それにしても同じようなケースが次々に出てきますね・・・っても、これ、そのなかでもワーストになるおそれもあるような気が・・・
ご存知のように、携帯電話会社ソフトバンクを傘下に持つ「ソフトバンクグループ」の2019年7~8月期の連結決算が最終損益で約7千億円もの赤字と、同社の四半期では過去最悪となりました。その元凶となったのが「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド」(SVF)(同Gのファンド投資事業)が計上した9702億円もの赤字です。SVFが赤字になったのは2017年5月の立ち上げ以来はじめてで、同ファンドはそれまでに株式評価益と実現益で2兆円近くの利益を積み上げてきましたが、今回の損失でこれが1.2兆円にまで減ってしまったとのことです。
そのなかでも最大の見込み違いは、シェアオフィス・ウィワーク(WeWork:ウィ社)の運営会社である米ウィーカンパニー関連の投資でしょう。同Gの四半期報告書などによると、SVFはウィ社に合計103億ドルを投資してきました。で、当初の目論見では同社は今年9月にIPO(新規株式公開)を果たす予定で、これによってSVFは多額の上場益を得るはずでしたが、多額の損失やガバナンスの問題があったことなどから同社はコアビジネスに集中するとしたうえでIPO申請を撤回してしまいました。同時にウィ社の第2四半期末の公正な評価額が78億ドルにまで下落したと公表しました。今年1月時点では約470億ドルとされてきましたから、これだけでも約400億ドルもの評価損の発生です・・・
・・・とまあ、簡単に同Gの直近の決算概要を綴りましたが、以前こちらの記事に書いた頃とは様変わりです。当時(2017年5月)の同Gは純利益が1兆円を超え、孫正義社長(当時、現会長兼社長)はこれを通過点にさらに利益を増やしていきたい、としていました。そのための具体的な手段が、SVFによるファンド事業であったのは明らかでしょう。実際にSVFはそのタイミングで設立され、サウジアラビアなどからの多額の出資金を元手に、今回のウィ社などへの投資を進めてきたわけで・・・
・・・って、この手の稚拙な投資がいくつかの本邦企業において繰り返されることは本当に残念でなりません。こちらの記事を含めて本ブログではそうした事例をいくつかあげてきましたが、ソフトバンクグループの上記ケースもこれらと同種の失態といえるでしょう。同Gもまた、「2017年」という日本=ジャパンマネーにとっては「巣ごもり」をするべき厳冬期に外へノコノコと出て行ってしまった=外貨建て資産に手を付けてしまった、ということです。であれば、上記のような悲惨な事態になるのは当然です。なぜならその大規模投資は超が付くほどの「高値掴み」になってしまうからです・・・