旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

親友M君の退職

2018-07-27 16:02:13 | 時局雑感


 社会人としての還暦、などと題して書いていたら(前回)、また一人、会社人間にケリをつけた人間が現れた。長く付き合いを頂いてきた友、M君である。

 私が三井銀行広島支店に転勤したのは1977年の暮れであったが、M君とはその時出会い、以来40年以上家族ぐるみでお付き合いを続けている。M君はこのたび職を離れて、いわゆる自適の生活に入ることになった。彼は三井銀行定年退職のあと、某電力事業会社を経て銀行時代の上司が経営する企業に請われて社長の番頭役を務めるなど、かなりハードな会社人間を務めてきた。今後も二つの企業の監査役を続けるようだが、それぞれ月に1日の勤務であり、実質的には長かった会社人間を離れることになる。
 そこで、「今後をどう生きるか?」を肴に一杯飲んだ。とりあえずは、奥さんとの長年の約束を果たすため、「南米のマチュピチュからイグアスの滝周辺」と「北欧四ヶ国とフィヨルド」の旅を計画しているという。いずれも、それなりの長期旅行を計画しているようで、これはうらやましい。私は南米に行ったことがないし、北欧もフィンランドしか行ってない。特に北欧は未来社会を展望するうえで多くの教訓に満ちていると思えて、是非ともゆっくり回りたいと思いつつ、ついに実現しなかった国々だ。
 そして、落ち着いたら、予てから温めていた「日本近代史」の知られざる部分にメスを入れて、これまで教えられなかった近代日本の歩みを自分なりにまとめてみたいと言っていた。これまた魅力的なテーマで、、「大いに期待する。私の目の黒いうちにまとめ上げてくれ」と伝えておいた。
 
 M君はまだ71歳。これから20年やそこらは十分に活躍するだろう。私は彼に「大きい視野に立って、知識人としての役割を果たしてほしい」と提案した。彼はこれまで経営者の立場に近く生きてきた。これからは、働くもの、広く国民にも目を向け、日本の進むべき道について、時に及んで提言をしてほしいと思う。
 彼にはその素養と力量があると思うし、今後も定期的に飲み交わしながら、そのような発言を聞けるのを楽しみにしている。


社会人としての還暦(自立して60年)

2018-07-24 20:36:29 | 時局雑感

 

 私は、19583月に大学を卒業し、その41日社会人として独立した。爾来、三井銀行に30年、三井ホームに13年、マザーズシステム・ジャパン(弟の経営する会社)に17年籍を置いて現在に至っておるので、都合60年会社人間として生きてきたことになる。つまり今年は、社会人としての還暦にあたる。マザーズシステムについては4年前に取締役を退いたが、現在も顧問として週1回勤務、経営の一端に首を突っ込んでいるので、まあ、会社人間が続いているとみなしてよかろう。
 自然年齢による還暦は三井ホーム時代に迎えたが、第二の人生として張り切っていた時期であり、働き盛りでもあったので還暦などという実感はあまりなかった。それに比べれば、この社会人還暦は歴史の重みがあり、まさに暦を還(まわ)してきたという実感がある。
 銀行時代の30年は、ふりかえれば勉強の時代であった。三井ホーム時代は、子会社三井ホームリンケージ(三井ホームの金融会社)の立ち上げから携わり、常務取締役として日常の職場指揮から経営全般に携わったので充足感があった。マザーズ時代は、一転して、日本経済の荒波を生きる零細企業の苦しみを弟とともに味わい続けた日々であった。この60年、大企業から零細企業まで、全く質を異にする苦難と喜びを味あわせてもらった。

 人生100歳を展望するような時代になって、人はこの社会人還暦を経てようやく余生、すなわち充実した最終期を迎えるのかもしれない(私たちは100歳までは無理だが)。還暦とは暦の一巡りで大変に意義深い。これからは社会人還暦を重視したどうだろうか。

 


4年ぶりの大阪純米酒フェスティバル

2018-07-12 14:54:05 | 


 去る9日、「純米酒フェスティバル2018大阪」を、恒例の太閤園で開催した。純米酒普及推進委員会の主催として、2000年春以来、東京ではすでに37回開催(春秋年2回)してきたが、大阪ではこれが4年ぶり10回目である。
 大阪でもピーク300人の来客があったが、今回は180人で寂しかった。因みに東京では、1日2回開催で1200人集まる。しかし来てくれた人はみんな喜んでくれて、「ぜひ来年もやってください」と言って帰る。果たして今後、いつ大阪で開くことができるだろうか? 私は、委員の一人として次のような挨拶をした。
 「…地震や水害など自然災害が続き、心からお見舞い申し上げる。その中で、こうして大阪の方々と4年ぶりにお会いできてとてもうれしい。日本酒は近年大変美味しくなった。また多様化して質を高めた。この日本酒は食中酒である。つまり食べながら飲む酒だ。聞けば大阪は「食道楽の街」、「食べ物の美味しい街」で有名だ。とすれば、大阪は日本酒を育てるには最もふさわしい街と言うことになる。この大阪で皆さんと酒を飲めるのがうれしい。大いに食べ、大いに飲みましょう」

 東京、大阪のほかに、名古屋で確か3回開いた記憶があるので、すでに50回のフェスティバルを開いた。思えば遠くへきたもんだ…という思いがある。前述したように、この間、日本酒は大変な進歩を遂げた。不思議なご縁で高瀬委員長、中野事務局長のご厚誼を得て純米酒普及推進委委員をやらしていただいた。高齢を理由に、この秋をもって委員を退任させていただくことになるが、こんな素晴らしい、こんな充実した時期はなかった。何よりも日本酒がおいしくなり、質を高め、その中心的役割を純米酒が負っているいることがうれしい。

  

 
    
       
       大阪恒例の抽選会


W杯サッカーの賞金について

2018-07-05 15:45:09 | スポーツ


 W杯サッカーの決勝リーグ初戦で、日本はベルギーに3対2で敗れ、ベスト8入りの夢は消えた。さまざまな評価があるようだが、このベルギー戦は私に熱い感動を与えてくれた。負けたのは悔しいが、勝ち負けより、持てる力をすべて出し切る姿がこの感動を生み出したのであろう。

 ところで、このベスト16の成績を残した日本に与えられる賞金は、1200万ドル(約13億円)ということだ。因みに、ベスト8なら1600万ドル(約18億円)、3位で2400万ドル(約26億円)、準優勝なら2800万ドル(約31億円)、優勝すれば、実に3800万ドル(約42億円)ののぼる。(7月4日付毎日新聞朝刊16面より)
 私には、この金額が高いのか低いのかわからない。プロ野球大リーグのトレードでも、何十億円の金が動くようだし、W杯サッカーともなれば、私ごとき人間も夜中の3時まで起きてテレビを見るのだから、その視聴率は40%とも50%とも言われ、広告料だけから見てもこんな金額は平チャラなのかもしれない。
 ただ、折しも回ってきた日本ユニセフ協会からの募金依頼状に、「あなたの3000円のご支援が、3っつの病気から子供の命を守る予防接種用ワクチン111回分に変わります」とあり、そのような貧困層が何億人もいることが訴えられている。私は時折、「111人の子度の命が救えるなら」と、思いついたように3000円の寄付をしているが、その度に貧困対策の無力さも感じている。

 世界には、未だ生きるための予防接種ワクチンも受けられない貧困層が多数残されている。W杯を争うサッカー選手の中には、その貧困層から這い上がった人もいるのかもしれない。「そんな極端な比較をするな」と言われるかもしれないが、それにしてもその差は大きすぎる。世界の富は何を基準に分配されているのだろうか?


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