しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

プラチナデータ

2013年03月31日 20時56分09秒 | 作品名(は行)
第303回「魅力的なプロットも効果的に使わなくては・・・」
何度もこのブログで言っているように、私はSF(サイエンス・フィクション)が大好きだ。現在の科学ではありえないことかも知れないが、もう少し未来や、もう1つ未開の技術が開発されたら?などと想像されたものを映画の中で観るのは、とてもワクワクします。今回の作品「プラチナデータ」もそんなSFを盛り込んだ作品です。

時代はそう遠くない未来。政府が秘密裏に開発した犯罪者検挙システム。それは国民全員のDNAデータを登録し、犯罪現場に残された毛髪などから採取したDNAと照合し、あっという間に犯人を割り出し逮捕に結びつけ、検挙率100%、冤罪率0%を実現しようとするもの。そのシステムの完成が間近に迫り、あとはそのシステムの認可が国会で降りればという大事な時期に、事件は起こった。その法案通過に否定的な見解を持つ人間が3人、さらにシステムの開発を担っていた技術者2名が殺された。現場に残されたDNAからシステムの開発責任者である「神楽龍平」が犯人として割り出される。身に覚えのない彼は自ら身の潔白を証明するために逃亡を決意する。

この映画の根幹をなす「プラチナデータ」と呼ばれるシステム。予告編ではよく出来たシステムに見えたのですが、よく考えると多くの矛盾点を抱えたシステムであることがすぐに解る。そして劇中でも自らこのシステムの欠点を語ってしまう。システムの凄さを証明する為に用意された冒頭の幼児誘拐殺人事件。現場に残された毛髪をシステムに分析させると、ある人物の三親等以内に犯人がいることがわかる。本人のDNAでなくても犯人の特定がある程度可能であるなら、この殺人事件の発端となったもう1つのあるシステムはなんの意味もないことがわかる。

そして1番大事な犯人探しもそれほど難しくない。しかし、犯人が判明しても驚きもないし、その動機もイマイチ納得できない動機だった。なぜ犯行現場に神楽のDNAを残し、疑惑の目を向けさせる必要があったのか?5人も殺して一体何をしたかったのか?もちろん劇中でその動機は語られるのですが、そんな事する必要があったのか?と首を傾げてしまうような理由なのです。

神楽の逃亡劇もなんだか無理やり感が満載で、そうまでして逃げる必要があるのか?逮捕して彼を犯人と断定したとしたら、警察は完全に自らの無能ぶりを証明することになるのでは?そうなると犯人検挙システムとは何なんだろう?と映画全体に矛盾点が多く存在するのです。

完璧な作品を提供する必要はありませんが、世界観に引き込んだ観客を最後まで疑問の余地も与えずエンディングまでなだれ込んでしまうくらいの説得力は必要ではないのだろうか?観ている途中で「あれ?そこがそうなると、ここは?」と矛盾点ばかり気にかかってしまいました。ネタバレを避けながらの表現なので、解り辛くてすいません。

出演した俳優さん達の演技や、演出などは悪くなかったと思います。しかし、突っ込みどころ満載な脚本がいけなかった。上記でも述べたように犯人の動機やシステムの構造や利用方法などをもっと練り込むべきだったように思います。点数は★★☆☆☆です。

アイデアがよかっただけに残念さの残る作品です。

プラチナデータ Blu-ray スタンダード・エディション
二宮和也,鈴木保奈美,生瀬勝久,杏,水原希子
東宝


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