スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&レトリック

2014-12-27 19:14:48 | 将棋
 22日に指された第40期棋王戦挑戦者決定戦変則二番勝負第一局。対戦成績は羽生善治名人が42勝,深浦康市九段が29勝。
 振駒で羽生名人の先手になり,角換り相腰掛銀。深浦九段が穴熊に潜ったところで先手が仕掛けると,後手もすぐに反撃に転じるというスリリングな展開。戦闘開始直後は分かりませんが,手数が進んであるところからは後手が優位に立っていたと思われます。
                         
 後手が△1四歩と打って,1五にいた馬が引いた局面。僕はこの近辺が,この将棋で後手のリードが最も大きかったのではないかと思います。
 ここで△8二香と打つと,先手は▲9九桂と受ける一手で,この交換は明らかに後手が得な筈です。ただ,打った香車がその後の展開で十分に働くかどうか見極めることは難しく,それなら手持ちにしておいた方がプラスであるという考え方も成立します。
 後手は後者を選択したようで,△4三歩と,馬筋を遮断する受けの手を指しました。第1図の直前,△1四歩と打ったところでも△8二香は可能でしたから,手の流れには沿っていたと思います。先手は▲7五桂と打ち,△8二飛に▲7一銀△7二飛と飛車をどかし,▲8三桂成としました。以下,△7一飛▲8四成桂△8二香▲8五成桂△同香まで,変化のしようがないと思われます。
                         
 銀桂と香車二枚の交換は先手の損ですが,8筋はかなり緩和されました。まだ後手が指せるかもしれませんが,少なくとも第1図ほど先手が大きなリードを許してはいないように思います。
                         
 羽生名人が勝って挑戦者に。棋王戦五番勝負には第33期以来7期ぶりの出場。第一局は2月11日です。

 本性の形而上学を取り払った一例のうち,長方形を属性X,正方形を属性Y,ひし形を属性Zと置き換え,さらにすべての角の大きさが等しい四角形を実体A,すべての辺の長さが等しい四角形を実体Bと置き換えるなら,ライプニッツの疑問は成立します。そしてこのように考えなければ,スピノザ哲学の枠内においては,成立し得ません。ここで哲学といい,形而上学といわなかったのは,四角形に関連する一例の説明は,必ずしも形而上学的とはいい難い一面があると思われるからで,それ以上の理由はありません。
 スピノザ形而上学に対するライプニッツの疑問において,ライプニッツがレトリックを用いていると僕はいいました。そのレトリックの内容がどのようなものか,ここから明らかでしょう。僕たちはすべての辺の長さが等しい四角形と,すべての角の大きさが等しい四角形とを確かに区別することができます。しかしそれは実在的に区別されているわけではありません。四角形が形相的に,すなわち知性の外に存在するとみなせば,それは同じ物体として,つまり共通点を有するものとして,様態的に区別しているのです。このゆえに僕は,架空の反論に対してはそれ以上は答えず,この区別が実在的区別ではあり得ないとだけいったのです。ライプニッツは疑問では実在的区別といっています。僕も,この区別がそれに準じているといいました。しかしスピノザ形而上学の立場で区別の方法をよく分析してみれば,もしも知性がものをこのような仕方で区別し得るならば,それは実在的区別ではあり得ず,様態的区別であるということが帰結するのです。
 ライプニッツの疑問に対するスピノザ形而上学からの解答は,これが最終的なものです。しかしそれは,スピノザの形而上学の枠内のみで解決されているだけであり,きっとライプニッツを満足させるような解答ではないと現在の僕は考えています。ライプニッツはむしろそのスピノザの形而上学の全体を疑問視していたと思うからです。つまりスピノザの形而上学の枠内では,様態的区別とされるような仕方で,実体も区別し得るのだとライプニッツは考えていたのだろうと思うのです。
コメント
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