しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

クラウド アトラス

2013年03月17日 22時48分08秒 | 作品名(か行)
第301回「1番驚いたのは、監督の性別が変わってた!」
マトリックス3部作の監督であるウォシャウスキー兄弟が監督を務め、主演にトム・ハンクス、ハル・ベリーとアカデミー賞俳優を配した作品と聞けば、否が応でも期待してしまうというもの。しかし、予告編を見るだけではどんな内容なのかは把握できず、私は完全に駄作であろうことを覚悟していました。彼らが作る作品は時に難解で観る人を選ぶことがあるので・・・今回の作品は「クラウド アトラス」です。

物語は1849年の太平洋諸島、若き弁護士と彼の主治医の話から始まる。1936年、スコットランド、成功を夢見る若き青年作曲家。1973年、サンフランシスコ、女性ジャーナリスト。2012年、イングランド、年老いた雑誌編集者。2144年、ネオ・ソウル。給仕係のクローン少女。世界崩壊後106度目の冬、数少ない生き残りの部族に住む男。それら6つの時代も場所も人種も違う物語が密接に絡み合い、やがてある1つの物語を紡ぎ出す。

この作品、劇中で登場人物自身が語りますが、時間軸をクルクルと移動しながら展開し、上映時間172分という長い物語です。結末にたどり着くまでは辛抱強く作品を観ることが要求されます。洋画は俳優さんの顔がみんな同じに見えて苦手だという人にはかなり辛い作品だと思います。

観る前には駄作を覚悟していましたが、おそらく賛否両論あるでしょうが、私は予想以上に世界観に入り込んで楽しく観ることができました。長い上映時間も睡魔に襲われることもありませんでした。(花粉症による目の痒みには襲われましたが。)

この映画で驚くのは、多くの主要人物を演じた俳優さん達が、多くは6役、少なくとも4役を演じていること。しかもそれは特殊メイクなどで人種や性別までも違う人を演じてるのです。トム・ハンクスだから重要な役なのかと思えば、まったくのチョイ役だったり、メイクによって原型を留めていない人すらいるのです。特にヒュー・グラントなどはあんなに登場していたとは全く気が付きませんでした。スタッフロールの時に演じたキャラクターが登場するのですが、ビックリしますよ。

肝心のストーリーですが、時間軸がかなり入り組んだ作りになっているので、頭の中で整理しながら鑑賞しなくてはならないのでたいへんです。短い時はワンシーンで別のお話になり、それを繰り返し時間と世界が変わり続けます。ネオ・ソウル編は1つの世界で2つの時間軸で形成されていきます。ただ、その構成が無い状態で「チャプター形式」や「章構成」で作られてしまったら、ただの映画になっていたでしょう。この入り組んだ見せ方だからこそ、映画も盛り上がるし、見応えもあるのだと思います。

私が特に好きなのは「ネオ・ソウル編」です。あの薄暗い終末的な世界観と登場人物達はかつて観た「ブレードランナー」を彷彿とさせ、SF好きの私の心をワクワクさせます。もっと深く描いてもらえたら良かったと思います。

点数は★★★★☆です。こういう難解な映画が好きな私の評価ですからちょっと甘目だと思います。映画界に名を残すというほどの作品ではありませんが、予想していた以上に見応えのある作品だと思います。

何より最も驚いたのは、ラリー・ウォシャウスキーがいつの間にか性転換手術を行い、ラナ・ウォシャウスキーとなっていたことです。映画を観ている段階では、「あれ?あの兄弟に他に女の姉妹がいたんだっけ?3人兄妹だったのか?」と思っていたのですが、帰ってきてネットで調べると、この数年の間に性別が変わっていたのでした。映画の内容よりもそのことがビックリでした。

クラウド アトラス ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]
トム・ハンクス,ハル・ベリー,キ―ス・デイヴィッド,ジェームズ・ダーシー,ジョウ・シュン
ワーナー・ホーム・ビデオ

【ランキングに参加しています。クリックにご協力を】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする