旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

個性豊かな人たち … 「山びこの会」20周年の集い

2016-08-29 15:24:48 | 時局雑感

 

 これまで何度も触れてきたが、「山びこの会」という素晴らしい会がある。何が素晴らしいかと言えば、20年前に数名でスタートした会が、年を追うごとにメンバーを増やし、70名の会員を擁して20周年を迎えたという点だ。雨後の竹の子のように作られては消えるサークルの歴史の中で、稀有の会ではないかと思っている。
 それはとりもなおさず、メンバーの一人一人が実に個性豊かで、決してそれを誇示するわけでも他に強要するわけでもないが、それぞれに人間味あふれる生き方を貫いているからだろう。昨日、20周年を祝う暑気払いの会がもたれたが、そこで交わされた話のほんの数例を、以下に掲げておく。

 S氏は71歳になるが、46歳からマラソンを始め、これまでフルマラソン(42.195キロ)を137回完走、あと13回完走して150回達成を目指している。3時間台で走っていたが、最近は4、5時間かかっているという。「一度も賞などもらったことはないが、とにかく完走してきました」と涼しげな目で話してくれた。
 K氏はバードウォッチングを趣味とするが、驚いたことには、日本で観察できる300種の鳥のうち200種をカメラに収めたという。500ミリの望遠は、「当初山や草花を撮るつもりだったが、鳥に特化してしまいました」と軽く語っていたが、かなりの努力と執念がなければできることではあるまい。
 隣の席に座ったO氏が、写真の整理をしているので見せてもらうと、素晴らしい尾瀬の写真の数々だった。尾瀬の四季を様々撮り続けた写真のようで、素人離れした写真にO氏の人柄がにじんでいた。
 Iさんはコーラスをやっているが、今年の秋はオランダへコーラスツアーに出かけ、かのコンツェルト・フェヴォーの演奏をバックに歌うそうだ。。世界に冠たるオーケストラとともに歌うなんて、歌を歌うものとして冥利に尽きるだろう。これまた長年積み重ねた実績のなせることだろう。
 Wさんは齢60歳半ば(?)と思われるが、この度、同じく齢60歳代後半という彼と結婚した(いずれも初婚)。Wさんが結婚を決意したのは、彼の「貴女に遭えて、この齢まで待った甲斐があった」という言葉であったという。

 山びこの会のメンバーの平均年齢は、20年を経て72歳になったと聞く。この会はいよいよ爛熟期を迎え、これからその本史を歩き始めるのではないか!

       
    
              


感動! 陸上男子400mリレー銀メダル

2016-08-21 15:00:58 | スポーツ

 

 地球の裏側リオデジャネイロから、毎日オリンピックの熱風が送られてj来る。いずれも感動に満ちたシーンが多いが、陸上男子400メートルリレーの銀メダル獲得のシーンには、感動を通り越して、まさに鳥肌の立つ思いで惹きつけられた。
 陸上競技の短距離走種目で、メダルを取ること事態そもそも想像のできない事であったからだ。その壁はアメリカにあった。アメリカと言っても黒人の力であり、最近その壁をジャマイカが破っているが、いずれ同種の人種の争いに見えて、そこにに割って入るなど想像していなかった。
 ところが、そのアメリカに勝ったのだ。わずか100分の2秒と言えどもアメリカに勝ったのだ。信じられない出来事が起こった、という思いで心が震えた。「日本だけには負けるな! メダルを取らせたくない」と敵意をあらわにしていたという中国も、アメリカに勝った日本を見て、「日本は本当に強かったのだ」と素直にシャッポを脱いだ、という記事が載っていた。それ程の衝撃的な内容を含む出来事であったと言えよう。
 しかも、「一人ひとりでは勝てなかったが、チーム力では勝てるのだ」という選手たちの発言が、いかにも日本らしく、この日本人の特質を、同じ日本人として誇りに思う。このような感動の機会に、一つでも接することができたということは幸せなことだと思う。

 2016年の暑い夏は終わろうとしている。ゲリラ豪雨が去った庭のマテバ椎の葉末で、ツクツクボウシが鳴いていた。


暑い夏! スポーツ界悲喜こもごも

2016-08-15 13:32:51 | スポーツ

 

 今日は8月15日、71回目の終戦記念日。昨年来の戦争法案騒動で、本来なら戦争論議を深める時節であろうが、オリンピックという熱い戦いに打ち消されて、あまり論議を呼んでいない。
 今日で8月も折り返すが、リオ・オリンピックも後半戦に入りいよいよ熱気を帯びている。前半戦は、体操、柔道、水泳という日本の得意種目でメダル奪取に沸いた。また、カヌーなどという競技でメダルを取るとか、男子卓球で初めてメダルを取るなど、新境地を切り開きつつある。うれしい限りだ。
 日本男子体操の美しさには酔いしれた。速さや高さや力を競うスポーツの中で、体操は美を競う典型的種目ではないか? その面目をいかんなく発揮したと思う。柔道はメダルをたくさん取って復活の兆しを見せたが、柔道自体は実に面白くなくなったと思った。指導とか有効などというルールのために、技を競うより駆け引きのスポーツになったのではないか? どちらかが一本を取るまで無制限に戦ってこそ柔道という気がするが、これも時代の流れか。

 プロ野球は早くも終盤戦に入ってきた。私の今年の期待は、投手では黒田の200勝、マエケンのメジャー二けた勝利、打撃ではイチローの3000本安打と新井の2000本安打、それに広島カープのCS残留という控えめな目標であった。
 投打の目標はすべて達成し、途中からカープの調子につられて優勝の期待が膨らんできたが、このところ怪しくなった。11ゲームの差をつけて、25年ぶりの優勝を本気で期待するようになったのだが、そう甘くない。ここにきて一気に5、6げーにまでつめられた。負け数の差は4であるので、実質4ゲーム差ではないか。こうなると選手層の厚さの違う巨人に対し、勝ち目はないのではないか?
 できれば記録に厚みをつけるため、黒田にあと3勝して10勝を挙げてもらいたい。そうすれば野茂の記録も抜くし、カープも優勝するのではないか?

 暑い夏…、オリンピックと広島カープで、悲喜こもごもの毎日である。


絶賛! オペラ「カプレーティとモンテッキ」

2016-08-07 16:13:37 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

 娘とミャゴラトーリの面々が心血を注いで取り組んできたオペラ「カプレーティとモンテッキ」が、好評を得て終わった。二日とも満席となり、少なくとも私の周囲の人たちは絶賛してくれた。
 私は、この聞きなれない題名のオペラが、いわゆる「ロミオとジュリエット」の物語であるが、シェイクスピアの悲恋物語と全くちがう戦争の話だということを多くに人に語り宣伝してきた。そして観賞してくれた人たちが私に語ったのは、「お前の説明より何十倍も素晴らしかった。やはり見なければわからない、ということがよく分かった」という言葉であった。これは嬉しかった。私は、オペラを見たことがない、という人に「並のオペラではないのだ。騙されたと思って一度見てくれ」と言い続けてきたから…。

 戦争の空しさ、殺しあう人の世の空しさ…、このメッセージは十二分に伝わったと思う。その大半は岩田達宗演出のすさまじさにあったようだ。その演出力で、実力派歌手たちが、その能力の限界以上のものを引き出されて、通常の水準をはるかに超える舞台が生み出されるのであろう。

 両家の争いで、人々は次々に死んでいく。いや、全ての人が死に絶え、黒いヴェールをかむり灯篭を携え、星になっていく。生き残ったのは、戦争の張本人、カプレーティ家の家長カペッリオ(ジュリエッタの父)だけだ。彼が、墓場に横たわるロメオとジュリエッタを見て、「誰が二人を殺したんだ」と叫ぶと、かつての部下で今やヴェールをかむり灯篭を携えた亡霊たちが、「殺したのはお前だ! 人間ども!」と叫び詰め寄る。
 ここで物語は終わる。暗転したあと舞台上にジュリエッタがすっくと立つ姿を映してオペラは終わる。そういえば、ジュリエッタが死ぬ場面は描かれていない。そしてもう一人、重要な役を演じるロレンツォの生死も描かれていない。もしかしたら二人は生きたのかもしれない。少なくともジュリエッタは、「お前は生き抜け!」というロメオの最後の言葉を頼りに生きたのではないか? そして、二人を生かすすために周囲と闘い続けたロレンツォも、また新たな役どころを求めて生きたに違いない。そう見るのは甘いのかもしれないが…。

 以下、初日のゲネプロの舞台の写真をいくつか。

        
 
           
  
  


2016年 夏の敗北

2016-08-01 17:26:17 | 政治経済

 

 都知事選で、野党共闘の鳥越俊太郎氏が負けた。それも、想像以上の大敗北であった。
 直前の参院選の勝敗評価は難しいものがあった。野党としては悲願の「改憲勢力3分の2議席阻止」が達成できなかったので、その限りでは敗北であったが、選挙戦史上初めての幅広い政党レベルの統一戦線が組まれ、一定の前進を果たしたことは、政治史上小さくない成果であったであろう。
 それに続く東京都知事選での共闘は、鳥越俊太郎という格好の人材を得ただけに私は期待した。美濃部都政以来の革新都政を心から望んだ。81歳を迎えた私にとって、「人生最後の時期を革新都政で」という個人的な期待もあった。
 その夢は見事に敗れたが、これほどの大差で敗れるとは想像しなかった。なぜそうなったのか? それが分からない。。ただ、無党派層の20%しか獲得できず(小池百合子は50%獲得)、民進党支持票の30%、共産党支持層でさえ17%を小池にとられるようでは勝ち目があるはずがない。参院選の唯一の評価である野党共闘にヒビが入った感さえ持つ。
 再び、なぜそうなったのか?と問う。この回答には多面的な材料の分析が必要であろうし、その上に立つ思考にも時間を要するので、これ以上ここでは書かない。とりあえず、「2016年 夏の敗北」として深く記憶にとどめておく。

投票ボタン

blogram投票ボタン