これまで何度も触れてきたが、「山びこの会」という素晴らしい会がある。何が素晴らしいかと言えば、20年前に数名でスタートした会が、年を追うごとにメンバーを増やし、70名の会員を擁して20周年を迎えたという点だ。雨後の竹の子のように作られては消えるサークルの歴史の中で、稀有の会ではないかと思っている。
それはとりもなおさず、メンバーの一人一人が実に個性豊かで、決してそれを誇示するわけでも他に強要するわけでもないが、それぞれに人間味あふれる生き方を貫いているからだろう。昨日、20周年を祝う暑気払いの会がもたれたが、そこで交わされた話のほんの数例を、以下に掲げておく。
S氏は71歳になるが、46歳からマラソンを始め、これまでフルマラソン(42.195キロ)を137回完走、あと13回完走して150回達成を目指している。3時間台で走っていたが、最近は4、5時間かかっているという。「一度も賞などもらったことはないが、とにかく完走してきました」と涼しげな目で話してくれた。
K氏はバードウォッチングを趣味とするが、驚いたことには、日本で観察できる300種の鳥のうち200種をカメラに収めたという。500ミリの望遠は、「当初山や草花を撮るつもりだったが、鳥に特化してしまいました」と軽く語っていたが、かなりの努力と執念がなければできることではあるまい。
隣の席に座ったO氏が、写真の整理をしているので見せてもらうと、素晴らしい尾瀬の写真の数々だった。尾瀬の四季を様々撮り続けた写真のようで、素人離れした写真にO氏の人柄がにじんでいた。
Iさんはコーラスをやっているが、今年の秋はオランダへコーラスツアーに出かけ、かのコンツェルト・フェヴォーの演奏をバックに歌うそうだ。。世界に冠たるオーケストラとともに歌うなんて、歌を歌うものとして冥利に尽きるだろう。これまた長年積み重ねた実績のなせることだろう。
Wさんは齢60歳半ば(?)と思われるが、この度、同じく齢60歳代後半という彼と結婚した(いずれも初婚)。Wさんが結婚を決意したのは、彼の「貴女に遭えて、この齢まで待った甲斐があった」という言葉であったという。
山びこの会のメンバーの平均年齢は、20年を経て72歳になったと聞く。この会はいよいよ爛熟期を迎え、これからその本史を歩き始めるのではないか!