今日・・・3月末日、先月亡くなった義姉の四十九日の法要を行った。義姉(妻の長姉)は、昭和5年生まれ、青春時代は、いわゆる「銃後の守り」(こんな言葉、若い人は知らないと思うが)を生き、その後も実につつましく清く正しく生きた人であった。
わが家は、義姉の家の庭続きであるので、私の子供たち(男二人、女一人)はまったくの「おばチャンっ子」で、半分は義姉に育てててもらったようなものであった。
かく言う私も義姉の世話になった。私の本を多くの人に宣伝し、売ってくれた。酒好きの私に、旅先から必ず「その地の酒」を買ってきてくれた。酒を飲まない義姉が、周囲の人に、酒飲み以上の気配りをしていたことが、今日の法要でも話し合われた。
法要を終えてわが家に帰ると、たちまち電話のベルが鳴った。
その電話は、『旅のプラズマ』増刷(ほんの2刷であるが)の知らせであった。
「新風舎のS(編集者)です。おめでとうございます。『旅のプラズマ』増刷することになりました。品切れになった上、本屋などからたくさん注文が来ていますので、来週早々から増刷に入ります。これまでに聞いた校正箇所は私の責任で校正しますが、それ以上の修正箇所があれば月曜日の午前中にご連絡ください。」
という電話を、私は夢心地で聞いた。
義姉は、つつましく生きて七十七歳で逝った。まだ生きて欲しかったが癌がそれを阻んだ。しかし、人は去って必ず相応のものを残してくれる。義姉は生前から多くの支援を与えてくれたが、今日の中陰の日(注)をもって、私に大きな喜びを与えてくれたのであろう。
(注)中陰:生前までの報いが定まって次の生にうまれ
かわる日(広辞苑)
三月は季節の移ろう時節、環境問題や教育問題など時の話題に流された。義姉の贈り物のような増刷を機に、そろそろ『旅のプラズマ』に立ち返ろう。