軽犯罪を繰り返していた若者が、立ち直るきっかけをつかんで厚生する姿を描いた映画、しゃぼん玉。地味だけれど観終わって心が暖かくなる作品だった。大きな事件は起こらないけれど平凡な日常にこそ、ドラマがある。演じていた人々がとても良かった。特に素晴らしかったのはこれが遺作? になってしまわない事を祈るばかりの市原悦子さん。彼女が優しく語り掛ける「ぼ~ん」のセリフ。心に余裕がない時にこれを聞いたら何でも言う事を聞いてしまう、そんな不思議な力がこの呼びかけにはあった。対するどーしようもない若者役の林遣都さん。彼の演技は殆ど観た事がなくて知らない人だったけれどこの役は適役。整った顔立ちで目立つ人だけれど、それを押し殺しダメ青年の役を上手くやってのけた。今後に期待したい。もうひとり凄い、と思ったのが爺さん役の綿引さん? 名前は忘れたが顔はよく知る役者。若者にひるむ事なく堂々とした姿がかっこ良かった。周りに気遣う人が多すぎて自分の意見を押し殺す風潮だけどそれは良くない。自分の意見をきちんと言い、相手の意見にも耳を傾ける。それが出来なければまともな関係は築けない。当たり前の事を教えようとしてくれたのが今回のテーマ、なのかな。ラストシーンが最高! 罪を償い、帰る家はばあちゃん家と決めていた若者がその家に帰るシーン。セリフはないがなくて十分。夕暮れ時に明かりがともる家。暖かいなー。あの家に帰れればもう、悪い事なんてしない。待っていてくれる人がいるかいないか。単純だけど人ってそんな事で変われるんだねー。