スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

NHK杯テレビ将棋トーナメント&道具

2024-03-20 18:51:35 | 将棋
 17日に放映された第73回NHK杯の決勝。対戦成績は藤井聡太NHK杯選手権者が4勝,佐々木勇気八段が1勝。
 振駒で佐々木八段の先手となり,角換わり相腰掛銀。先手にまとまった研究がある進展になったように思われます。ただ後手の藤井NHK杯選手権者もうまく対応。終盤は後手の方が抜け出しました。
                                        
 ここで☖5五角成と詰めろを掛けたために,☗2四飛が詰めろ逃れの詰めろとなって逆転しました。王手の連続で詰めろを外すことはできたのですが,先手玉を詰ますためには駒が足りず,先手の勝ちになっています。ここは☖6六角成なら☗2四飛でも先手玉が詰むので後手の勝ちでした。
 佐々木八段が優勝。2013年の加古川青流戦以来となる2度目の棋戦優勝です。

 ハンマーは鉄を鍛える道具instrumentumそのものですから,そのハンマーを用いた喩えは,知性intellectusの道具が何を意味するのかを示すためには適切で分かりやすいといえます。だからスピノザも『知性改善論Tractatus de Intellectus Emendatione』ではこうした比喩を使用したのでしょう。一方,鉄を鍛えるためにはその道具としてのハンマーが必要で,そのハンマーを製作するためにはそのための道具が必要でといった具合の無限遡行があるとしても,だから人間は鉄を鍛えることができないという結論を出すことはできないのはその通りであるといえます。したがって,知性の道具として何らかの観念ideaが必要で,その観念を形成するためには別の観念が必要でといった具合の無限遡行が,知性の道具の場合にも成立することはスピノザは理解していたのですが,だから人間は鉄を鍛えることができないという結論を出すことはできないのと同様に,人間は何らかの真理veritasに到達することはできないという結論を出すことはできないと,スピノザはここではいいたいのです。
 ところが,『知性改善論』のこの部分は,このような無限遡行から人間は真理に到達することができないという結論を出すことができないということを示しているだけであって,その無限遡行をどのように脱出するのかということや,どのようにすれば真理に到達することができるのかということについては結論を出しているわけではありません。國分がいいたいのは,スピノザはこの無限遡行から脱出することについてあまりに軽く見積もっていて,だからここでは,無限遡行があっても真理に到達することはできないと結論することはできないとだけいって,真理に到達することができるということについては,容易に論証することができると考えていたのだろうということです。実際に『知性改善論』はこの種の無限遡行から脱出することができないような形で未完のまま終了してしまっているのですから,そうした歴史的な事実からみる限りは,國分の指摘は適切なものであるといえるでしょう。
 スピノザは無限遡行には気付いていました。この無限遡行もまた,スピノザの哲学に特有のことではなく,真理を目指すすべての哲学に妥当するといえるでしょう。

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