しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

鍵泥棒のメソッド

2013年03月01日 23時02分14秒 | 作品名(か行)
第298回「だまされる心地よさを感じてください。」
さて、今週はこんな中途半端なところでのブログ更新です。というのも先週の土曜日には映画を2本はしごするという、映画ファンなら憧れ(そんなに大袈裟じゃないか?)の行動に出たのでした。といっても1本は無料ポイントで、1本はちょっと前の映画なので特別料金という、結局普段の日の1本と同じ価格で映画を満喫した土曜日なのでした。で、そんな日に何を観たのかというと、内田しんじ監督の「鍵泥棒のメソッド」を観てきました。「え?今頃?」と思う人もいるでしょうが、それは私が地方都市に住んでいる悲しさです。

35歳でオンボロアパート暮らしの売れない役者・桜井はその日、自殺しようとロープで首をくくるが失敗し、財布の中にあった銭湯の無料券で体を洗ってからでも改めてと思い近所の銭湯へ向かう。ところが銭湯で出会った羽振りの良さそうな男・コンドウが転倒してしまったことから、出来心で自分とコンドウの荷物をすり替え、そのままコンドウになりすます。しかし、コンドウの正体は非合法な裏稼業を営む男で、桜井はヤクザ絡みのトラブルに巻き込まれる羽目に。一方、コンドウは転倒したことで記憶を失い、自分が売れない貧乏役者だと思い込み、オンボロアパートで桜井として暮らし始める。

と、あらすじには登場していませんが、もう1人の重要な登場人物として広末涼子演じる雑誌編集者の水嶋香苗がいるのですが、割愛しました。この内田けんじ監督の作品は以前にこのブログで書かせていただいた「アフタースクール」の時にも書いたのですが、ここに書かれていることを全部鵜呑みにすると、思いがけずに「うあ、やられた!」となります。今作も冒頭から監督らしさを醸し出しています。その事が明らかになるのは随分と後になってからなのですが・・・それでも今回は割と早い段階で気が付きました。

とにかくこの監督の良さは、とても良く練られた脚本とちょっと変な人が登場する所だと思っています。凄く変なのではなく、どこにでもいそうなちょっと変な人なのです。そんな彼らの日常が、非日常に巻き込まれ、そしてエンディングには清々しい気持ちで劇場を出ることが出来る。その描き方がとてもお見事なのです。

今作でも超几帳面で完璧主義な殺し屋とやることなすこと上手く行かないダメな役者。そしてどこかズレてる雑誌編集者という3人が見事に観客をスクリーンに釘付けにしてくれるのです。特に香川照之さん演じるコンドウは正体がわかる前と後では演じている人が変わったのかと思うくらいに表情が違います。あんまり喋ってしまうとネタバレになるのでこんなに解りづらい表現ですみません。

このあんまりストーリーを喋れないところも、この監督のいいところだと思います。機会があったら是非鑑賞をおススメします。

点数は★★★★☆です。マイナス点としては森口瑤子さん演じる井上綾子のキャラクターがうまく説明できていなかった点と荒川良々さん演じたヤクザにちょっと違和感があったのでマイナスとしました。良々さんはとっても好きな俳優さんなんですが、強面のヤクザという設定はちょっと違和感がありました。

日本人監督として注目すべき人が増えた作品でした。是非、この監督さんにもっと製作費を出して、映画を作らせたら日本を代表する作品が出来上がるのでは?と思うのは私だけでしょうか?

鍵泥棒のメソッド [Blu-ray]
堺雅人,香川照之,広末涼子,荒川良々,森口瑤子
メディアファクトリー


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