リンリン・ダイアリー

ブースカがお話します。

2012年11月21日 田辺聖子

2012-11-20 21:56:22 | Weblog
 うんと昔の学生時代の課題で、田辺聖子さんの本が取り上げられたことがあった。それまでも彼女の存在はもちろん知っていたが、読んではいなかった。関西弁がポンポン飛び交う会話が楽しかったし新鮮でその世界に引き込まれた。それ以前の文学少女を気取っていた時期にはけっして読まないジャンルだったのに、教授のおかげで世界が広がった感じがした。あれからだいぶ月日が経った。本棚に彼女の作品が並んでいても手に取らずにいた。そしてこの秋。本屋をぶらついていた時に見つけた、デザイナー・玉木乃里子を主人公にした三部作。これにはかなりのファンがいるらしく、復刻版(?)として出されたものらしい。文庫本にしては厚めの三冊を即購入。一気に読んだ。明るくてからりとしているのに、どこかに哀愁を含んでい、魅力的な女性、乃里子さん。時代背景なども鑑みて読み進めると更に面白い。現年齢はどう考えてもこちらが年上なのだが、ちょっと先輩の彼女の素敵さに憧れてしまった。こんな作品を仕上げた田辺聖子さんは凄い。手に取るようにその場面が浮かぶ描写の仕方、主人公たちの戯れが目に浮かんでくるしその匂いまでも感じられて全てに脱帽した。暗くウネウネとした純文学もエエけども、「人間の原点は案外こんなところにあるんとちゃいますか」と言われているようにも感じた。

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