(前回からの続き)
個人的には、「戻り地獄」と表現して前述したリスクへの対処がいま、わが国喫緊の経済的課題のひとつだと思っています。すなわち年金基金は外債とか株といったリスク資産の利益確定を急ぐべきだし、政府系金融機関はバランスシートの圧縮に着手すべき。両者ともに少なくともこれ以上、そのときの損害を膨らませる「高値掴み」は厳に慎まなければならないと考えています。
で、上記「そのとき」とは・・・これまた本ブログのあちこちで書いている世界的な資産バブルの崩壊です。そのときは株や債券(外債やジャンク債など)も、不動産そして資源も・・・いずれの価格も「半値八掛け二割引」(もとの32%)になってもおかしくはありません。よっていまのうちに―――これらがピークをつけているうちに―――円のキャッシュに戻しておく必要がある、といった感じです。
このあたり、こちらの記事に綴ったように、「民」(企業&家計)は適切な投資判断がおおむねできているわけです(一部オーナー系企業等で円安外貨高だというのに現在、海外M&Aに突っ込んでいるところはマズいことになりそうですが・・・?)。だからこそ「キャッシュリッチ」になっている。これ、「政治」(安倍政権・黒田日銀)がそうなるように仕向けているのだから当然の現象です。したがって一部の政党が、貯まる一方のこのおカネを投資に振り向けさせようと、企業の内部留保に課税せよ!なんて言うのは本末転倒の話。投資を促したいのなら、それを妨げている政治の方が引けばいい―――民間が現金にしがみつく以外にないような不自然きわまる演出をさっさと止めればいいだけですからね・・・
いっぽうで心配なのは上述の「官」、つまり政策をダイレクトに利かせられるセクター。ここで安倍首相周辺は有権者にアベノミクス「加速」を訴えます(って、これこそ「進み地獄」逝き・・・ってことはこの人たち、マ、マイナス成長をさらに加速させようってか!?)。まあ立場的にそうなるのは当たり前(?)でしょうが、それだとこれまで論じたように戻り地獄のダメージがさらに大きくなるので、この政策を一刻も早く手仕舞い、あるいは軌道修正する方向にもっていってほしかった・・・けれど、そんなことをしそうな候補者も政党も現れる気配、なし。ゆえに同加速≒大損必至の高値掴みに歯止めはかからず、上記リスクは拡大の一途・・・
先月、自民党の二階俊博幹事長は森友・加計両学園に関する疑惑について「小さな問題」との認識を示しました。安倍政権や同党を擁護するつもりではありませんが、個人的にはそのとおりだと思うわけです、上記の桁外れに「大きな問題」と比べれば。なので政治家にもメディアにも、何が国家国民にとっての重大事なのか、頼むからもっと真面目に考えてほしいと願うものです。それ本当に「モリカケ」ですか?これが解決すれば年金大幅カットや大増税が回避されるのですか?