桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

無視してる訳ではないが

2014-06-27 | Weblog
但木敬一を書いたところに、柳田豊さんを皮切りに論争の書き込みがある。
俺は柳田さんの冷静で正確な書き込みを認めているし、信頼出来る人だとも感じている。
ただ、慰安婦問題では、残念ながら意見を異とする。確かに、柳田さんの書くように拉致されたごとき話や慰安婦の数字などは誇張もあると思う。しかし、慰安婦となり、日本軍の管理下にあって自由を奪われていたことに違いはない。意に反して強制されたのだ。金持ちがいたとか、いい思いをしていた者もいたとか、そんな些末は意味をなさない。ことが戦争の中で行われ、敗戦で大量の資料を燃やした日本が、今になって証拠がないとか、裏付けがないなどと声高に主張して、何の利益があるのだろう。
俺には理解出来ない。
橋下辺りは、俺もやったが、お前たちもやった!だから同罪だと言いたいらしいが、そのような主張が、本当に国際的な指示を得られ、日本国の信頼になると思うのだとしたらば、こんなにお目出度い話はない。
個人であっても国であっても過去は変えようがない。過去があって今がある。今に不満を持つ者は、とかく過去を美化したりしがちだが、日本軍が行った行為を言い繕うとしても、今さら無理な話だし、却って国際社会で嘲笑されるだけだろう。
今になって南京虐殺はなかったとか、強制された慰安婦問題は韓国の作り話だなどと騒ぐ連中があるのは、俺は日本自身に問題があったと思っている。
先日、ワールドカップで敗退した日本について、「同じ失敗を繰り返すのは、本質的な反省をしないからだ」と批判する言葉があったけど、あの戦争についても、日本人自身は、戦争の本質を突き詰めて反省したろうか。
戦争を煽り、戦争に突き進んだ連中(政治家、軍人、資本家、マスコミなど)の問題を、日本人は「1億総懺悔」として考えないで来た。だから、今になって、馬鹿げた論争になったり、馬鹿げた主張が許されたりするのだと、俺は思っているけどなぁ。

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2 コメント

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私見として (柳田豊)
2014-06-27 22:30:59
 つくづく慰安婦問題は難しいな、と思います。だからこそ、先入観を一切排して見るようにしています。

 桜井さんの言わんとすることがわからないわけではありません。誰だって身内の女の子が身売りするのは悲しいでしょう。
 また、太平洋戦争の司令部の傲慢さ、大本営発表の情報統制ぶり、特攻隊の人命軽視など、当時の軍隊には納得できないことが多々あります。
 私を呼び捨てにした名無しは相当思い込みの強い輩のようです。

 ただ、やってもいないことをやったと言われるのは納得できないし、そもそも「冤罪をなくそう」と訴えているのに矛盾してはいませんか?

 何と言っても確たる証拠もないのに訴えていることだからあちこちに矛盾が生じます。
 今まで何度も書きましたが、韓国人が「無能で無気力で無責任で秘境で臆病な変態ぞろい」と言うことになってしまいます。彼らの主張を素直に聞けば、ですが。
 日本をこき下ろしているつもりが、自分たち自身の首を絞めてもいる。これ、放置したら韓国の将来はかなり悲惨なことになるのではないでしょうか。セウォル号事件などもあったし、心配です。
 ちなみに、セウォル号で水死した高校生の保護者たちが「大統領と直談判する」と言って警官隊とにらみ合いしていた映像を見ると、慰安婦の強制連行はウソだと思います。
 本当に強制連行したら、娘たちの家族や近所の人たちが黙っているわけがないと証明していますから。
 
 なお、「今になって南京虐殺はなかったとか、強制された慰安婦問題は韓国の作り話だなどと騒ぐ連中があるのは、俺は日本自身に問題があったと思っている」はまさにその通りで、元を正せば日本人による捏造です。
 南京大虐殺は昭和12年の朝日新聞の戦意高揚記事が元ですし、慰安婦強制連行問題は吉田清治という作家が「私の戦争犯罪」で「わたしは済州島の娘たちを駆り集めてトラックに載せた」と描写したのが始まりです。
 そして、「当の日本人がそう言ってるじゃないか」となって面倒な事態になってしまいました。
 戦争の反省の仕方がどこか狂っていたということでしょう。

 最大の問題点は、自分で確かめず、思い込みだけで物事を裁いてしまうことです。
 自分のエゴをどこまで突き放して冷静に判断できるか、ですね。

 それを刑事や検事、そして裁判官が心得るべきことであるのは言うまでもないでしょう。
 
 
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慰安婦問題 (Tri)
2014-07-01 01:38:46
慰安婦に限らず、貧しい農村から見てくれの良い女子を奉公と称して見受けして、桶屋で働かすという事は広く行われていた事を考えると、自発的もしくは家族に売られて等と様々な形で慰安婦として働く事になったのだろうとは思います。

とはいえ、こんな事は当時どの国でも遠からず起こっていた事ですし、発展途上国では現代でも続いている事です。日本だけ特別悪質であるという訳では有りません。もちろんこの論理をもってして日本に罪無しとまでは言いませんが、実態としては単純に全てが強制連行された性奴隷という訳ではなかったのだと思います。

私は今の慰安婦問題の一番の問題点は、既に一度政治的に河野談話という形で韓国政府と折り合いをつけた筈のこの問題を韓国政府が蒸し返している事にあると思います。

私も日本人である以上、ろくに証拠も無いにも関わらず相手の求めるままに非を認めたくは有りませんが、これはあくまで政治的な解決な訳ですから有る程度妥協を求められるのも理屈の上では理解できなくは有りません。

でも、そこまで折れて折れてあの屈辱的な談話を出してまで相手に折れたのに、後でまた蒸し返されて攻撃されるのでは、阿部氏が河野談話に対して物言いをいいたくなるのも無理は無いと思いますし、実際多くの日本人も同じ心境だと思います。

今の日本人の韓国に対する気持ちは、おそらく、少しの過ちがあったとしてもそれを裏付ける証拠が無ければ軽々と認めてしまってはいけない、和解したと思って少しでも背中を見せればブスリと刺してくる油断ならない連中だ、という感じではないでしょうか。

こうなってしまったのも、正直当時の内閣が余りに韓国に対して脇が甘かったのが原因でしょう。あれだけの談話を出すのであれば、政府として納得して今後慰安婦の件で賠償を請求しない位の言質は取るべきだったのです。相手の善意を一方的に信じ込んで、後で裏切られた様なものです。
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