旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

美しい「酒と食」…『山桜桃の会』の記録

2024-05-26 11:22:20 | 


 三井銀行OBの方々で「山びこ」(山行者の集まり)中で、美味しい酒と食を求めた人たちが集まった。2013年1月、男性3名、女性4名の7名が集まりになったが、以来、足掛け7年21回の会合を続けた。
 2019年からコロナを止めて「酒と食」の会を止めたが、貴重な記録は書き残してきた。しかも、美しい酒の記録を“山桜桃(ゆすら)”という冊子を残してきた。それは、酒、食、名店、名肴、有名人、名言などなど、全61頁記録された。
 総まとめとして大塚『串駒』に集まり、全記録を話し合った。酒は「十四代」、「而今」などと「いしり鍋」がメインだ。

 
    
    7年21会の記録(全61頁)

 


四月のお知らせ

2024-04-30 14:09:24 | 


 ブログの「一年前の記録」を読んでいたら、昨年四月23日の米寿の誕生日を祝ってくれて、北端の青森県の「田酒」と南端の佐賀県の「鍋島」のいずれも純米大吟醸酒を贈ってくれてあった。
 ところが今年の時期に、やや北端の山形県の「米鶴」と、やや南端の広島県の「雨後の月」(雄町無濾過生原酒)もいずれも純米大吟醸酒を贈られた。私ほど幸せ者がいるのだろうか。

  

 四月の緑が、目に染みるほどだ。緑が、一番美しく柔らかい時節だ。
 さあ、5月はもっと頑張って、力を入れよう。緑も強くなってくるだろう。太陽の力も、日に日に増すであろう。

 
      
  
       


三月の「春の酒」

2024-03-16 16:00:03 | 

 

6月11日。
 マザーズ社の株主総会に参加。相変わらず言葉が不自由であり、会議の役に立たぬが、みんなの笑顔を交わすだけが楽しかった。
6月14日
 大相撲春場所第5日、若者王鵬(24歳、大鵬の孫)が横綱照ノ富士に堂々と寄り切り、金星を獲得した(前頭東3番)。嬉しく飲んだ酒は『米鶴純米かすみ酒』、これは美味しかった。久しぶりに口した句も思い出した。

  妻も飲むあまくつめたき春の酒  日野草城



😊

       
       かすみ酒


旧交を温める

2022-06-27 13:45:42 | 



 先日、旧友英夫妻宅を訪ねた。コロナでしばらく途絶えていたので久しぶりのことだ。
 古いと言えば、写真家英伸三氏との交遊は1961年に始まるので60年を超える。夫人の愛子さんとは、大学時代のキャンパスに始まるので68年に及ぶ。中でも思い出深いのは、新潟の久須美酒造を取材して、英夫妻と共著で『酒は風』(大月書店)を出版したことだが、それからも既に31年が経過する。この間、酒、旅、写真、音楽や演劇など、多方面にわたり家族ぐるみの付き合いをしてきた。
「いろんな酒があるから飲みに来い」と予てからいわれていたので、妻と娘と家族ぐるみで出かけたわけだ。そして大変なご馳走になった。
 狛江(ご住所)名産と言われる枝豆、クジラのベーコンなどに始まる数種類に及ぶ珍味が並び、最後はメインディッシュにフィレ肉のステーキが出てきた。美味しかったなあ。飲んだ酒は『亀の翁』に『田酒』純米酒、焼酎の『森伊蔵』から中国は貴州の名酎『茅台酒』と、世界的水準の酒だ。
 語り合ったことは、過去の思い出の、ほんの、ほんの一部であったが、その中身は豊かであった。書き加えることは何もない。

 

   

 

 

 


ちょっと贅沢な酒飲み会 … 『亀の翁』10年古酒を中心に

2022-04-11 13:49:00 | 



 昨年暮れ、久須美酒造が「純米大吟醸『亀の翁』10年古酒」を秘蔵酒として発売したのでこれを入手、一人で飲むのも淋しいので兄弟3家族に呼びかけていたが、コロナに邪魔されて機会を失っていた。ようやく一昨日(4月10日)、我が家に集まることが叶い楽しい酒宴を張ることができた。
 せっかく10年古酒を飲むのだからと、これを機に久須美酒造の名品を取り揃えて飲むことにした。曰く、『亀の翁』3年もの、純米吟醸『亀の王』しぼりたて、純米吟醸『夏子物語』生貯蔵酒、純米吟醸『七代目』生貯蔵酒、がこれである。

 
  

  これらの名品を、「チーズ・たらこの春巻き」など娘の手料理と、私の最も好む「魚河岸すし」などでタップリ味わった。
 思えば、久須美酒造六代目記廸氏が戦前の幻の酒米と言われた「亀の尾」を、1500粒の種籾から復活させて45年、純米大吟醸を『亀の翁』を世に出して42年、その酒造りを3年にわたり取材して私たちが「酒は風」を出版(英夫妻と共著)したのが1991年であるから既に31年前。その間、久須美酒造も発展して、『七代目』を出した賢和氏が今や社長、その後を継ぐ八代目が今年新潟大学日本酒学部に入学したという。 
 これらの思いを巡らしながら飲む銘酒と名肴の会は、久しぶりに会った兄弟家族との懐かしい話題とも相まって、至福の時を与えてくれた。
 この贅沢は「ちょっと…」どころではなかったかもしれない。

 


晩酌のつまみ … 同じものばかり食っているのではないか?

2021-08-30 14:36:51 | 

 

 酒の肴となると、刺身をはじめとする魚介類から季節の野菜、山菜類、はては鍋物に至るまで多岐にわたるが、通常は手短にある好物で済ます。
 昨夜も、『奥の松特別純米酒』を傾けながら、前に並べた三つの皿を次々とつついていた。見ると右から、チーズ、冷奴(豆腐)、納豆と並んでいる。いずれも私の好物だ。冷蔵庫を開けるとこのいずれかは入っているので、酒の肴に困ることはなく、しかも酒(日本酒)とのマッチングは最高だ。
 しばらく飲んでいてハッと気が付いた。これらはみな同じものではないか? 豆腐とチーズは、片や植物性(大豆)、片や動物性(牛乳)の違いでたんぱく質のかたまりと聞いている。納豆に至っては発酵食品とはいえ豆腐の原料たる大豆の原型だ。みな同じものではないか?
 発酵食品と言えば飲んでる酒はコメの発酵物だ。晩酌を終えてお義理に少量の米メシを口にしたが、これは今まで飲んでいた日本酒の原型だ。何が何だか分からなくなってきた。
 このことを妻に尋ねると、「何を馬鹿なことを言っているの。豆腐とチーズは植物性、動物性で立派に別物よ。納豆は野菜、豆腐はたんぱく食品。別物よ。それよりも私の作ったサラダと、豚肉と野菜の煮物をもっと食べなさい」と一蹴された。
 見ると「野菜サラダ」と「煮物」が添えられあり、ほんの一箸つけただけで大量に残されている。その罪悪感に苛まれて、何も反論しなかったが、そのあと風呂の中でも寝床についても、「俺は同じものばかり食っているのではないか、これで生きて行けるのか?」という思いが消えず、どうもすっきりしなかった。


コロナ禍と酒

2021-06-22 11:12:31 | 




 緊急事態宣言が解除された。とはいえ、蔓延防止措置に引き継がれるので、実態はあまり変わらない。というよりも、国民は緊急事態に慣れ過ぎて「通常事態」となっていたので、「解除」を実感することもなくなってきたのかもしれない。

 ただ、目の敵にされてきた酒だけには厳しく、これが解除された実感はますますない。
 早速昨日、二つの会食の予約をした。一つはK先輩と吉祥寺でビールを飲もう、というもので、もう一つは、女房と娘と三人で新宿小田急の某有名料理店(あえて名前は伏す)で夕食をしようというものだ。前者は昼間の13時から二人だけなので酒の提供に問題はないが、後者は、同居家族といえども三人であるので、「酒の提供は19時まで二人以下」という東京都の基準に反するのでダメだと言う。
 わが親娘は長年同じ屋根の下に住み、同じ食卓で三度の食事をし、女房とは同じ部屋に寝ている。もちろん私は晩酌を続け、日々酒を欠かしたことはない。ところが、その同じ三人が外の店で外食するとなれば酒を飲んではいけないというのだ! しかもその某有名料理店はテーブルの間隔も十分で環境的には我が家より良い。
 酒が飲めないで私が行く意味はなく、予約することをやめようとも思ったが、「隣り合わせの席で一名と二名」と二つの予約をして明日出かけることにした。その一名の席で私は静かに酒を飲むのだ。どんな風景になるか楽しみにしている。

 ところで今朝のニュースによれば、オリンピックは1万名まで観客を入れて、しかもお酒も出すことを検討しているという。同居家族の三人でも飲めない酒を、世界的競技に興奮する1万名の観客が飲んでいいという判断は何処から出てくるのだろうか?


6月24日追記

予定通り昨日、件の店で会食したので、写真を添付しておく

 
  私の席(四人席に一人だけ)
   
   ついたてで隔てられた女房と娘の隣席


 私は一人寂しく『作』2本と『田酒』1本を「寿司コース」で飲みました
 
     

  
  暮れなずむ西新宿のビル街


『獺祭』桜井社長の魂の叫び … コロナ禍政府政策に対する意見広告(5月24日日経新聞)を読んで

2021-05-26 15:32:55 | 



 人気清酒『獺祭』を造る旭酒造の桜井一宏社長が、5月24日付日経新聞6面に、全紙に及ぶ意見広告を掲載した。
 氏はまず、日本経済を、雇用をはじめ実態的に支えているのはグローバル化や大企業ではなく、全国津々浦々に張り巡らされたローカル経済圏であり、その代表的業種が飲食店であると指摘する。
 ところがこの飲食店業界は、コロナ感染拡大の主犯人とされ、国の画一的で合理性を欠く営業時間制限などを受けて疲弊しきり、多くは死の淵に追いやられていると現状を嘆く。同時に諸調査の結果を示して、飲食店は感染拡大の主犯人ではないこと、当の官僚が自ら制限した営業時間外の深夜に会食を行っているのは、その証左であると実態を暴く。
 加えて日本の食文化のすばらしさを語り、画一的な時間制限などゼロか100かの政策ではなく、感染も倒産も抑える実体に合った弾力的な政策を採れと提案する。「飲食店を守ることは“日本のいのち”を守ることだ」という訴えに、桜井社長の魂の叫びを感じた。
 国はこの魂の叫びに答える必要があろう。しかもその答えは、お決まりの、紋切型の、形式的な回答であってはならない。国としても実情を究明しつくした、血のにじむような、魂の叫びでなくてはならない。
 霞が関的な、官僚的な言葉は、桜井社長には通じない。


誕生日を祝ってくれた酒

2021-05-05 11:41:05 | 





 ずらりと並んだ酒は、私の誕生日を祝ってくれた酒である。既報のごとく、86歳の誕生日は4月23日ですでに過ぎたが、その前後、幾人かの人から誕生日を祝う酒を頂いた。ようやくその大半を飲み終えたので、それらの酒について記しておこう。

 まず左端の酒が『大納川』(秋田県横手市)の「天花」純米大吟醸無濾過原酒亀の尾。蔵人5人の小さい蔵であるが良い酒を造り続けている蔵で、この度、初めて秋田産「亀の尾」を使用、「原料処理(浸漬)に苦労したが、しっかり旨味を引き出せた」とラベルに書いているように、素晴らしい旨酒に仕上がっている。精米歩合50%も米の味を残して良い。
 次は同じく横手市『浅舞酒造』の「天黒樽熟成」。これは、秋田県産「星あかり」を100%使用した純米酒(精米歩合60%)であるが、麹に「焼酎用黒麹」を使用し3年熟成した酒で、アルコール分16%であるが焼酎を思わせる重量感があった。酸味も十分で、誕生日にとった『由良川』の「うな重」の重量感に負けない酒であった。
 誕生日の贅沢で続いてとった『魚河岸』の寿司(ここ数十年、私の好む最高の寿司)に、ぴったり合ったのが4番目に並ぶ福岡県筑紫野市『大賀酒造』の「大賀」純米吟醸辛口。創業1670年のこの蔵は手作りに徹し、岡山産朝日米を60%精米、きれいな辛口純米吟醸に仕上げた。刺身、吸い物の合う典型的な上質日本酒。
 中央に位置するは、見ての通り茶褐色の古酒。愛媛県四国中央市の『梅錦山川』が醸し30年熟成させたその名も「平成二」。その下に「UMENISHIKI VINTAGE 1990 長期貯蔵純米吟醸原酒」とある。精米歩合55%、原酒と銘打つだけあってアルコール分18%、しかし30年熟成したまろやかさで、18度という強さを感じさせない。チーズやスモークタンにぴったり合い、超贅沢感を味わった。
 右端の酒は『天の戸』純米大吟醸令和元年金賞受賞酒。これは受賞直後に飲んだが「現在日本で最高水準の酒」と感じたことを覚えている。もったいなくて未だ開栓してないが、2年熟成してどのように美味しくなったか楽しみにしている。

 
ラベルを拡大しておいたが、少しは読めるかな? 


コロナと戦う飲み会・・・Kさん親娘との神楽坂の一夜

2020-11-26 11:21:10 | 



 しぶとい新型コロナウィルスの感染は第三波の症状を見せ、東京都は昨日、「夜の会食は極力控えろ」というお達しを出すに至った。

 このような状況に至る前で、感染が小康状態を保っていた先月のことであったが、先輩のKさんから電話があった。「今年はほとんど人に会っていない。娘が神楽坂の行きつけの店に案内するというので、一緒にどうか? もう、コロナなんていいよ」というものであった。二つ返事で応諾して日程を決めたのが今月の19日。
 そこは、神楽坂下から坂を上り、中腹ぐらいにある『おの寺』という素敵なお店。K先輩ともども娘さんもかなりの飲み手、その行きつけに店だけあって酒も料理も相当な水準であった。なんといっても神楽坂の雰囲気、つまり日本伝来の良き雰囲気を湛える店であった。
 そこで美味しい料理と共に飲んだ酒は、これまた名だたる銘酒で、東北泉(山形)、常きげん(石川)、宮の雪(三重)、賀茂金秀(広島)、川鶴(香川)、そして最後を締めたのが開運(静岡)という6銘柄。しかも中味は、雄町を始め各地の米の味を生かした芳醇な純米酒から、山廃仕込特別純米生原酒や純米吟醸活性生原酒など多種多様…、百花繚乱花咲く日本酒の味を味わいつくした。

 断っておくが、はしゃぎまわったわけではなく、マスク、消毒はもちろん、広い部屋に三人の少人数で、来年1月で92歳になるK先輩の蘊蓄ある思い出話をじっくり聞くという、コロナ対策十分の集いであったことを記しておく。

 それにしても19日はギリギリで、昨夜の小池都知事のお達しの後では実現していたかどうかわからない。

 
 6銘柄のお酒を前に
   
   店主の小野寺さん(左端)と共に 


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