旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

楽しかった「ジャンニ・スキッキ」 … ミャゴラトーリのオペラ公演

2015-07-30 10:59:27 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 ミャゴラトーリのオペラ公演「ジャンニ・スキッキ」が、好評のうちに終わった。今回はエルデ・オペラ管弦楽団との共催で、初めてのオーケストラ付きの公演。「ジャンニ・スキッキ」という格好の演目で華やかに、楽しく演じることができたと思う。気温35度という今夏最高の暑さの中を、400人を超える方々が観賞してくれた。
 何と言っても楽しい演出であった。相続争いというみにくい話を、しかも遺言状を改竄するというけしからん話を、それぞれの人間性を表現しながら底抜けに明るい楽しい話に仕上げた。大澤恒夫演出が冴えわたったのではないか。「とにかく面白かった!」…、ほとんどの人がそう言って帰って行った。
 考えてみれば不思議なオペラだ。相続争いで揉みあうごちゃごちゃ音楽が演じられている中に、突如、世にも美しいアリアが飛び出す。リヌッチョの歌う『フィレンツェは花咲く木のように』とか、ラウレッタが歌う『私のお父さん』など、何か唐突過ぎるような美しさである。しかも、サンタ・クローチェ広場やヴェッキオ橋、アルノ川など、フィレンツェの名所を謳い上げる。
 相続争いという日常どこにもありそうなドタバタ劇と、それにはまったくそぐわないともいえる夢みるような美しいメロディが、対照的に心に残る。これも作曲者プッチーニの仕掛けらしいが、そこに名作の所以があるのであろう。

 うれしいニュースも伝えられている。ミャゴラトーリオペラで歌い続け、今回もリヌッチョ役で美しいテノールを響かせた寺田宗永(通称テラッチ)君が、この度さわかみオペラ芸術振興財団の奨学金を得て、イタリアのボローニャに留学することになった。半年間の本場留学でたくさんたくさん学び、今後の日本オペラ界をリードしていく力を身に着けてきてほしいものである。

  
  リヌッチョ役の寺田宗永君とツィータ役の池田香織さん
        
         寺田君の留学を励ます支援会の方々


蓼科「御泉水自然園」を歩く … 山びこの会に参加して

2015-07-21 14:20:32 | 

 

 山びこの会の恒例行事、夏の一泊山行は、今年は蓼科。登山が無理な私は、毎年参加を躊躇するのであるが、蓼科という距離感と新宿からバスの一泊旅行という魅力もあって参加した。山に登れないものが何で来るんだ、とお叱りを受けそうなのだが、実に魅力的なメンバーの方々にお会いしたいことと、年1回ぐらいは山の空気を吸いたいというのが、厚かましい願いだ。また、そのようなわがままを快く受け入れてくれる会なのだ。
 私は、ホテル(池の平白樺高原ホテル)の前からゴンドラに乗り、御泉水自然園の一部を歩いただけであったが、(その他は、蓼科山登山組や、滝めぐりなどのハイキング組など)、木漏れ日と小鳥の囀りに満ちた「落葉松の経」など、標高1800mの空気を吸って大満足した。

  
    自然園入口
    
         
  木道を歩き、清流を越え
     
         柔らかな緑に心を癒され
   
   ときどき、雲が覆う蓼科山を仰いで、登山組に思いをはせる
 「落葉松の経」

 
  私は下りもゴンドラであったが、
   
    健脚組は歩いて下山……。(ゴンドラより撮影)


 登山はおろか、ハイキングともいえない程度の山歩きでも、行ってみなければ絶対に味わえない素晴らしさがある。空気のおいしさ、緑のやさしさ…、どんな人の話をきかされてもでも、どんな映像を見せられても、自らそこに行かなければ絶対に味わえないものがある。
 しかし、この「80歳の山行」をもって、いよいよ最後になるか…、とも思っている。
    

  
 
   


オペラ「ジャンニ・スキッキ」で暑気払いはいかが?

2015-07-17 11:39:58 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 娘のオペラ公演が続いている。
 4月、京王電鉄の後援を得て聖蹟桜ヶ丘のホールで「愛の妙薬」。5月は、昨年の「ラ・ボエーム」に続く岩田達宗演出第2弾の「カヴァレリア・ルスティカーナ」、6月は愛知県田原市の二つの小学校からのお招きで再び「愛の妙薬」、…そしてこの7月26日(日)、小金井市民交流センターでの「ジャンニ・スキッキ」。
 例によって手作り公演の準備に追われ、娘は「死ぬ思いだ」と言いながら猛暑の中を頑張っているが、この「ジャンニ・スキッキ」で今年の公演は早くも打ち上げ……。しかも今回は、エルデ・オペラ管弦楽団とのジョイント公演であるのでオ-ケストラ付き公演となり、その楽しみも加わる。

 この「ジャンニ・スキッキ」は、5月の「カヴァレリア・ルスティカーナ」と打って変わって楽しい喜劇。死んだ大富豪に成りすまして公証人に遺言を口述筆記させ、膨大な遺産をだまし取る話だ。
 富豪は、全遺産を修道院に寄付するよう遺言状にしたためいたが、それを知った親戚一同は、「何で坊主だけが肥え太るんだ」と悲しんでいる。そこに現れたのがジャンニ・スキッキ、知恵を働かせて遺言状の改竄に及ぶのだが、周囲の親戚一同を「遺言状の偽造の罪は、片腕切断の上フィレンツェ追放と重い。そうなりたくなかったら私に従い、一切他言は無用」と脅して、資産の大半を自分の名義としてだまし取る。
 面白いのは、このけしからん話の題材が、かのダンテの『神曲』地獄篇第30章であるということだ。だから、このオペラの「時と場所」は、1299年9月1日のフィレンツェとなっている。今から700年以上も前の話だ。大詩人ダンテは、『神曲』を書きながらも、遺産を神の世界をつかさどる人に与えるよりも、現世の人間に与えて楽しんでもらった方がいい、と考えたのかもしれない。
 猛暑が予想される時節、暑気払いには格好のオペラではないか? 大好きなアリア「私のお父さん」(ジャンニ・スキッキの娘ラウレッタが歌う)など、楽しみにしている。

   


   


銀行同窓会の病気の話(死ぬ話)と、孫のお宮参り(生きる話)

2015-07-12 10:55:52 | 時局雑感

 

 今日は自慢話を一つ。
 昨日は、銀行検査部時代の同窓会(融資業務の検査の仲間)で、8名が集まった。最高齢は81歳、二番目が私で80歳、あと70歳まで6人(総勢8名)が集まった。酔いが回ってきて近況報告となったが、この手の集まりの通例で、そろって病気の話が延々と続いた。
 ただ一人私だけ、一切病気のことに触れなかった。私も5年前に軽い脳梗塞を患い、それ以来「血液サラサラ薬」などを飲んでいるので、病気の話に不自由しているわけではないが、この手の集まりでは病気の話と死ぬ話はしないことにしている。
 私が、80歳になって初めて、次男のところに初孫(男児)が生まれたこと、生後未だ2か月に満たないが日々大きくなり、勢いよくミルクを飲んでいる姿を見て、自分の命が未来につながって行くことを実感している……、というような話をすると、全員に、「…参ったなあ、最年長者の一人に生きる話をされちゃった…」とおべんちゃらを言われた。

  
  立派な紋付をかけられた孫は、元気よくミルクを飲んでいた

 実はこのような話をしたのは、一昨日が孫のお宮参りであったからだからだ。西永福の大宮八幡宮に出かけ、本殿に鎮座し、お祓い、祝詞、巫女の神楽…と続く伸事を受けた。
 次男は大橋家に養子に行ったのであるが、大橋家は、江戸末期に米問屋を営んでいた大橋新左エ門以来女系が続き、代々婿を取り、四代目の養子である次男夫婦がなした男児は、150年ぶりの男児だというのだ。そのようなこともあって、私の話が「生命のつながり」の話になったのかもしれない。
 いずれにせよ、年寄りの集まりは病気と死ぬ話ばかりだ。それでなくても陰鬱なこの手の集まりは、せめて生きる話に努めなければ、と思っている。

      
  
  生後58日目、時々笑うなど、早くも表情の変化を見せ始めた。

    
   大橋家の家紋「変わり浮線橘」の入ったお宮参り用羽織


例年になく騒がしい梅雨

2015-07-06 16:29:50 | 時局雑感

 

 例年、梅雨のシーズンは何もないような気がしてきた。何事も起こらず、ひたすら鬱陶しい梅雨空に耐えて、輝く夏の太陽を待ち続けたような気がする。
 ところが今年はけっこう騒がしい。遠くにあっては先ずギリシャだ。歴史上は燦然と輝くが、今や世界経済や政治に影響を与えるような力はないだろう思っていたが、ドッコイ、そうはいかない。しかも、国を挙げて40数兆円(日本の国家予算の半分!)も借金を重ね、すべて使い果たして返せないというわけだ。
 債権国から、「返せないのなら、せめて節約し緊縮財政に努めろ」と通告されるや、それも嫌だと「NON」を突きつけた。しかも、さすがに直接民主主義発祥の地だけあって、直ちに国民投票にかけ「NON]の結論を引き出した。国民がダメというのだから節約などできない、というわけだ。
 こうなると借りた者の強みだ。貸した方も貸したほうだし、相手が国家では取って食うわけにもいかない。と言ってさらに貸し込むのも難しいだろうし、まあ。このままずるずる行くのではないか? ソ連や中国がちょっかいを出しているようだし、EU各国で何とか助けるしかないのではないか? エストニアなどの、「こちらよりGDPの大きい国をどうして助けなければならないの?」という気持ちもわかるが、ドイツなど余裕のある国は支援していくしかあるまい。

 近くにあっては国会がうるさい。これまたギリシャのようなダダっ子の安倍首相が、何が何でも安保法案を通過させようと駄々をこねている。審議すればするほど国民は「分からない、説明不十分」と言い、政権支持率は下がってきている。本日付毎日新聞世論調査によれば、内閣不支持43%で、支持42%を初めて上回った。加えて、安保法案の今国会成立には61%が反対、と報じている。それでも聞く耳持たない、という頑固さはギリシャ以上ではないか?
 ギリシャはせめて国民投票にかけた。安倍内閣は、憲法違反かどうかという問題を国民に直接問うこともしないで、一内閣で解釈を変え、それを法案にして強引に通そうとしている。ギリシャよりはるかに劣るのではないか?
 スポーツ界も騒がしいが、これは嬉しいニュースが続いている。なでしこジャパンのワールドカップ準優勝は、残念ではあったが快挙だ。わが広島カープも、「全チームが借金」という混セ珍事のはざまで、最下位からAクラスに浮上してきた。後半戦の活躍を祈る。

  
       


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