桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

福井女子中学生殺し事件

2017-06-10 | Weblog


今日は福井に来ている。
福井女子中学生殺し事件の現地調査だ。
この事件で犯人にされた前川彰司さんは、1度も自白していない。それのみならず全く証拠はない。
前川さんが有罪にされたのは、前川さんが血だらけ姿だったのを見た、とする証言があったからだ。
その証言が出て来た経過こそ、福井女子中学生殺し事件の冤罪性を物語る。
暴力団員だった横山と言う男が覚醒剤事件で逮捕された。自分の罪を逃れたい気持ちから、周囲にいる仲間たち、付き合っていた女性に「女子中学生殺し事件の犯人を知らないか。俺の力で犯人が逮捕されたならば刑期が短くなる」と、警察の留置場から手紙を出したりの工作を始めた。やがて「俺が血だらけ姿の前川を見た」と言い始める。周囲の不良たちを巻き込んで犯行などの裏付け証言を作り上げる。
犯人として逮捕された前川さんは、警察の暴力的な取調室に耐えて自白しなかったが、前川が女子中学生殺しを認めた自白を聞いたとか、血だらけと前川さんを車で運んだとか、アパートに匿ったとかの証言によって起訴されて裁判になる。
1審は無罪判決だ。
横山はじめ、犯行を語る証言は嘘だから変転を重ねるゆえ、当然の無罪判決だったが、高裁は、これを逆転して有罪。最高裁で確定して刑務所へ行った。
再審も1度は認められたが、また高裁の異議でダメになっての今だ。
今日の現地調査では、事件現場を再現したセットを作った。横山たちの語る「前川自白」をはじめ、被害者の状況が示す事実が、実に良く判った。
次の再審請求では、必ずや再審が実現するであろうと確信を得る現地調査になった。
しかし、前川さんの件を考えると、他人の言葉だけを積み上げて犯人に作り上げてしまう警察と検察の酷さ、怖さを知らされるし、共謀罪が作らた後を想像させられるよ。

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