マラソンは大好きなスポーツ(もちろん観戦だが)であるが、今日の大阪国際女子マラソンを観て改めてその難しさを痛感した。
スポーツの中でも、マラソンは最も多くの敵と戦わなければならないスポーツの一つであろう。しかも長時間にわたって。
相手との戦いは当然であるがこれはさておき、もう一つその日の気象条件と戦わなければならない。しかもだんだん変化する気象条件と長時間戦うのは大変なことだと思う。
今日は朝から雨・・・、スタート時は上がっていたが途中からひどくなり、それに応じて気温が下がる。ゴールした殆どの選手が後半の体の冷え込みが辛かったと話していた。「いつも後半は体が冷えてくるが、今日は特にひどく体が動かなくなった」と言う選手も居た(高位入賞者で)。夏の高温、冬の冷え込み、しかも予想以上の天候に見舞われたとき、その変化との戦いは並大抵のことではないだろう。
それ以上の大敵は「自分」ではないか? 自己との戦いはあらゆるスポーツに共通するが、2時間以上かけての戦いは熾烈であろう。
自己といってもいろいろある。先ず体調。これも走り始めて新たに気づくことも多いだろう。相手と気象との戦いとあいまって「不安」や「恐怖」との戦いも厳しいと思う。逆に「慢心」「驕り」も大敵に違いない。
今日の赤羽選手(ホクレン)は、これらの要素だけでなく私たちには想像もできない多くの敵と戦い続けていたのであろう。膝の故障をかかえ、大変な不安と恐怖と戦いながら、前半は好調に見えたが大阪城内の急な下り坂で一挙に調子を落とした。有森さんなどが「今後のことを思えば早くレースを止めるべし」としきりに放送していたが、以降10㌔近くを走り38㌔地点でコーチ(夫)に抱きかかえられついに棄権、中止させた彼は「もっと早く止めさせたかったが間に合わなかった」と話していたと言う。
スポーツ者にとって途中棄権は最も恥ずべきことにちがいない。その「止めたくない」という自分との戦いが一番難しいことかもしれない。