旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

核廃絶への具体策を一歩も示し得なかったG7広島サミット

2023-05-22 11:33:44 | 政治経済

 

 核廃絶への原点とも言われる唯一の被爆地広島で行われたG7広島サミットが、その点では、なんらの具体的進展も示し得ず終わった。確かに、核廃絶への「ヴィジョン」は語った。廃絶絵の「思い」は発した。しかし、そのようなヴィジョンや思いは、この世に原爆が投下されて以来、78年間にわたり語り続けられているのである。
 なぜ廃絶への具体策は示されないのか? 核保有国であり、その傘の下に身を置くG7首脳国に、廃絶の意志はないからであろう。核兵器という魔物には、これを一度もったら絶対に手放さない、という魔力が潜んでいる。彼らは、核拡散は許さないが自らの核保有は保ち続ける(自分は持っていいが他は持ってはいけない)。
 だから彼らは、世界の半数の国が賛成し、三分の一の国が批准している「核兵器禁止条約」会議に参加することすらしない。むしろ敵視しているのではないか?
 広島サミットを終えて感じることは、このような兵器を持ち続けようとする“人間の愚かさ”だけである。何が人類をこの愚かさから目覚めさせてくれるのだろうか? ただ、嘆いているだけでは仕方ない。われわれ力のないものは、心を共にする仲間と、核廃絶を叫び続けるしかないのであろう。


岸田内閣は、国民の良識的な憲法意識に従え

2023-05-03 17:01:18 | 政治経済

 

 今日は憲法記念日。国民は、このところ改憲意識を強めてきていたが、今月の毎日新聞の世論調査によれば、岸田政権の下での憲法改正にに、「反対」47%、「賛成」35%と大幅な反対意向を示している。(3日付毎日新聞一面)
 ウクライナ問題や中国の覇権的行動から、自衛力を高める声が強く、この世論調査でも、9条を改正して自衛隊の存在を明記すべきか、の問いに対しては、「賛成」55%、「反対」31%と賛意を示しているが、岸田政権の下における憲法改正には反対しているのだ。
 これは、岸田政権が軍事予算倍増(年間10兆円)を展望するなど、急進的な軍備拡大方向を打ち出していることに対し、国民は危険を感じているからであろう。私は、ここに国民の良識的な姿勢が表れていると思う。
 政府は、この国民の良識を重視し、無謀な軍拡競争の道を改めるべきだと思う。


日本の技術力は大丈夫か?…宇宙衛星打ち上げ失敗に思う

2023-03-08 14:01:20 | 政治経済

 

 前回の投稿で、三年ぶりに春が来る、なんて浮かれていたら、種子島の宇宙センターから衛星打ち上げ失敗の悲しいニュースが届いた。数日前の点火失敗からの再打ち上げであっただけに、ショックは大きい。
 私は、日本人の体質からも、このような土壇場の失敗はないものと信じていた。宇宙競争の分野では後れを取っていると思っていたが、緻密で正確な日本人の体質が、徐々に成功を重ね追いついていくものと思っていた。
 日本は、30年前までは、一人当たりGDPを始め、技術力や国際競争力、学童の学力などで、世界1,2位を競っていた。それが今や、全てが世界20位台に堕ちている。日本は今や、貧乏な後進国となっているのである。
 この失敗は、日本の技術力の低下を示しているのではないか?
 とすれば、どうすればいいのだろうか?


今年はどんな年であったのか … 軍事大国化へ大きく転身

2022-12-18 13:47:59 | 政治経済



 今年はどんな年であったのか? 後世の人は今年をどう評価するか?
 コロナが収束に向かった年、ロシアのウクライナ侵攻、サッカーW杯での日本の躍進、等などいろいろあるだろうが、日本が、軍備において「他国を攻撃できる軍事力を備える」方向を打ち出した、つまり軍事大国化へ大きく方向転換したことが最大の出来事ではなかったか。
 これまでも、憲法9条に照らせばとても容認できないかなり高度な軍備力を備えてきた。しかし「専守防衛」、つまり日本から他国を攻撃することはない、として、軍事化に歯止めをかけてきた。それを一挙にかなぐり捨てたのである。口実にしたウクライナや中国問題を、外交や話し合いを含めた「真に世界平和を達成する道」を求めて、広く、深く話し合うこともなく。しかも、「5年間で40数兆円の軍備拡大」という具体的裏付けもない数字まで決めようとしている。
 政府は野党の協力も得たと、維新と国民民主の賛同を挙げているが、これらはもともと自民党の分派、土壇場では平和勢力という素振りぐらいは見せていた公明党まで、しっぽを振ってついて行ったのか?
 今年も暮れようとしている。新しい年に希望はあるか?


「失われた30年」をもたらした真犯人はだれか?

2022-11-08 15:31:39 | 政治経済



 前回、「全てが壊れつつある」と題して、中でも「日本が壊れつつある」と書いた。その裏には、失われた30年をもたらしたものは何か、という問題意識があった。
 要因については、いろいろと言われている。
①1990年に崩壊したバブルの巨大さ
 しかし、30年もの長きにわたり停滞をもたらした例は、他に見ない。
②新自由主義
 これも日本だけを襲ったのではなく、他国はそれなりに成長している。
③自民党政治が悪い…これは、天に唾するようなものではないか?
 国民はこれを選び続け、近時は特に高支持を与えている。
④労働組合の弱体化、非正規雇用の導入、アベノミクスと黒田金融政策

 いろいろと言われているが、30年の停滞は小さくない。様々な要因が絡み合っているのだろうが、この真犯人だけは捕まえたい。だれかズバリ解明してくれないだろうか?


気になる中国の動向

2022-10-23 17:09:57 | 政治経済



 中国で5年に一度の共産党大会が開かれ、共産党の一党独裁が強化され、周近平氏への権力集中が強められたようだ。よその国の有様に、口を出す資格もないしそのつもりもないが、海を隔てているとはいえ隣の大国であるだけに、その独裁体制の強化はいささか気になる。
 事実、台湾併合のためには武力行使も辞さない、とか、東シナ海や南シナ海に力による現状変更と言える覇権行為が行われている。
 人類は幾多の試練の後、民主主義的共和体制という体制に到達している。多様な価値観を持つ人々が、共同して生活を営む一つの叡智であろう。中国はその道とは真っ向から異なる国に進もうとしているかに見える。しかもそれは、核兵器を持つ14億人を擁する大国で、日本の隣りに位置している。他人ごととして片づけるわけにはいかない。
 それにしても、14億の民は、何を考えているのだろうか?

 

 

 


国家指導者の判断ミスと安倍国葬問題

2022-09-21 14:37:44 | 政治経済



 安倍国葬問題で国全体が揺れている。
 そもそもの起こりは、参院選の勝利に酔って、思い付き的に、軽率に決めた岸田首相の判断ミスにあったのではないか? 安倍政治は、その経済政策(アベノミクス)にしても安保政策など政治姿勢にしても国論を二分していた。特に、当面の問題である旧統一教会問題では、岸信介氏に始まる岸・安倍一族の深いかかわりは自明のこととされている。
 とても国を挙げて評価し、国葬をもって葬ることに国論を統一するには無理があった。従って、日を追って国葬反対の世論は高まり、17,18日行われた毎日新聞の世論調査では、反対が62%に達している。(賛成はわずか27%〉 そしてついには、国葬に抗議して焼身自殺する人まで出たのである。
 折しも行われたエリザベス女王の国葬の模様が伝えられたが、その規模と荘厳さに圧倒された。恐らく強行されるであろう安倍国葬は、一層惨めに映るのではないか?
 国の指導者の判断力…、これほど重要なものはない。

 


終戦を挟む二つの77年

2022-08-21 14:47:23 | 政治経済

 

 八月は第二次大戦の終戦を記念する月である。1945年8月、6日に広島、9日に長崎に原爆を投下され、15日にポツダム宣言を受託し敗戦を迎えた。日本は焦土と化していた。今年はそれから77年目。
 一方、敗戦の年から77年を遡ると明治元年(1868年)、つまり明治維新に突き当たる。この明治維新は、鎖国に守られた泰平文化の江戸時代に幕を下ろし、日本の目を一気に海外に向けさせた。以降、日本は国を挙げて軍事強化に励み、覇権主義的海外進出に突き進む。日露戦争、日支事変、大東亜戦争(第二次大戦)への道である。満州(中国東北部)にカイライ政権を樹立し、朝鮮、台湾を植民地化し、更に南洋諸島の石油権益に手を伸ばした。勿論それは、世界列強の許すところでなく、前述の敗戦につながった。
 翻って戦後の77年間、日本は平和の道を歩いてきた。少なくとも形の上で、日本国民が他国と戦火を交えることはなかった。しかし、実体的にはアメリカの世界軍事戦略に組み込まれ、自衛隊は軍隊そのもの力を備え、5兆円を超える軍事予算は、米・中を除く列強に比肩する。それでも戦火の道に踏み出さなかったのは、平和憲法を守る日本国民の闘いの成果であっただろう。
 ところがここに来て怪しくなってきた。ロシアによるウクライナ侵攻、北朝鮮の核開発、中国の近海覇権行動(含む台湾有事)などが、一気に軍備強化、軍事大国化に日本を向かわせようとしている。
 次の77年に向けてどのような一歩を踏み出すか? 日本は岐路に立っているのではないか。

 


どうなった? 参院選挙の結果は…

2022-07-15 11:12:33 | 政治経済



 安倍元首相の射殺事件などがあって、重要な国政選挙であった参院選挙の結果など、あまり議論もされず過ぎ去ろうとしている。。ただ、与党勢力の大勝、野党共闘の後退と敗北、ということだけは確かなようだ。
 野党は、統一戦線の中核である立憲民主党と共産党が、得票数、得票率、議席とも大きく減らしているのだから、大敗に相違ない。共闘をどう組みなおすかを含めて、今後の大きな課題であろう。
 一方、現政権の中核である自民と公明についてみてみると、比例区においてはいずれも得票率を減らし、議席も一つずつ減らしている(前回比)。公明党に至っては、投票率が増加したもとで比例の得票数も減らしている。つまり国民は、現政権に熱烈な支持を寄せているわけでもないのだ。
 ただ、前述した野党共闘の後退もあって、一人区で、「小選挙区的圧倒的議席獲得」を納めた結果に過ぎない。加えて維新の会などの与党勢力が、これを補完して伸びたため、改憲勢力3分の2など、圧倒的勝利の形となった。
 前述したように、国民は現政権に熱烈な支持を送っているわけではないが、結果としては与党勢力(含む維新、国民)に圧倒的支持を与え、今後の国の進路を委ねてしまった。恐らく憲法は変えられ、自衛隊を公認することになるだろう。
 しかし、それで日本は普通の国になるだけで、本当の反戦運動はこれからかもしれない。国内はもとより、世界、なかでもアジアの平和勢力と手を結んでいく必要があろう。


杉並区長選、岸本聡子氏の勝利を喜ぶ

2022-06-21 14:02:18 | 政治経済

 19日行われた杉並区長選挙で、立憲民主、共産、社民、れいわ新選組、生活ネットなど野党連合が推す岸本聡子氏が、自民、公明の推す現職現職田中良氏を破って初当選した。その差わずか187票、前回より投票率が5.5%上がった追い風の中での出来事であった。この投票率アップがなければ、187票の差は生み出せなかったかもしれない。初の女性区長(東京23区では3人目)の誕生という歴史的快挙であった。
 私は、杉並区に60年間住み続けているが、常に革新的気概あふれる区であった。上田耕一郎氏の平和運動、河村書店の民主化活動、松本善明、いわさきちひろ夫妻の革新・文化運動……などなど常に生気にあふれていた。しばらく低迷も続いたが、前回の総選挙で、野党統一の女性候補が自民の頭目石原伸晃氏を破って節目が変わったかに見えた。悲惨なウクライナ戦争のさなかの、女性候補の勝利にも意義を感じる。
「世界の首脳陣、各国の主要都市の首脳陣の過半数を女性が占めるようになるまで、世界から戦争の火は消せない」という有力な仮説がある。この岸本聡子氏の勝利が、「世界から戦争の火種を断つ灯」への点火の、さきがけとなることを祈ってやまない。  

       


投票ボタン

blogram投票ボタン