旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

晩酌のつまみ … 同じものばかり食っているのではないか?

2021-08-30 14:36:51 | 

 

 酒の肴となると、刺身をはじめとする魚介類から季節の野菜、山菜類、はては鍋物に至るまで多岐にわたるが、通常は手短にある好物で済ます。
 昨夜も、『奥の松特別純米酒』を傾けながら、前に並べた三つの皿を次々とつついていた。見ると右から、チーズ、冷奴(豆腐)、納豆と並んでいる。いずれも私の好物だ。冷蔵庫を開けるとこのいずれかは入っているので、酒の肴に困ることはなく、しかも酒(日本酒)とのマッチングは最高だ。
 しばらく飲んでいてハッと気が付いた。これらはみな同じものではないか? 豆腐とチーズは、片や植物性(大豆)、片や動物性(牛乳)の違いでたんぱく質のかたまりと聞いている。納豆に至っては発酵食品とはいえ豆腐の原料たる大豆の原型だ。みな同じものではないか?
 発酵食品と言えば飲んでる酒はコメの発酵物だ。晩酌を終えてお義理に少量の米メシを口にしたが、これは今まで飲んでいた日本酒の原型だ。何が何だか分からなくなってきた。
 このことを妻に尋ねると、「何を馬鹿なことを言っているの。豆腐とチーズは植物性、動物性で立派に別物よ。納豆は野菜、豆腐はたんぱく食品。別物よ。それよりも私の作ったサラダと、豚肉と野菜の煮物をもっと食べなさい」と一蹴された。
 見ると「野菜サラダ」と「煮物」が添えられあり、ほんの一箸つけただけで大量に残されている。その罪悪感に苛まれて、何も反論しなかったが、そのあと風呂の中でも寝床についても、「俺は同じものばかり食っているのではないか、これで生きて行けるのか?」という思いが消えず、どうもすっきりしなかった。


猛暑の中を飛び交う明暗様々なニュース

2021-08-25 14:13:18 | 時局雑感

 

 コロナの感染は拡大を続け、それにつれて緊急事態宣言の地域も拡っている。当然重症者数も増加、各地で医療崩壊が叫ばれている。入院できないコロナ患者妊婦が、やむなく自宅で出産し生まれた子供の命を失った悲しいニュースが流れた。
 その中で、感染拡大の主因と言われる人流、三密を生み出すオリンピックが続けられ、昨夜パラリンピックが開幕した。アスリートたちのこれに向けた努力と思いを告げられると、何とか開いてやりたいと思うが、もっと祝福される形の開催はなかったものかと思うと悲しい。
 海を越えてアフガニスタンでは、再びタリバンが蘇り、無法、人権無視、テロの脅威が叫ばれている。アフガニスタン情勢は振出しに戻ったのか。20年間に及ぶアメリカの戦争は何を意味したのか? アメリカは莫大な金と人力をつぎ込んだのであろうが、力で他国を抑圧する無策を世界に示しただけであった。その他、ミャンマー情勢、台湾情勢、中国の覇権主義的行動など暗いニュースが続く。

 唯一明るいニュースは、エンジェルスの大谷選手の活躍ではないか! 次々と大リーグ史上の記録を塗り替えるニュースが続いているが、今日も「40本塁打、20盗塁」という新記録に挑んでいる(現在40本塁打19盗塁)と今朝のニュースが伝えていたが、果たしてどうだったのだろうか? 記録よりも彼の明るい人間性が全米で評判になっているということが嬉しい。
 郷里の臼杵から早くも秋の味覚「かぼす」が届いた。例年9月のことであるが、今年は実りが早かったのだろうか? それとも、これも異常気象の表れかな? いずれにせよ明るいニュースだ。「今夜はお刺身のほかに天ぷらも揚げるか」と娘が腕をさすっている。

   


さびしい夏 … ③無観客

2021-08-18 14:04:25 | 時局雑感



 誰にも会えない、何も開かれないさびしさを書いてきたが、人の世が続く限り全ての営みが閉じられているわけではない。甲子園では高校野球が行われているし、プロ野球もサッカーも熱戦が繰り広げられている。ただ、全てが無観客や大幅な入場制限の下に行われているのが淋しいのだ。

 大相撲も当初の無観客からようやく一部の入場がゆるされてきたが、それでも飲食は禁止され応援も声援はだめで拍手だけとなっている。異常ではないか? 私が最後に観戦したのは2014年の9月場所であったから既に7年前のなるが、マス席でチビチビやりながら「旭天鵬!」などと声をかけながらの観戦は、何とも言えない雰囲気だった。力士の奮闘もさることながら、お目当ての力士に送る多彩な声援に包まれた会場全体の高揚感こそが大相撲というものだと思った。
 無観客の寂しさを最も強く感じたのはオリンピックであった。全世界のアスリートは、4年に一度(今回は5年目であったが)のオリンピックを目指して技を磨き、磨き詰めてその日に臨む。その技の展開は、それをすぐそばで見つめるキラキラと輝く観衆の眼(まなこ)と共にあるのではないか? 無観客までしてオリンピックを開く意味があったのか? 延期も出来なかったのか?
  しかし、出場選手のインタビューなどでは、殆どの選手が先ず「このような状況で開催して頂いたことに感謝する」と発言していた。アスリートにとっては、先ず開催されること、技を披露する戦いの場が提供されることが一番なのだ。それだけ苦しい準備を積み重ねてきたのであろう。
 とはいえ無観客は、2021年のさびしい夏を象徴する言葉であることに相違あるまい。


さびしい夏 … ②開かれない諸行事

2021-08-15 14:15:46 | 時局雑感



 前回、会いたい人に会えない淋しさを書いた。その原因の多くは、通常行われてきた習慣行事や例年行事がパッタリ行われなくなったことにによる。「人流」や「三密」を避けるコロナ対策によるものである。
 この傾向は何も夏に限らない。年中行事として行われてきたあらゆる祭りやイベント、諸会合や諸交流が全て消えようとしている。もちろん、コロナなんてやがては終わり、長期的に見ればこれらの伝統行事が失われることはないだろう。ところが、先の短い超高齢者(私は86歳4か月)にとってはかなり深刻な問題なのである。
 私が主宰する酒の会「純米酒を楽しむ会」は年2回の開催を計画してきたが昨年来開かれてない。先行きが見通せず準備の関係もあるので「当面無期延期」とした。参加者も高齢者が多く、ここに来ての無期延期は実質解散を意味する。多分、開かれることはないだろう。
 銀行時代の親しい仲間でつくる「心友会」は30年ぐらいの歴史を持つ文字通り“心の友”の会であるが、これも中止になって2年近くになる。コロナは心の友をも裂こうとするのだ。その他、高校、大学、銀行時代の仲間で作る同窓会がたくさんあり、これらが年間を綾なして多彩な絆を結んできた。少なくともここ一年、そのどれ一つも開かれていない。そして、その多くがこれを機に消えていくのではないかと思う。

 花火、盆踊り、海や山、旧友、… これらの集いを象徴する夏が過ぎてゆく
 何も開かれない、さびしい夏が過ぎてゆく

 
   2015年8月の東京湾華火


さびしい夏 … ①会えない

2021-08-13 14:06:59 | 時局雑感




 子供の頃はもちろん、これまでを振り返って夏が一番行動的な季節であった。一番多く人と交わる時節であった。

 山の会や友人たちと連れ立って山や海に出かけ、久しぶりに会う友と夜を徹して語り合った。お盆という行事もあって遠く故郷に帰ることも夏が多かった。小中学校の友に会うのは、この機会ぐらいのものであった。家族旅行も夏休みを利用することがが多く、海浜の宿や山荘で子供たちとのきずなを深めた。
 暑気払いと称して様々な人とと会った。ビヤホールで気炎を上げ、行きつけの飲み屋で深夜まで語りつくした。夏…、それは最も開放的で、行動的な季節であった。

 今年はどうか! ほとんど誰一人にも会っていない。今年どころか、昨年以来「会えない」時が続いている。新型コロナウィルスのせいだ。5次におよぶ感染ピークに襲われて、対応する緊急事態宣言が繰り返されているからだ。沢山の友から電話はかかり、「コロナが終わったら一杯やろうね」と電話を切るが、それが実現する機会は来ない。
 ついでに言えば遠くの友と会う機会も次々と逃している。冠婚葬祭は長年会えない親戚や旧友と会う絶好に機会だが、次弟の三回忌(昨年12月大阪)、母の13回忌(今年4月臼杵)も簡略化を余儀なくされ皆に会う機会を失った。今年11月は三弟の7回忌であるが、それまでにコロナが収まっているとは想像しにくい。
 年をとるといろんな人に会いたくなる。とはいえ行動力が伴わないので、何か機会が欲しい。しかしその機会さえ失われていく。ほんの近くの永福町に6歳になる孫が住んでるが、昨年11月の七五三以来会っていない。
 会えない夏…、こんな淋しい夏はない。

 
  わが家の庭先に咲いたユリ

 


日本の八月

2021-08-07 10:59:05 | 時局雑感




 日本人にとって八月は特別の意味を持っている。

 1945年8月15日、第二次世界大戦に敗北した日本はポツダム宣言を受託し、自由と民主主義を基調とした新しい日本を歩き始めた。それに先立つ8月6日広島に、8月9日長崎に原爆が投下され、日本は世界で初めての被爆国となった。
 70数年を経た現在、国連では核兵器禁止条約が可決され各国の批准が進められている。その禁止運動の先頭に立つべき被爆国日本は、アメリカの核の傘の中で条約に反対し続けている。日本人は八月を迎えて、「何を為すべきか」を真剣に考えるべきであろう。

 76年目の八月を迎えた日本は、コロナ禍とオリンピックにまみれている。オリンピック開催都市東京のコロナ感染者数は、8月5日ついに5000人を超えて、今月中にはピークを迎え1万を越すであろうと専門家は予想する。次のパラリンピックと続くこの八月、九月は、コロナ患者のピーク時と重なり、後世の歴史に書き残されるだろう。
 このような時になぜオリンピックなど…、と国の無謀を非難しながらも、次々と繰り広げられる美しい技に興奮し、この選手たちのためには何とか開いてあげなければ…、とも思う。まさにコロナ禍とオリンピックの興奮にまみれて、「日本の八月」を思う余裕もない。
 どうすればいいのか?思い悩む夏は続く。


コロナ感染状況を伝えるNHKテレビ(8月7日土曜日)

 
 空手男子形で沖縄県民で初の金メダルを獲得した喜友名 


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