桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

激変

2008-07-30 | Weblog
高裁での決定以来、俺の周辺が変わり始めた。
今週、何度か東京へ行っているが、その度に、地区の人から声をかけられる。自動車の窓を、わざわざ開けて「こんちわ!」。昨日は、事件の日に会い、きっと警察に調べられたろう人が、これもわざわざ車を停めて「乗って行けよ」。
役場へ行けば寄って来て「良かったね」「おめでとうございます」「テレビで見たよ。よく判ったよ」何人もから声をかけられた。
スーパーへ行けば「桜井さんだよね?苦労したね。頑張ってね」。「まだやってたんだね。何時までやってんだろ。困っちゃうよね。頑張ってね」と言ってくれた人は、事件当夜、Mさんの息子に自転車を貸したHさんだった。「自転車を貸した時間が明らかになると俺たちが犯人にならなくなるから、調書を隠してるんですよ」と話したら、呆れていた。
俺は仮釈放で社会に帰ったとき、無実の俺だから、何があっても地元で胸を張って堂々と暮らしてやる!と思っていた。そして、その通りに生きて来たが、やっと理解してもらえる日が来たのかもしれないと、すこし嬉しい気持ちになった。
でも、俺は俺。あの日も今日も、何も変わらない俺だけどね。


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