桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

死刑

2013-02-07 | Weblog
東京拘置所にいたとき、4舎2階は死刑囚が収容されていた。
俺は、4舎3階と4階を経験したから、同じ建物にいる死刑囚とは、4舎用の運動場で隣になったりした。扇状に作られ、8個くらいに区切られたスペースの隣になったとしても、もちろん会話は出来ない。死刑囚と他の収容者の接触は許されなかったし、扇状の要部分に見張りに立つ職員がいるからだ。
死刑囚たちは、月に何度か、雑居房だった5舎の運動場に行ってソフトボールをしていることもあった。今はなくなったらしいが、死刑囚に擦れ違ったり、運動場の隣になったり、ソフトボールで遊んでいるのを見るたびに、死刑囚はどんな心境だろうと思っていた。今日は、今から、渋谷の映画館、ユーロスペースに行って死刑に付いて語る。
死刑映画の特集をしているのだが、正直、俺は死刑を語るのに適任ではない。死刑囚ではなかったからだ。でも、冤罪を体験する中で死を見つめる恐怖を味わったし、国家が人を殺すのは間違いだと思っている、その思いを語るつもりだ。

隠蔽

2013-02-07 | Weblog
自分に都合の悪いことは隠す。人の常で理解出来る心理だが、人は個人の意識さえあれば、正直に告白することは出来るけど、組織となると、そうは行かなくて、本当に日本の組織は汚いことばかりをする。
今朝は、福島原発で国会の事故調査委員会の視察を拒むために嘘を言った件が報道された。
何でも原子炉の破壊状況を見たいと希望したのに対して、現場は真っ暗で視察不可能と言って拒否したけど、実際の現場は明るくて視察が可能だったことが判ったらしい。
日本って、あらゆる組織が、こうではないだろうか。学校、会社、警察、検察、裁判所etc、事が発覚しても正直にならずに、見え透いた嘘を重ねて責任逃れを行う。
情けないやなぁ、こんな姿は。
福島原発は津波によって暴走したことになっているが、俺は地震の破壊によっての可能性を感じている。原発を金儲けに考える連中が日本社会を仕切っている限り、闇に葬られるのだろうが、この福島原発事故の真摯な反省が行われないのでは、また人の住めない地区を生み出す原発事故は起きる。その日は、残念だが、そう遠くはない。
原子炉は運転していようが、休止していようが、地震や災害で暴走する。災害列島日本は大地震の多発時期に入り、近い将来に、また東日本大地震並みのが起こる。あっちこっちに原発はあるのだから、そのときは、また暴走だ。次に住めなくなるのは、どこだろうか。
そんなことを思うニュースだったなぁ。