スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&定義の正当性

2008-03-28 20:06:55 | 将棋
 年度末の大一番,棋王戦五番勝負第五局。ここまでずっと先手が勝ってきていますのでまずは振駒が注目でしたが,佐藤康光棋王が先手を得ました。
 作戦の選択は後手の権利ですが,この将棋は羽生善治二冠が追随。手順は竜王戦第五局に似た形で進み,結果的には相矢倉▲3七銀-△6四角の対抗形に。その後,先手が穴熊に。待つ手がなくなった後手が4筋から動いたのに対し,先手が端から攻撃を開始。本格的な戦いになりました。この後,▲1二歩と打ったのが第1図。
           
 控室では▲1三歩が有力視されていたようですが,▲1二歩から▲3四銀と出るのが銀損ながら鋭い攻めで,好手だったのではないかと思います。この後△1五銀引のところでは△2七銀不成の方が控室の検討の本線だったようです。引いたのはそれではダメとみたものかもしれませんが,玉を下段に落とされてみると,飛車得になっているのですが,後手が苦しいようです。
 後手はジリ貧になるのを嫌い△9七角成から一勝負。このあたりから観戦。こういう攻めは僕などには受けきるのは容易ではないので面白いところでした。途中で▲7三角。
           
 ちょっと怖い感じですが,結果的にはこの角が飛車を取り,これが後に△1九飛と打たれる手も防ぎ,さらに実戦は4六に引き付けて受けにも効きましたので,好手だったのだろうと思います。実戦は▲9七飛成となったところで後手の攻めは明らかに切れ模様,先手の勝ちが見えてきました。最後は余裕を得た先手が後手玉を受けなしに追込み,結果的に先手の快勝という将棋になりました。
 これで3勝2敗とした佐藤棋王の防衛。今期の佐藤棋王は棋聖防衛,竜王挑戦,NHK杯連覇,棋王防衛。これでどちらかといえば不調の一年と思われているのですから,どれだけ強いと思われているのかという感じです。羽生二冠としては,結果的には第二局を最終盤での錯覚で落としてしまったのが響いてしまいました。

 これで今回のテーマである第二部定義四の定義としての正当性は明らかになったといっていいのではないかと思います。すなわち,定義は定義された事物の本性と発生とを示さなければなりません。しかしこの定義のうちに,十全な観念の本性が示されているということについては,事物の本性なるものが事物の内的特徴でなければならないということから明らかであるといえます。そもそも第二部定義二からして,本性というのはそれがなければあるものが,逆にあるものがなければそれが,考えることができないような事柄についていわれるわけですから,ただこれだけのことから,事物の本性というのがその事物の外的特徴に依存するということは不条理であると結論することさえできるからです。
 問題は,十全な観念の発生の方にむしろあります。しかしこれも,十全な観念の内的特徴に依存するということが明らかになりました。つまり無限様態の特徴個物の特徴も,観念の発生はただ神の思惟の属性にのみ依存するのであって,観念の対象には依存しません。これは取りも直さず,十全な観念の発生の原因が,その十全な観念の外的特徴には少しも依存せず,ただその十全な観念の内的特徴を明らかにするだけで十分であるということを示しているからです。そこで第二部定義四にただこの観点から着目してみるならば,まさにこの定義は観念の内的特徴のみを明らかにしている定義であって,外的特徴については一切の考慮を払っていないということが分かると思います。よって第二部定義四は,十全な観念の本性と十全な観念の発生との双方を十分に示しています。つまり定義としての正当性を十分に有しているということになるのです。
コメント
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