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普通の生活の中での、思いついたこと、考えたこと。何かを表現したい、書いておきたいと思った時に、ココで発散しています。

星の王子様

2010-02-12 08:23:07 | おうちのできごと
昨日は、自宅療養中の従兄弟を見舞う、電車で1時間ぐらい。
私一人で行ってきました。

従兄弟の名前はコウちゃん、今年で27になる。赤ちゃんの時からよく遊んであげていた。
「おねえちゃんおねえちゃん」と言ってどこへ行ってもトコトコついてきた。
かわいかった(#^.^#)


降りそうで降らない空模様、お昼ごろコウちゃんのおうちへつく。
ご無沙汰の挨拶をして、手土産を渡し、(コウちゃんの好きなモロゾフのプリン)、あったかい紅茶をいただき、ひといきつく。

あの子もさっきまで起きていたんですけど、と、コウちゃんのおばあちゃま。
お部屋に行ってみてあげて、とママ。


コウちゃんの部屋へ入ると、ベッドですやすや寝ているコウちゃん。
またやせてしまった。
少し寝顔を見つめる。
私より白い肌、黒くて長い睫。ハンサムな子。


カーテンをそっと閉める。

そっと閉めたのに
「あ、おねえちゃん?」
「あれ、起こしちゃったかな、ごめんね」振り返ると、目を閉じている。

「よくわかったね!」と言うと、
「おねえちゃんはいつも、そっとカーテンしめてくれるから、音でわかる。」

そうかもしれない、だってあなたはいつもお部屋で静かに寝てるから。
 ぱっちり、目を開ける。
黒目勝ちの大きな瞳、にっこりするとこぼれる白い歯、小さい頃からこうだった。


枕元のテープルに、いくらのおにぎりがお皿にのっている。3つ。
1つは半分食べてある。小さいおにぎり。
「コウちゃん、食べないの?」というと、
「あんまりいらないんだ、食べると疲れちゃって」という、こんなに小さいお握りなのに。
「プリン買ってきたよ、モロゾフのプリン。」
ありがとう、とまたにっこりする。

この子はすぐ疲れてしまうので、様子をみながら少しずつ色々な話をする。

なるべく、楽しい話、面白い話、笑える話。

イチバン笑ってくれたのは、「白黒反転してるパンダがいたら面白いね」という話、

これテレビでほんとにやってたの、パンダの白黒模様は遺伝子で決まっているので、(目と耳と手足のところが黒い毛が生える、)
黒いところがずれたり、白黒反転したりすることはありません。って。

ほんとにおかしかったみたいで、「はははははは!!!っっっっ!!」ってすごく楽しそうに笑ってたコウちゃん。
笑ったあとに、「ああ、疲れた、」といって、また笑っていた。

それから、しばらく話して、あまり疲れさせてもと思って、「じゃあ帰るね。」と立ち上がる、
「…おねえちゃん。」と呼びかける声、細いけど、いい声。
「また来てね。」まなざしが震える。
私は胸が震える。

本棚に並ぶ本、私がずっと前にあげた「星の王子様」も並んでいる。何度も読んであげた。
「ぼく、このお話すきだよ。」と言ってくれた。
挿絵の、星の王子様 になんとなく似ていたコウちゃん。
「たいせつなものって目に見えないんだよね、おねえちゃん。」と、私を見つめてつぶやいたことがある、
私は、何も言えなかった、だって私の目の前に可愛い貴方がいたから。見えているのに?
でも、今はわかる。目に見えないけど、大切なもの、…星の数ほどある。




帰り道、凍える夕闇、氷雨が降っている。手袋を忘れた。手が冷たい、
コウちゃんの手は あったかいだろうか?

小さい頃は、とても元気でわんぱくな子だった。従兄弟たちをつれて海へ行ったとき、

この子ひとりだけ、「こわい」と言って海へ入れなかった、

ソフトクリームを買ってきてあげて、波打ち際に座って一緒に食べた。
大きな波に驚いて立ち上がった拍子に、クリームのところだけ、べちょ!っと落としてしまったコウちゃん、
泣くかと思ったら、 波に打たれて溶けていくクリームをじっと見つめて、

「うみ、おいしいっていってるかな、おねえちゃん。」と、つぶやいた。

あのときの白い波、小さな麦藁帽子、陽にすける頬、何もかも覚えてる。


もう10年ちかく、入院したり、自宅療養で寝たり起きたり。
治療のため、背骨に注射をすることもあるらしい。「マジいてえぜあれ。」と言っていた。かわいそうに。


上二人のお兄ちゃんは健康でもう社会人、年が離れてこの子、薬学部に入ったのに、体のことがあって休学して、やはり無理で退学した。
そう、高校までは元気だったのに。



…人生は長い、まだまだいくらでもやり直せる。


そうは思うけど


涙が出る  この子はどうなるの。


雨の日だから 泣いてもわからない。傘の中で泣く。
涙ってあったかい。目がじんわりとする。でもすぐ冷たくなる。冷たい雨、冷たい涙。




神さまお願い、どうかこの子を私より先につれて行かないで。
私のかわいい子、
モン プチ プランス
私の星の王子様。





(^^)/~~~

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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傘をかざす気持ち (sabavian)
2010-02-12 11:59:46
私の心にはいつも雨が降っている。

台風のように猛烈な勢いの雨、しとしとと儚い思いをつのらせる雨、冷たく体が凍えるような雨が降ることもあるのだ。

だが、私は知っている。
雨がやがてはやむことを。雨がすべてを洗い流し、きれいにしてくれることを。
虹を描くことを。希望を生むことを。
いや、やむのではないのだ。
強弱はあるにせよ、やむことはないのだ。
しかし・・。
私には傘がある。目に見えない傘だ。気持ちの傘だ。その傘が大きくなったら人にかざしてあげることもできる。
そうした役目が自分にあるのだと雨は教えてくれる。


ヤマザキさん、あなたの流した涙はきっとコウちゃんの傘になっています。その傘は見えないけれど、大切な大切な気持ちの傘です。
また顔を見せに行ってあげてください。
コウちゃんもヤマザキさんが傘をかざしてくれていることをちゃんと知っていて、待っています。
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ありがとう♪ (ヤマザキ)
2010-02-15 09:26:39
sabavianさん

心優しいコメントありがとうございます。嬉しいです。
私はいつもこの子の前だと、泣くもんかと思って明るくしてるんだけど、
帰り道にはいつも泣きたくなるの。
いつもがまんしてるけど、この日は雨だから。
涙がとまらなかった。

…私の傘になってくれてありがとう、sabaさま。

春になったら、また御見舞に行こうと思ってます。
あの子の折りたたみ傘くらいにはなれるかな、と思って。

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