桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

東住吉事件国賠裁判

2018-09-30 | Weblog
国賠裁判仲間の青木恵子さんの裁判を傍聴に行った。
東住吉事件はホンダ車のガソリン漏れが原因で、屋内駐車場にあった風呂釜の種火に引火した自然発火を放火と誤認した警察が、本来は被害者である朴さんと青木恵子さんに「放火した」と自白させた冤罪事件だ。
今回の裁判では、起訴した検察と警察は、2回の火災実験を行っていたこと。しかも、弁護団と裁判所には内密に行った実験は、火災原因となった風呂釜の種火を用意しなかった上に、ガソリンを2度に分けて撒いたり、火を点けるのに長い棒や火を点けた物を投げ付けたりしただけで、朴さんの自白にあるような「ターボライターで火を点けた」実験は行わなかったそうだ。
科学的な事実を無視して自白だけで強引な犯人作りをする警察と検察の面目躍如たる実験だ。
もし、このときに現場状況を再現した実験を行っていたならば、朴さんも青木恵子さんも、それから20年にもなる獄中生活はしなくて済んだはずだ。
すでに弁護団は、起訴以前と違法行為主張を行い、国の反論を待っているが、反論には、この年末までの時間が必要だと言う。裁判長が「年末の28日に提出されても困りますが」と笑いながら提出日の確定を促したらば、「では、27日に」とぬかした。
思わず、「舐めてんじゃないのか!」と声を出したらば、何だかんだと言い訳した。
たまたま入浴中の娘さんが亡くなり、学資保険が掛けてあったことから、何でも悪意に解す警察が「放火保険金殺人!」と早とちりした訳だが、朴さんの放火自白ガ不可能であることは、警察と検察も判っていたはずだ。だからこそ、2回の秘密実験では、種火を用意しなかったし、ターボライターでの放火実験もしなかったのだ。
ガソリン7リットルを屋内駐車場に撒いてターボライターで火を点けたならば、誰が火を点けても大火傷か焼死する。判っていたから、やれなかったことは、普通にガソリンの性質を知る一人ならば理解出来るだろう。
こんなことをしながら、まだ警察も検察も朴さんは青木さんを冤罪被害者にした責任を認めない。
間違ったらば詫びるのが人間じゃないのか!
結局、警察も検察も、総てが自分の責任にはならず、税金を使って抵抗し、責任も税金で支払うことになり、冤罪被害者を作った個人は無責任で済むからダメなのだ。
「科学的事実を無視して冤罪事件を作った司法関係者は、その行いで冤罪被害を被った者と同等の罪を得ることとし、更に冤罪被害者に対する賠償責任も負うものとする。なお、賠償責任は、当事者の死でも免れないものとして、その遺産をも賠償責任の対象とする」なんて法律が出来たならば、今回の法廷で裁判をバカにしたような態度をしめす検察から来ている国の代理人の態度は変わるだろうなぁ。

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