悦の「かわしまや」ママさん
 
「白鷺の城」の「黒田官兵衛時代の酒(」精米歩合90%)に驚く
     
2014ミス日本酒」も参加してくれました


第7回山桜桃の会 … 湯島の『ふくろう亭』の季節料理と一ノ蔵「掌(たなごころ)」

2014-04-12 15:07:58 | 


 山桜桃の会も回を重ねて早7回…、昨年1月に誕生して年4回開催を前提としたが、夏の花火見物特別会が飛び入りして回を増した。今回はMiさんがお孫さんが生まれて,ロスアンジェルスに出向いて参加できなかったが、会場の『ふくろう亭』紹介者U氏の参加があったので総勢7名。湯島で楽しい一夜を過ごした。
 何と言ってもふくろう亭の季節料理が好評を博した。ホタルイカや焼き筍など旬の味が何とも言えない。焼き筍は美味しかったなあ。追加注文までしてみんなぱくついた。
 酒はU氏推薦でこの店の定番一ノ蔵「掌(たなごころ)」。宮城の酒だけあって「ささにしき(環境保全米)」を精米歩合70%で造った純米酒。米の味を生かしたどっしりした酒、70%の磨きだが雑味もなく、むしろコメの味が生きているところがいい。まさに蔵人たちが掌で温め、吟味し、心を込めて造ったという感じの酒。店の料理ともぴったり合った。
 もう一つは特別純米酒「作田」…、私としたことが蔵元名を失念したが、これもなかなかいい酒であった。恒例による乾杯酒「山桜桃」ともども大満足でした。

             

 後方左はふくろう亭店主。写真が暗くてゴメンナサイ
 


楽しかった『アルテリーベ』の一夜

2014-04-10 13:28:27 | 文化(音楽、絵画、映画)


 昨日は私にとって大変良い日だった。既述の通り、先ず目の治療の結果がいい方向に向かっていることだ。何となく世の中が明るく見えるようで、一日中いい気分でいた。
 そして夜は、娘の招待で内幸町の『アルテリーベ』に出かけた。実は23日の私の79歳の誕生日を、少々早いがお祝いしてくれるというのだ。繰り上げ祝いの理由は二つ、一つは23日は私が琵琶湖の旅に出かけることになっていること、もう一つは、アルテリーベの昨夜の出演者が、ミャゴラトーリ(娘の主宰するオペラ創作集団)の常連出演者である大澤恒夫さんと栗田真帆さんであったからだ。
 出演者二人に対するお礼と応援の意味も兼ねて、大いに歌を愉しもうというわけ。アルテリーベには初めて行ったが、なかなか素敵なビアーレストランで、美味しいドイツ料理とビールとワインで、3人の歌手の4ステージ、4時間の会食をゆっくりと楽しんだ。
 大澤さんはバスバリトン歌手だが、娘が私のために大好きな「プロヴァンスの海と陸」(バリトン歌手のアリア)をリクェストすると、声域の違いを乗り越えて歌ってくれた。これはうれしいバースデイ・プレゼントだった。
 こんな楽しい夜を、月に一回でも持ち続けたいものだとつくづく思った。

       
             顧客も舞台に上がり歌う
  
      大澤さん(バスバリトン)

   司会・進行役も務めた栗田さん(メゾソプラノ)


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