旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

土の匂いのする贈り物

2022-03-31 15:53:57 | 時局雑感



 前回、土の匂いのする電話と題して投稿したら、今度は、土の匂いがいっぱいする贈り物が届いた。新潟県は頚城(くびき)平野の旧吉川町(現上越市吉川区)に住むIさんからだ。
 もう21年も前のこととなるが、私は、この吉川町にあった吉川高校を題材に、『高校生が酒を造る町』を書いた。吉川高校はすでに廃校になり、町は上越市に合併され、当時大変お世話になった吉川高校同窓会長の市村幸男さんも4年前に亡くなった。いまやIさんだけとつながっており、時折、四季の便りを交わしている。
 贈り物を開けると、お酒、酒かす、お米(5k袋)、はちみつ2瓶と、すべてIさん手作りの品ばかりだ。

 
         

 添えられた手紙に、それぞれの品を作る苦労話が書かれてあった。読むうちに、泥だらけになって米を育て、打ち続くれんげ草畑でミツバチ追うIさんの姿が目に浮かんだ。冬にはその米で酒を醸す。全て土と共にある。
 手紙の最後は次の言葉で結ばれてあった。
「ウクライナのことを論じても何の助けにもなりませんが、たった一人の独裁者とそれを許す人々。…(中略)…人を殺戮している人はどんな酒をどう思って飲んでいるのでしょうか。その酒はどんな味がするのでしょうか。私は家族と共に質素ながらもお酒を飲めることに感謝しています。ウクライナの方々に一日も早くゆっくりとご家族でお酒を飲める日が来ることを祈っています」
 彼の優しい心根が紙面に沁みていた。

 
  
我が家の玄関に咲くかいどう 


土の匂いのする電話

2022-03-25 11:14:15 | 時局雑感



 昨夜、遅く、けたたましく卓上の受話器が鳴った。
 「オイ、首藤か?…、分るか、オレが…池田だ」
 懐かしい高校時代からの友人の声だった。声は続く…
 「ある友人にお前の本『蔵元の薦める飲み屋』を渡しておいたら、今日電話があって、『いい本だなあ。こんな本が書ける友人がいるのか、お前は幸せだなあ』と言われた。うれしくなって久しぶりにお前に電話したんだ」
 彼は私が出版するたびに読んでくれ、「本が書けるなんて羨ましいなあ。俺には絶対にない才能だ。首藤、お前は俺の誇りだ」と言ってくれていた。
 高校時代の彼と私は、全く生き方を異にしていた。彼はラグビー部で、放課後はグランドの土にまみれていた。私はいわば図書館族だった。そして私は、自分に絶対にない能力を持つ彼を、いつも羨望の目で見ていた。
 図書室から出た廊下で、グラウンドから上がってくる彼とすれ違うことがよくあった。彼の太ももの傷には血が滲み、汗にまみれたジャージには土の匂いが溢れていた。
 ほとんど口をきいたこともなかった高校時代を経て、東京の同窓会で度々会うようになり、私は、彼が豊かな感受性の持ち主であることを度々知った。そしてそれは、泥まみれのスクラムの中で、相手選手の息遣いを感じながら育んだものだと思った。つまり、私などが到底持ちえない豊かな感受性を彼は持っているのだ。
 久しぶりに、遥か臼杵高校の土の匂いを伝えてくれた電話であった。


プーチンの暴挙を止める手立てはないのか?

2022-03-18 15:17:15 | 政治経済



 前回の投稿に対するコメント返しで、ウクライナ問題に対するいら立ちを次のように書いた。
「過去の民族的経緯がどうであれ、現下の諸問題に何があろうと、力に任せ、核の脅しまで使って他国に侵入することだけは許してはいけない。しかしロシアを止めることができない。国連は無力だ!」
 国連は、第二次大戦の戦後処理のためにできた組織で、その形骸だけを残して今や機能しえない。NATOは軍事同盟だ。これは戦争のための組織で、これが動けば確かに大戦争になるだろう。
  とはいえ、力をもって他国に押し入り、無差別攻撃を繰り返しているプーチンの横暴を止めるには一定の力(軍備)が要る。ゼレンスキー大統領の各国議会での演説に示された「具体的で悲痛な叫び」に世界は応えないでいいのか。
 世界の大方の見解は、「プーチンの行動を戦争犯罪とする」というものだ。なにか既存組織を離れた有志同盟的圧力によってでも、この「戦争犯罪」を制裁する手はないのか? しかしその際、ロシアの核保有が大変な問題になるだろう。
 人知の限界にイライラする毎日である。


コロナの春が続く

2022-03-11 14:43:35 | 時局雑感



 昨年のブログを開いてみると、「いつまで続く緊急事態…」とコロナの春を嘆いている。昨年は第5次のピークで、緊急事態宣言が2週間延長されている。ちょうど計画していた「浜名湖温泉旅行」を、その延長のため取りやめたことを嘆いている。
 今年は第6次のピークを終えようとしているところだが、大事を取って蔓延防止措置をこれまた2週間延長した。全く同じような事を繰り返し、事態はほとんど変わっていない。欧米では、感染者数は結構増えているようだが、マスクを始め諸集会の束縛はかなり外されているようだが、日本人は生真面目に、電車の中でも歩行中でもほぼ100%マスクをつけ、集会も控えている。
 感染者数の減少はにぶく、今年もまた重たい春が続くのだろう。いや、春どころか、やがて第7次が来て、すっきりしない一年になるかもしれない

 
 リビングのランも毎年同じ花をつけ、これまた大きな変化はない。
 こちらは、それが一番いいのであろう。


雛祭り…、だが、ウクライナの戦火

2022-03-03 20:20:04 | 時局雑感



 今日は桃の節句。雛人形を飾り、ぼんぼりを灯し、甘酒を飲み交わして子女の成長を祝う。日本の祭りで一番優しい祭りかもしれない。
 ところが、ロシアと国境を接するウクライナでは、その国境を越えて侵略するロシアの戦火にまみれている。侵略を受けて早くも一週間、当初はロシア国境の2州を守るためだと主張していたが、侵略は全土に及び、しかも軍事目的を超えてウクライナ全国民の無差別殺りくに及んでいる。
 歴史をたどれば様々な事情があるだろう。しかし現時点では、ウクライナはれっきとした主権国家である。それを自分の意に沿わないからと言って武力に頼って侵略するとは、およそプーチンという男は21世紀を生きる資格はない。しかも、世界をリードする大国の大統領たる資格はない。
 にもかかわらず国連は無力、周辺友好国も手をこまねいている。核兵器を振りかざすプーチンに対し、素手で立ち向かっているかに見えるウクライナ国民に、連帯の意思表示を続けるしかないのか?
 なにか打つ手はないのか?

  
 恒例によりピアノの上に飾られた雛人形


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