
女室へのお灸
歯肉炎で来られた方がいました。
歯肉炎とは、いわゆる歯周病の初期症状です。
歯肉炎を放置すると歯周病や歯槽膿漏に繋がり、「歯周病」や歯槽膿漏の治療が必要になってくるわけです。
歯肉炎は歯周病だけでなく、感染症や生活習慣、ホルモンバランスなどによっても引き起こされます。
歯周病は手遅れになると歯が抜け落ちる可能性があるので、気を付けなければなりません。
そこで、鍼灸で有名なツボ「女室」(じょしつ)というツボを使います。
このツボは、歯周病だけでなく、「細胞を引き締める作用がある」と私は考えており、特殊鍼法のテクニックにも加えているのもあります。
それは易で考えた事で、経絡には細胞を緩める経絡と引き締める経絡があるわけです。
ここで歯の問題に対する現代医学(歯科学)と東洋医学の違いを考えてみます。
歯科医へ行けば、当然歯肉や歯周病の部分的な治療をすることになります。
しかし、鍼灸では、簡単な場合は「女室だけ」への治療(お灸)だけで済む事も少なくないのです。
何故ですか?
それは東洋医学は常に「全体」を考えるようにしているからです。
ですから、歯肉炎でも歯周病でも、全体的にはどうなっているのかを考えます。
歯肉炎も歯周病も、炎症が起こっています。
だから、「何故炎症が起こるのか」を考えるわけです。
① 菌が住み着きやすい歯茎である
② 菌が繁殖しやすい環境である
③ 血液が汚れて粘膜が緩んでいる
と考えたらいいのではないでしょうか。
となると、粘膜を引き締めればいいように思います。
その働きをするのが「女室」へのお灸なのです。
と言っても、粘膜が緩んでいると思われる病気の全てに使うわけではありません。
女室は、膀胱経です。
膀胱経とは七星鍼法で「締める経絡」と考えています。
腎と膀胱は表裏ですが、どちらも締める働きのある経絡と考えているのです。
だから、「女室が歯周病に効く」と考えているわけです。
この経絡にたいする考え方は、ばっちりだと思っています。
で、その方にも「女室」へのお灸をしました。
そして、治療が済んでから、
「どうですか、歯茎の状態は」と聞いたら、指で歯を動かしたりしてから、やがて、
「あ、大丈夫なようです」と答えてくれましたので、治療を終了しました。