K電鉄株主総会風景
江嵜企画代表・Ken
阪神なんば線開通で最近話題の在阪の大手電鉄会社の株主総会に出席して会場の様子をスケッチした。ひとごとではないが、とにかく年寄りが多い。係りの人にあとで聞いたら第一会場だけで2000人集まったそうだ。溢れた株主は第二会場でモニターテレビをみながら参加した。
ご婦人の姿は結構目についた。しかし、服装が恐ろしく地味である。余計なお世話だと叱られそうだが、沿線の土地柄も影響しているのかもしれない。
営業報告書を読めばわかる話を延々と社長が読み上げる。プロジェクタ―でくりかえし写す。退屈極まりない。内部の人間は上に意見を言えない。外からもとりたてて注意する人はいないのであろう。一向に改める気配はない。
ただ株主との質疑応答は、株主総会に出たものでないと味わえない。とくに企業責任者が株主とどのようなやり取りをするかが興味があり、そのために出かけるようなものである。
はじめに2月27日に起こした大阪線東青山駅構内で列車脱線事故のお詫びから始まった。あらかじめ会社に寄せられた株主からの質問から質疑は始まった。助役が懲戒免職になった。社員の処分は重いのではないか。なぜ社長はやめないのかと書いてあったと社長は紹介した。社長は、再発防止を徹底して、責任を全うしたいとかわした。
次に役員の数を減らせというご意見をいただいたと紹介した。事業規模から17名は望ましいと考えると社長は答えた。社長の給料を公開しろとあったが、個人情報は公開しない。ご理解願いたいと答えた。
会場での質問がはじまった。「筋屋」(電鉄会社の俗称)は昔から儲からんと言うが、三宮奈良を通したのなら、伊勢志摩までなぜやらないのかと質した。社長は、姫路と伊勢志摩、名古屋を結びたいと思っている。現状では技術上、システム上の問題を残している。早くやりたい。株主様のご声援をお願いしたいと答えた。
阪神なんば線開通は発展が望めるので歓迎する。ところが大きな問題が起こっている。いままで座れていたが座れなくなった。阪神の関係で従来8両連結を6両に減らした。特に急行が大幅に減った。改善してほしいと訴えた。輸送担当役員が改正したい。当面ご容赦願いたいと答えた。
電鉄会社の株主は沿線住民が多い。自分の住む最寄駅に急行を止めろという要望は多かった。「全部急行が止まれば急行でなくなる」と社長はジョ-クを飛ばした。
株主総会は10時から始まり、お昼前までかかった。頭の営業報告をカットして質問時間を取ればいいと思うが、それでも一昔前の株主総会では、株主には問答無用の態度が日本の企業で当たり前だっただけに様変わりである。
今期2円増配して年5円に決めた。来年は100周年を迎える。電鉄会社には尊い人命を預かる責務があるから今回の脱線事故は反省材料だろう。株価は420円前後まで回復してきた。鉄道事業が本業の地味な会社であるが、関連子会社50社にメスを入れれば収益の改善余地は大いにある。
阪神なんば線開通を起爆剤の一つにして、地盤沈下著しい関西経済復活にも力を尽くしてほしい。まだまだやれることはいくらでもあるだろう。(了)