そして、バトンは渡された 瀬尾まいこ(著)2018年2月発行
じんわりと優しさが伝わってきて、ほっこりしました。
ヒロインの「優子ちゃん」の成長が、二人の母親と三人の父親との
関わりを通して描かれている小説。
3歳で生母と死別し、実父とは父のブラジル転勤以降離別状態になる。
父の再婚相手だった「梨花さん」と一緒に日本に残り暮らすことになり、
中学生時代は梨花さんが再婚した相手「泉ヶ原さん」と一緒に暮らし、
そのあと、梨花さんの再々婚相手の「森宮さん」と家族となり、
梨花さんが去った後も、父親として優子ちゃんの保護者となろうと
頑張る森宮さんと、高校生活、大学時代を共に生活する。
二人の母親と三人の父親を持つ、というなかなか厳しい生活環境に
身を置いているため、友人たちとは違う環境ゆえに、
悩み傷つきながらも、賢く生きて「優しく」成長していくヒロイン。
そんな優子ちゃんを優しく見守り、彼らなりに支えようとする
血の繋がらない母と父たち。
ヒロインのしなやかな生き方や問題解決方法、選択の仕方には、
彼女の何倍も長く生きてきたはずの私でも、
とても真似できない賢さや柔軟さがあって素晴らしく、
憧れてしまう。
ラストの、優子ちゃんの結婚式で、
父達と母が全員集合する場面では思わず涙。
きっと、彼女は幸せになるはず・・・
そんな想い、いや、確信が湧いてくる幸せな物語でした。
わがまま母