桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

ビックリ!

2010-08-27 | Weblog

川遊びをしていた夕方、俺と、マサト、ユウト、ヒロトで、最後に上流へ行った。
ヒロトの手を引いて行ったらば、先に行ったユウトが「ショウジ!ショウジ!また魚を捕ったから、早く!」と呼ぶ。ヒロトに、ゆっくり来なさいと言い、飛んで行ったらば、今度はウグイを突いていた。それも銛の歯の間に挟まっていた。
ユウトは、逃げられないように殺すと言うが、俺は大事に持ち帰るから大丈夫だと返事して話していると、ヒロトが7~8メートルくらい前から水の中へ走り出し、少し深くなった辺りで転んだ。
大した深みではないはずで、怪我もないだろうし、すぐに起き上がると思って、起き上がる顔を想像して「ヒロトが転んだ!」と笑っていたらば、なかなか起き上がらないで藻掻いてる。マサトが「溺れてるよ!」と言った声と同時くらいに走りだした俺は、ゴムスリッパも脱げるくらいにダッシュ。ヒロトに向ったらば、いきなり腰まで、水。かなりの深みだった。
ヒロトの服を引いて抱き上げたが、ヒロトは泣きもしないで驚いたように目をパチクリするだけだった。
ユウトが寄って来て言った、「ヒーくん、注意しなくちゃダメだよ!」そして、言った。「アッ、ショウジ、魚は!!」
夢中になったせいで、すっかり魚の入ったバケツを忘れていた。「だから、殺そうと言ったろ!こういうときは、まずバケツを置いて行くんだよ」言われてしまった。
しかし、驚いた。目の前だから良かったが、子供は目を離したらば危ないと、改めて思った。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿