今日7月27日はロンドン五輪の開会式(…といても、日本時間では28日早朝になりますが…)。
今から36年前の1976年7月17日(日本時間18日)モントリオール・オリンピックの開会式が開催されました。そして7月21日には、ルネが歌うモントリオール・オリンピックのテーマ曲「モントリオール讃歌(英語版)」(CBS SONY 06SH20, 45rpm Single) が日本で発売されました。
日本のルネ・シマール・ファン・クラブ「メープル・メイツ」のメープル・ニュースで、ルネの「モントリオール讃歌」は、8月1日の閉会式に歓迎の歌として歌われるとに書かれていました。ストライキによる工事の遅れやボイコットなど、波乱含みの問題が多い大会だったことは記事に書きましたが、そのことにつきましては、カテゴリ「モントリオール讃歌」で過去ログをお読みください。
そしてルネのバイオグラフィー・サイトでは1975年9月に「モントリオール讃歌」の仏語版"Bienvenue a Montreal" (Nobel NL-5713, 45rpm Single)と英語版"Welcome to Montreal"(Nobel NL 5714, 45rpm Single)が発売されたと書かれていますが、"the Boy Choir & Soloist Directory"では"Welcome to Montreal"は翌1976年9月に発売されたことになっています。
また、CBS SONYとALFAレコードが日本での「モントリオール讃歌」発売のために、カナダまで音入れ録音にディレクターを派遣していたことについては、過去ログで書きました。しかし、その記事のもととなった宮住俊介氏のエッセイでは、曲は村井邦彦氏が書き、オーケストラのカラオケテープを日本で作ってカナダに持って行ったことになっていました。作曲家はアンドレ・マチューであることや、発売されなかった「流れる水のように」と変声との関係等、コメント欄で質問したのですが、はっきりしたことは分かりませんでした。
ここからは私の推測ですが、日本の「ルネ・プロジェクト」のスタッフは、1975年9月に発売されたカナダの"Welcome to Montreal"をもとに、ルネが日本語で歌う「モントリオール讃歌」を発売しようと考えたのではないのか?…と。
何故なら、ルネ・ファン・クラブ「メープル・メイツ」の会報の裏表紙に、山上路夫氏による日本語詞が付けられた楽譜が掲載されていたからです。当時は何故日本語詞が作られたのか、深く考えませんでした。でも、宮住氏のエッセイを紹介してしばらく経ってから気付いたのです。日本語で吹き込んだ「モントリオール讃歌」を発売するプロジェクトが組まれ、ルネの変声によって変更を余儀なくされたのではないか? そのため実際に発売されたレコードは、A面に英語版、B面に「この旗の下で」になったのではないのか?…と。
もしも日本語版「モントリオール讃歌」を変声前のルネが歌っていたら、どんな感じだったのか、想像してみてください。また、B面は英語版だったのか、それとも、もともと「この旗の下で」で計画されていたのか? などと考え始めると、想像の翼で何処までも飛んでいきそうです(爆★)。宮住氏のエッセイには「発売中止もやむをえない」と書かれていましたが、英語版で発売することになった経緯も是非知りたいですね! でも、日本の音楽業界でささやかれたルネのドーピング疑惑も、この辺のことが原因でだったのでしょう。また、もしも私の推測通り、変声後の声で歌われた日本語詞の「モントリオール讃歌」があるとしたら、聴いてみたいと思いませんか?
▲日本で発売された「モントリオール讃歌」
<宮住氏のエッセイより抜粋>
1975年の後半になると、早くも、その人気に翳(かげ)りが出て来ました。常に日本にいるアイドルたちと違って、彼はカナダに住んでいるのですから 無理もありません。
「このままルネは終わってしまうのか…」
そんな時、素晴らしい企画が舞い込んで来たのです! 翌1976年には、カナダのモントリオールで、オリンピックが開催されます。その主題歌を、ルネが歌うことが決まったというのです。これはナイスな企画ですね。打つ手がなくなっていたCBSソニーも、これには大乗り。で、これは私が担当することになりました。曲は村井さん自らが書く。いい曲でしたよ。
「Welcome to Montreal ♪ Welcome to Montreal ♪ ~~」
今でもこの部分だけは口ずさむことができます。スポーツの祭典にふさわしい、明るく、力強い感動をもった曲でした。それにふさわしい荘厳なオケも出来上がりました。タイトルは『モントリオール讃歌』!! この曲をルネが、あの張りのある美しい声で歌ったら、大ヒット間違いなし!誰もがそう信じて疑いませんでした。
歌入れ録音はカナダで。そしてこれには、CBSソニーの金塚さんという女性ディレクターに立ち会ってもらいました。その数日後、彼女は帰国。そして、アルファのスタジオで、
「みんなで出来上がった音を聴きましょう。」
ということになりました。わくわくですねえ。ワクワクワクワク。♪♪♪
ところが、スピーカーから流れて来る声は、およそルネの美声とはかけ離れた、ダミ声の、しかも全く “少年の声” ではない。すると、金塚さんが、うつむき加減で、元気のない声で、こう言ったのです。
「変声期なんですよ…。」
ああ、これでは発売中止もやむをえませんね。そして、日本における「ルネ・プロジェクト」も、もはやここまでということになってしまいました。
▲日本語詞の「モントリオール讃歌」の楽譜
モントリオール讃歌
(Welcome to Montreal)
作詞 RENNE SIMARD 作曲 Andre Mathieu
Claude Cacombe Vic Vogel
山上 路夫 編曲 Vacvus
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
愛の花が開く街よ
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
ここで誰も皆 友だち
今 輝くあの聖火の下(もと)で
地球はひとつの 愛の世界だ
希望と夢とを 誰もが歌う
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
風に緑そよぐ街よ
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
腕と腕をつなぎ合おう
今 時よ止まれ 美しいまま
力の限りに 若さが燃える
はためく五輪の あの旗の下(もと)
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
つなぐ心の温かさ
オリンピック モントリオール
オリンピック モントリオール
愛の花咲く モントリオール
▲ルネがオリンピック・カンタータ(モントリオール讃歌)をモントリオール市長やオリンピック準備委員たちの前で歌ったことを報じる記事 赤い枠で囲まれた人物が、若くして亡くなった天才作曲家で「モントリオール讃歌」の作曲者アンドレ・マチュー(Chantalさんの新聞記事コレクション・サイトより)
▲モントリオール・オリンピックの公式テーマ曲としてカナダで発売された「モントリオール讃歌」 仏語版と英語版の両方を収録
▲ルネのバイオグラフィー
♪Chantalさんの音楽サイトより"Bienvenue a Montreal"
http://discographiesimard.musicblog.fr/2862261/Rene-Simard-Bienvenue-a-Montreal-1976/
♪Chantalさんの音楽サイトより"Welcome to Montreal"
http://discographiesimard.musicblog.fr/2862269/Rene-Simard-Welcome-to-Montreal-1976/
※Les chansons des JO : Bienvenue à Montréal de René Simard
http://www.lexpress.fr/culture/musique/jeux-olympiques-rene-simard-chante-bienvenue-a-montreal-1976_1142014.html
※宮住俊介:音楽プロデューサー・Shun Miyazumi のエッセイ!
「ルネ・シマール その3(最終回)」
http://blog.livedoor.jp/woodymiyazumi/archives/52234335.html
※ルネ・シマールのバイオグラフィー・サイトfacebookのナタリー・ファン、ジョゼフさんより
http://bio.starquebec.net/S/simard_rene.htm
※BCSD(the Boy Choir & Soloist Directory)-Rene Simard
http://www.boysoloist.com/artist.asp?VID=200
※シャンタルさんの新聞記事コレクション・サイト
http://s398.photobucket.com/albums/pp63/MuseeSimard/1-%20Rene%20%201971-1976/?albumview=slideshow
さて、この記事をお読みになった皆さん、日本語詞の存在と変声後の「モントリオール讃歌」について、どう思われましたか?
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
カナダのChantalさんが、bebo-musicographiesimardに替わる音楽サイトを立ち上げたことは、しばらく前に紹介いたしました。そのお陰で、曲を聴かずに資料の歌詞だけで翻訳し、紹介してしまった”Les deux gamins de l'Ile d'Orleansオルレアン島の2人の少年”というルネとレジスのデュオを聴くことができました。聴いてみて分かった資料の間違いや、読み返して気付いた翻訳の間違いを、曲を繰り返し聴いて書き直しましたので、興味を持たれた方は、下記の過去ログでご覧ください。ちなみにChantalさんの音源もリンクいたしました。とてもリズミカルで可愛い曲ですので、是非一緒にお聴きください。レジスのパートのところで聞こえてくる、何とも愛らしいルネの笑い声は、お聞き逃しの無いように
※過去ログ「オルレアン島の2人の少年」参照
http://green.ap.teacup.com/rene_simard/485.html
今から36年前の1976年7月17日(日本時間18日)モントリオール・オリンピックの開会式が開催されました。そして7月21日には、ルネが歌うモントリオール・オリンピックのテーマ曲「モントリオール讃歌(英語版)」(CBS SONY 06SH20, 45rpm Single) が日本で発売されました。
日本のルネ・シマール・ファン・クラブ「メープル・メイツ」のメープル・ニュースで、ルネの「モントリオール讃歌」は、8月1日の閉会式に歓迎の歌として歌われるとに書かれていました。ストライキによる工事の遅れやボイコットなど、波乱含みの問題が多い大会だったことは記事に書きましたが、そのことにつきましては、カテゴリ「モントリオール讃歌」で過去ログをお読みください。
そしてルネのバイオグラフィー・サイトでは1975年9月に「モントリオール讃歌」の仏語版"Bienvenue a Montreal" (Nobel NL-5713, 45rpm Single)と英語版"Welcome to Montreal"(Nobel NL 5714, 45rpm Single)が発売されたと書かれていますが、"the Boy Choir & Soloist Directory"では"Welcome to Montreal"は翌1976年9月に発売されたことになっています。
また、CBS SONYとALFAレコードが日本での「モントリオール讃歌」発売のために、カナダまで音入れ録音にディレクターを派遣していたことについては、過去ログで書きました。しかし、その記事のもととなった宮住俊介氏のエッセイでは、曲は村井邦彦氏が書き、オーケストラのカラオケテープを日本で作ってカナダに持って行ったことになっていました。作曲家はアンドレ・マチューであることや、発売されなかった「流れる水のように」と変声との関係等、コメント欄で質問したのですが、はっきりしたことは分かりませんでした。
ここからは私の推測ですが、日本の「ルネ・プロジェクト」のスタッフは、1975年9月に発売されたカナダの"Welcome to Montreal"をもとに、ルネが日本語で歌う「モントリオール讃歌」を発売しようと考えたのではないのか?…と。
何故なら、ルネ・ファン・クラブ「メープル・メイツ」の会報の裏表紙に、山上路夫氏による日本語詞が付けられた楽譜が掲載されていたからです。当時は何故日本語詞が作られたのか、深く考えませんでした。でも、宮住氏のエッセイを紹介してしばらく経ってから気付いたのです。日本語で吹き込んだ「モントリオール讃歌」を発売するプロジェクトが組まれ、ルネの変声によって変更を余儀なくされたのではないか? そのため実際に発売されたレコードは、A面に英語版、B面に「この旗の下で」になったのではないのか?…と。
もしも日本語版「モントリオール讃歌」を変声前のルネが歌っていたら、どんな感じだったのか、想像してみてください。また、B面は英語版だったのか、それとも、もともと「この旗の下で」で計画されていたのか? などと考え始めると、想像の翼で何処までも飛んでいきそうです(爆★)。宮住氏のエッセイには「発売中止もやむをえない」と書かれていましたが、英語版で発売することになった経緯も是非知りたいですね! でも、日本の音楽業界でささやかれたルネのドーピング疑惑も、この辺のことが原因でだったのでしょう。また、もしも私の推測通り、変声後の声で歌われた日本語詞の「モントリオール讃歌」があるとしたら、聴いてみたいと思いませんか?
▲日本で発売された「モントリオール讃歌」
<宮住氏のエッセイより抜粋>
1975年の後半になると、早くも、その人気に翳(かげ)りが出て来ました。常に日本にいるアイドルたちと違って、彼はカナダに住んでいるのですから 無理もありません。
「このままルネは終わってしまうのか…」
そんな時、素晴らしい企画が舞い込んで来たのです! 翌1976年には、カナダのモントリオールで、オリンピックが開催されます。その主題歌を、ルネが歌うことが決まったというのです。これはナイスな企画ですね。打つ手がなくなっていたCBSソニーも、これには大乗り。で、これは私が担当することになりました。曲は村井さん自らが書く。いい曲でしたよ。
「Welcome to Montreal ♪ Welcome to Montreal ♪ ~~」
今でもこの部分だけは口ずさむことができます。スポーツの祭典にふさわしい、明るく、力強い感動をもった曲でした。それにふさわしい荘厳なオケも出来上がりました。タイトルは『モントリオール讃歌』!! この曲をルネが、あの張りのある美しい声で歌ったら、大ヒット間違いなし!誰もがそう信じて疑いませんでした。
歌入れ録音はカナダで。そしてこれには、CBSソニーの金塚さんという女性ディレクターに立ち会ってもらいました。その数日後、彼女は帰国。そして、アルファのスタジオで、
「みんなで出来上がった音を聴きましょう。」
ということになりました。わくわくですねえ。ワクワクワクワク。♪♪♪
ところが、スピーカーから流れて来る声は、およそルネの美声とはかけ離れた、ダミ声の、しかも全く “少年の声” ではない。すると、金塚さんが、うつむき加減で、元気のない声で、こう言ったのです。
「変声期なんですよ…。」
ああ、これでは発売中止もやむをえませんね。そして、日本における「ルネ・プロジェクト」も、もはやここまでということになってしまいました。
▲日本語詞の「モントリオール讃歌」の楽譜
モントリオール讃歌
(Welcome to Montreal)
作詞 RENNE SIMARD 作曲 Andre Mathieu
Claude Cacombe Vic Vogel
山上 路夫 編曲 Vacvus
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
愛の花が開く街よ
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
ここで誰も皆 友だち
今 輝くあの聖火の下(もと)で
地球はひとつの 愛の世界だ
希望と夢とを 誰もが歌う
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
風に緑そよぐ街よ
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
腕と腕をつなぎ合おう
今 時よ止まれ 美しいまま
力の限りに 若さが燃える
はためく五輪の あの旗の下(もと)
ウェルカム トゥ モントリオール
ボンジュール ア モントリオール
つなぐ心の温かさ
オリンピック モントリオール
オリンピック モントリオール
愛の花咲く モントリオール
▲ルネがオリンピック・カンタータ(モントリオール讃歌)をモントリオール市長やオリンピック準備委員たちの前で歌ったことを報じる記事 赤い枠で囲まれた人物が、若くして亡くなった天才作曲家で「モントリオール讃歌」の作曲者アンドレ・マチュー(Chantalさんの新聞記事コレクション・サイトより)
▲モントリオール・オリンピックの公式テーマ曲としてカナダで発売された「モントリオール讃歌」 仏語版と英語版の両方を収録
▲ルネのバイオグラフィー
♪Chantalさんの音楽サイトより"Bienvenue a Montreal"
http://discographiesimard.musicblog.fr/2862261/Rene-Simard-Bienvenue-a-Montreal-1976/
♪Chantalさんの音楽サイトより"Welcome to Montreal"
http://discographiesimard.musicblog.fr/2862269/Rene-Simard-Welcome-to-Montreal-1976/
※Les chansons des JO : Bienvenue à Montréal de René Simard
http://www.lexpress.fr/culture/musique/jeux-olympiques-rene-simard-chante-bienvenue-a-montreal-1976_1142014.html
※宮住俊介:音楽プロデューサー・Shun Miyazumi のエッセイ!
「ルネ・シマール その3(最終回)」
http://blog.livedoor.jp/woodymiyazumi/archives/52234335.html
※ルネ・シマールのバイオグラフィー・サイトfacebookのナタリー・ファン、ジョゼフさんより
http://bio.starquebec.net/S/simard_rene.htm
※BCSD(the Boy Choir & Soloist Directory)-Rene Simard
http://www.boysoloist.com/artist.asp?VID=200
※シャンタルさんの新聞記事コレクション・サイト
http://s398.photobucket.com/albums/pp63/MuseeSimard/1-%20Rene%20%201971-1976/?albumview=slideshow
さて、この記事をお読みになった皆さん、日本語詞の存在と変声後の「モントリオール讃歌」について、どう思われましたか?
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カナダのChantalさんが、bebo-musicographiesimardに替わる音楽サイトを立ち上げたことは、しばらく前に紹介いたしました。そのお陰で、曲を聴かずに資料の歌詞だけで翻訳し、紹介してしまった”Les deux gamins de l'Ile d'Orleansオルレアン島の2人の少年”というルネとレジスのデュオを聴くことができました。聴いてみて分かった資料の間違いや、読み返して気付いた翻訳の間違いを、曲を繰り返し聴いて書き直しましたので、興味を持たれた方は、下記の過去ログでご覧ください。ちなみにChantalさんの音源もリンクいたしました。とてもリズミカルで可愛い曲ですので、是非一緒にお聴きください。レジスのパートのところで聞こえてくる、何とも愛らしいルネの笑い声は、お聞き逃しの無いように
※過去ログ「オルレアン島の2人の少年」参照
http://green.ap.teacup.com/rene_simard/485.html