(前回からの続き)
それにしても・・・ホント、どうしてこんなに単純なことに気が付けないのだろう、とため息・・・のアベノミクス、もう6年間も続いているわけです。日本は世界トップクラスの国際収支黒字国です。であれば、貯蓄超過分は投資に回したいわけですが・・・肝心の投資対象の価額が、政策的な円安で高くなりすぎています。では国内は、といっても、同じく円安のせいで原材料コストが高騰しており、けっして効果的な投資ができる環境ではありません。となると、さしあたって預貯金(日本国債を買っておく)か・・・っていっても、日銀が金融政策で国債価格をハネ上げており、利回りは極小です・・・。そのあげく、行き場を失ったマネーは、必然的に何の投資(≒経済活動)にも回ることなくキャッシュのまま積み上がっていくことに・・・
これ、1,2年ならばまだよかった。というのはその期間に「やれやれ売り」―――それ以前の円安局面で高値掴みした株(外国企業)や外債などのリスク資産を処分売り―――できたからです。でも6年もすれば、日本国債を含めて「やれやれ売り」して利食えるタマなんて尽きているでしょう。それに株主の「キャッシュをため込んでいないで成長に向けた投資を!」とか安倍政権(黒田日銀)の「投資しなければ課税も辞さない!」みたいなプレッシャーがどんどん強くなってくるわけです。そんなこと言われても・・・上記のような投資に超~不向きな環境ではなかなか適当な案件がないから結果としてそうするしかない本邦企業は、困惑することしきりでしょう・・・
それでもなかには、この手の圧力に負けてか、はたまた本心からなのかはともかく、1ドル当たりで30円も割高(アベノミクス前1ドル約80円、いま同110円)であっても、海外M&Aに乗り出すところも出てきてしまいます。ですが・・・前述した日立製作所の、スイス企業の電力系統システム部門の買収はまだ良い方(と思いたい)ですが、その他の案件は・・・う~ん・・・・
・・・こうした「高値掴み」が積み上がってどうなるのかといえば、株価下落や外貨安円高にともなう評価損・為替差損が拡大し、多くの企業が成長・・・どころか経営不安と財務体質悪化に陥り、日本経済に悪影響が及びかねません。そして経営者らは株主などから「あのときM&Aなんぞしないで、円の現金で持っていた方がマシだったじゃん!」などと責められることになります。そのとき各位は、自身らの経営判断ミス―――上記「高値掴み」―――を認めるわけにはいかないから、政府・日銀と一緒になってこう弁明するに違いありません(?)―――「円高のせいだ~!」と、ね・・・
・・・こんな近未来の光景が瞼に浮かんで消えることがありません。どうか、この不可避のダメージが最小限にとどまりますように・・・