世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【FRB最大の誤算?QEでも「双子のバブル」(株&債券)再生せず】「古い世界」は石油とともに終わる⑥

2019-11-09 21:25:46 | アメリカ

前回からの続き)

 こちらの記事を含め、以前から本ブログでは、アメリカでは「双子のバブル」(twin bubbles:本来の経済状態ならば並存はあり得ないはずの株と債券のバブル[私的造語])が発生していて、これが同国経済を支える根幹であり、それはFRBの緩和的な金融政策それも量的緩和策(QE)によってのみ?存続できる、と書いてきました。そしていまFRBは、一時は金融正常化に向けた政策転向(利上げ等)を断念し(って、そもそも金融引き締めなんてFRBにはできっこないことは分かり切っていますが?)、双子のバブル再生&拡大に向けて緩和の度合いを強めているところであり、結局は4回目のQEに踏み出さざるを得ないでしょう?

 で、そのQEで、たしかにバブルの一方の柱である株価は跳ね上がりそうです(?)。それは先日のFRBの利下げ(10月のFOMCでFF金利誘導レンジを0.25%下げ)でダウ平均が史上最高値付近に達したことからも予想されるところです。しかし、先述の事情から、もう一方の柱である債券のバブルはQE4の後押しでも期待通りには膨張しない、とくにハイイールド債とかジャンク債の価格は低迷(利回りは上昇)しそうな気配です(?)。これらの相当数がシェール業者の社債で、今後の世界的な原油の需給緩和見通しや価格低下観測などから、各社の資金繰りや支払い能力に疑問符が付くため、それらの価格は上がりようがないためです。

 となると、QEでも債券バブルが望めないために、双子のバブル再生はおぼつかない・・・どころか、とあるシェール業者がデフォルト→上記社債価格が急落・利回り急騰→株価も急降下→・・・となっていき、双子のバブルは崩壊へ、そしてその伴連れで不動産価格まで暴落して恐怖の資産デフレへ、といった道筋が見えてくるような気が・・・

 もちろん、これを防ぐ手―――石油価格を100ドル超に持っていく手―――は存在します。そうなるくらいにまでFRBが通貨を刷ってバラマキをすればいい、つまりQEのスケールを拡大していけばいい、というわけです。そうすれば実質マイナス金利幅が大きくなってインフレが巻き起こるから自ずと原油価格も上がって100ドルを超えていき、債券暴落(金利急騰)リスクも低下するはずです(?)。しかし、これだと当然のように米国民は激しさを増す物価上昇にメッチャ苦しめられることになります。となると、そのときの大統領とか与党議員は直近の選挙での苦戦は免れないでしょう。よって、再選を目指すドナルド・トランプ大統領も、そこまでのインフレはけっして望まない・・・けれど、それだと今度は資産バブルが崩壊して・・・の破局を招くリスクを下げることができません・・・

(続く)

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【頼みのQEでも原油価格は上がらず、金利上昇リスクは封じ込めない?】「古い世界」は石油とともに終わる⑤

2019-11-07 00:04:16 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、いまのアメリカにとって原油価格のゴルディロックスな(ほどよい)範囲は1バレル100ドル程度以上だろう、とする個人的な想定を綴りました。で、この100ドルですが、テキト~な数字ではなく、こちらの記事等で書いた、いわゆる「逆オイルショック」突入前の、つまり2014年夏頃までの価格になります。当時は産油国も米シェール業者も、先述した資金繰り不安などとは無縁だったはず。そしてだからこそこれらの国債とか社債は高値で(低利回りで)取引され、市場モードもリスクオンでした。なぜなら、100ドル・・・を上回る高い水準だったからです、原油価格が。

 では、あのころ100ドル超もの高値となっていた最大の理由は?ですが、米経済が絶好調だったから、でも、中国が高度経済成長を続けていたから、でも、中東地域で大きな武力紛争があったから、でもなく、超緩和的な金融政策すなわちFRB量的緩和策QE)が行われていたから、にほかなりません。そのあたりはQE終了(同年10月)直前の同年の秋口あたりから原油価格が急落していったことから容易に推察できるというものです。つまり「FRBはQEを止めて金融引き締めに移る気だ。であれば今後は超低金利マネーが市場から回収されていくだろう」と予想した投資家が同時期から原油取引を手じまった、ということです。

 となると、原油1バレル100ドル再現の決め手は、自ずとFRBの金融緩和アゲインになってくる感じです。そして実際、FRBは再び緩和方向に舵を切っているのはご存知のとおりで、4回目のQEに踏み出すのも間もなくでしょう(?)。したがって(米一般国民は猛反発するでしょうが)市場が待ち望む100ドル超えもまた、そう遠くない時期に達成されるかも・・・

 ・・・って、ところがコトはそう単純ではない、のではないでしょうか。たしかに、FRBの金融緩和によって市場は活気づきます。現に、先月末のFOMCでの利下げ決定(FF金利誘導レンジがそれまでより0.25%引き下げられて1.5~1.75%に設定)を受けて、株式市場ではダウ平均が史上最高値!付近に達するなど、リスクオン・モードが高まっている印象です(って、何度も指摘しますが、米株価は米中貿易交渉の進展期待などで上がっているのではありません)。けれど肝心の?原油価格の方は現時点(日本時間6日)で1バレル56ドル(WTI)程度と、FOMC前とほとんど変化はありません。

 もっとも、利下げされたとはいえ、まだ「ゼロ」までには相当な金利差があるわけで、これがゼロそして以前のようにQE(実質マイナス金利)が始まれば、利息の付かない原油投資の妙味が増すからその価格は上昇に向かうだろう、といった見方もできるかも。ですがその局面では、高値を待ちわびていた米シェール会社や各産油国が売り物を大量に市場に出すでしょうから、どうしても上値は抑えられ、そのために投機熱も冷めて、やがては価格低下へ、となっていきそうです・・・

 かくして、決め手であったはずのQEでも原油価格は期待したように―――1バレル100ドル超の水準に―――上がっていってくれない・・・ということになるのではないか。これQE再発動後の、つまり一見、リスクが遠のいたと思われたアメリカの金融経済にとって非常にマズい状況となるでしょう。というのも、いくらQEで株価とか不動産価格を押し上げたところで、原油価格がこうも低迷したままでは、シェール業者のデフォルト等を端緒とした金利上昇リスクを封じ込めることができないからです・・・

(続く)

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【石油価格、安過ぎでも高過ぎでも困る米の適温は1バレル100ドルか!?】「古い世界」は石油とともに終わる④

2019-11-05 00:01:44 | アメリカ

前回からの続き)

 前記したことを含め、原油価格の最大の決定要因はアメリカの動向―――米実体経済及び米金融経済の双方―――にある、といえるでしょう。別な言い方をすれば、アメリカ以外の世界には、同国以上に原油価格を大きく変動させる要因はない、といった感じだと考えています。原油価格が下がったとき、その原因がよく中国のせい(経済成長減速&原油需要減退)にされたりしますが、この場合、中国は単に「当て馬」にされているだけ?であり、その真因はアメリカの石油需給が予想以上に緩んでいたりしたため、だったりします。そして、中東で何らかの襲撃事件等が起こったときにその価格が急騰するのは、それで深刻な原油供給不足が生じそうだから上がる・・・のではなく、そのように多くの米投資家が予想してNY市場で原油(先物とか)を買うから上昇しているわけです。

 さてそのアメリカの原油価格ですが、現在、非常に難しい局面にあるものと推測されます。まあ実体経済面からは、原油、とりわけガソリン価格は安ければ安いほどよいでしょう。このあたり米一般国民ならそう願うし、来年の大統領選の勝利を狙うドナルド・トランプ大統領としても同様で、いまは少なくともガソリン価格が跳ね上がるような事態は何としても避けたい、と思っていることでしょう。

 しかし金融経済面からみると、いまの価格―――1バレル50ドル台半ば(WTI)―――は、何とも微妙・・・というより安すぎ、といえるくらいなのではないか。これシェールオイルの採算ラインとされる同約50ドルをちょっとしか上回っていません。となると各社は、少しでも利益を上乗せしようとして増産に走るでしょうから、その価格には下押しの力が働きそう。であれば、業者の中には、採算割れ→経営危機→銀行等に支援要請・最悪デフォルトに陥るところもあるかもしれません(?)。それに加え、米以外の産油国の中にも、この価格水準では財政資金が調達できず、国債の乱発やら対外債務不履行とかに追い込まれるところが出てくるおそれも・・・って、それらでいちばん大やけどをするのは、ほかならぬアメリカ・・・の投資家たち、だったりするわけです・・・

 このように、原油価格は高くなっても安くなっても困る―――いまアメリカはこのジレンマに大いに悩まされているものと想像されます。では、全米が満足できる?ゴルディロックスな(ほどよい)加減の原油価格帯ってどのあたり?・・・って個人的には現在の倍近く、すなわち1バレル・・・100ドル!?前後の水準なのではないかと。「それで『全米が満足』って、ガソリン代が高くなり過ぎてしまってトランプ政権支持層の多く(米白人庶民層など)が反発するのでは?」でしょうね。ですが、もし原油価格がいまのレベルから上述トレンドに従ってさらに下がってしまうと、最終的に巨大金融恐慌は免れず、これにともなう財政コストすなわち米国民の負担額は「∞」!?になりかねません。であれば、同100ドルの重みに耐えてでも、この破局を防ぐほうが、まだマシなのではないでしょうか・・・?

 ・・・って、じゃあ100ドルにできるの?って話になりますが、謀略まがいの!?サウジアラビア石油施設襲撃&一部破壊でも瞬間的に60ドル台に上がった程度だったわけで、現状のマーケット動向を冷静にみれば困難な印象だし、実際には現在の50ドル台から将来は40ドル台、30ドル台・・・に向かって下がっていく可能性のほうが高いでしょう(?)。となると、その過程で上記危機の端緒となりかねないデフォルト等の発生を防ぐことは不可能、ということに・・・(?)

(続く)

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【石油価格低下で実体経済は恩恵大も金融経済は動揺へ】「古い世界」は石油とともに終わる③

2019-11-03 09:55:33 | アメリカ

前回からの続き)

 あと〇〇年で枯渇する!とか、ペルシャ湾岸情勢がヤバい!ということで、需給ひっ迫や価格高騰のリスクが取り沙汰されることの多い石油ですが、(もちろん「油断」は絶対に禁物ではあるものの、)前述の事情などからすると、じつはその需給は現在、世界的に見て緩和気味であり、したがって価格も安定・・・から下がるトレンドにある、といえるでしょう。とくにアメリカシェール革命にともなう原油の増産がこのあたりに大いに効いている、といった感じがします。

 ・・・となると現実的には、いまは逆の面のリスク、つまり原油の価格下落がもたらすリスクのほうに、いっそう注意する必要がありそうです。具体的には、将来、石油は足りなくなって価格が上がるだろう、といった甘い?見通しに基づき、相当に高い採算ラインに立って油田開発にのめり込んだ国々や企業などが、上記想定外の市場環境で、当てにしたほどの収益を上げられずに資金繰りに窮する→これら国債、および当該企業の株価や社債価格が急落(利回りは急上昇)→これを嫌気した投資家が一斉にエネルギー関連株やら債券を投げ売り→金融市場が動揺→恐慌へ、といった事態です。こっちのほうがよほどヤバい!というべき、差し迫った危機になっていきそうな気がしてなりませんが・・・

 このへんを予感させる(?)事態がアメリカでもすでに起きています。日経新聞が掲載しているFinancial Timesのレポートによれば、いま独立系の小規模シェール業者が資金調達に苦しんでいるとのことです。原油価格が下落し、投資家も銀行もおカネを出さなくなってきているためです。そんな中、今年の倒産件数が増加しており、とある法律事務所の集計では9月までに33件であり、うち27件が5月以降に発生し、2018年通年とほぼ同じになっているそうです。こうしたせいか、銀行も将来の石油・ガス価格をこれまで以上に控えめに想定するなど、業者への貸し出し基準を厳しくしつつあるそうな。となると、上述原油価格の低下が続けば、さらに多くのシェール企業が資金ショートに追い込まれて破綻し、貸し手の債権は焦げ付いて、といった上述の世界的な危機の連鎖が、皮肉なことに、シェール革命を享受するアメリカから始めに起こりそうな可能性も高そうです(?)。こちらの記事に以前、金融恐慌は米社債市場から始まるだろう、と書いたのは、その時点から、上記事情が、ある程度、予想し得ていたためです。

 このようにアメリカ・・・を筆頭とした世界各国は、原油価格のいっそうの低下で、実体経済とか国民生活は大きな恩恵を得られそうですが、いっぽうで金融経済の方では今後、上述した株や債券等の価格低下や不良債権の増加がもたらされ、最終的には金融システムの機能不全のような大きな危機勃発は避けられない・・・ような気がします。

(続く)

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【石油の需給はひっ迫しないし価格も高騰する可能性は低い?】「古い世界」は石油とともに終わる②

2019-11-01 00:00:48 | 世界共通

前回からの続き)

 前述のように9月、サウジアラビアの大型石油施設が何者かに襲撃され、同国は突如、日量で4割もの原油減産に追い込まれたにもかかわらず、直後に原油価格が達した高値は1バレル60ドル台前半(程度?)であり、その後は徐々に下がって現在は同50ドル台半ばと、あれほどの大事件だったのもかかわらず、石油市場は比較的落ち着いている印象です。それはマーケットが、原油の需給はこの先、よほどのことでもない限りひっ迫は考えにくく、むしろ緩んでいく方向だろう、と観測していることの反映と思われます。で、その緩和見通しの第一の根拠となるのが、世界最大の石油消費国アメリカシェール革命にあるといえるでしょう。

 2018年、アメリカはサウジやロシアを抜いて、じつに45年ぶりに原油生産量で世界一になりました。これに貢献したのはいうまでもなく、この10年で生産量が約2倍になったとされるシェールオイル。すでに同国の全生産量の約7割を占めるほどです。そのためにアメリカの石油の対外依存度は急速に下がっているばかりか、2020年代にはついに原油の純輸出国になりそうだとのこと。であれば―――つい数年前まではアメリカが大量に買い付けていた諸国の原油が同国に引き取られなくなれば―――石油が世界的にダブ付き気味になるのは自然でしょう。これほど多くの量をアメリカに代わっていったい誰が買うというのか、ということです。

 でそのシェールオイル、アメリカが生産量のみならず埋蔵量でも世界一なのだとか。ですがこれ、ロシアや中国などにも大量にあるとされ、今後の開発動向等によっては中国などでもアメリカ並みのシェール革命が起こるかもしれません(?)。そして非シェールつまり従来タイプの原油のほうも世界各地での探索とか技術の進展などで可採埋蔵量が増えてきていて、そのせいか「石油はあと40年ほどで枯渇する」(?)との見通しが延々と?続いているような状況です。そのような中、多くの産油国は、石油しか売り物がないため、ちょっとでもその値段が上がればチャンスとばかりに生産量や販売量を増やそうとするから、たとえ価格が上がっても、少し時間が経てばこれらが市場に出てきて、価格はまた下がっていく、となるでしょう。

 要するに、冷静にみれば現在そして未来にわたり、石油の埋蔵量・生産量はそれなりにあって、だからその需給がひっ迫することはそうはないし、その価格も今後、大きく上がる可能性は高くはない・・・というよりむしろ少しずつ下がっていく、というトレンドにあると考えられます。とりわけそれは、車社会であり、ガソリンこそが最重要の物資であるアメリカの現状において強く感じられるところです。

(続く)

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