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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「むきだしの自立」への第一歩

2006-10-11 06:08:46 | 大阪市役所への質問(再開後)

また関市長への抗議と質問のメールです。今回は「権利保障のない状態の一律平等」「権利保障のないむきだしの自立」という言葉とか、「これまでの権利保障の取り組みを身包みはぐもの」という言葉を使いました。どうやらこれが、今の大阪市政の「」施策見直しを語るのにぴったりくると思いますね。

もっというと、これは行政サービスの水準を後退させ、「一律低水準での平等」にするというもので、「格差社会=不平等社会」のより一層の拡大を行うものでしかありません。したがって、このような「」施策の見なおしに対して反対の声をあげない政党が「格差社会の是正」を訴えたところで、そんな政党には「ただし、被差別は別」という但し書きがついているのだから、「それじゃダメだな」ということしかありません。

さらに、青少年会館についていうならば、私の見たところ、あの大阪市長や監理委員会側ですら「全市的に展開すべき事業」というしかないものを実施していたわけで、すでに一般施策化が相当に進んでいます。それをこうやって「切る」わけですから、これは「」施策見なおしのレベルを越えています。もうすでに、「青少年施策」や「次世代育成施策」そのものの切り崩し、あるいは「社会教育・生涯学習施策」そのものの「解体」を行っているというしかありません。そこにはおそらく、青少年会館の敷地・建物の売却、もしくは既存施設のスポーツ施設化による「民営化」などを通じた「平成の払い下げ」を行い、それで財政再建を行おうという意図が見え隠れしています。もしもそうだとすると、これは新たな「利権」を生み出すものではないのでしょうかね。市長のいう「本当の意味で施設がうまく利用されるように」というのは、こういう「利権」を民間企業などが利用できるように、という意味ともとれますが。

<以下「市民の声」から送信した内容>

前略、昨日10月10日に発表された大阪市長による「」施策見直しについて、いくつかの問い合わせと、抗議の意思をあらためて以下のとおり表明します。
 さて、毎日放送や朝日放送、関西テレビの昨夜のインターネット配信ニュースによると、関大阪市長は「今の利用者を無視するのではなく、特別扱いをせずに本当の意味でうまく施設が利用されるようにしたい」(関西テレビのネット配信ニュース、10月11日0時14分配信)と述べたようですね。
 しかし、今の青少年会館・人権文化センター・地域老人福祉センターなどの利用者から、「廃止反対」という意見が出ている。そのなかで「今の利用者を無視するのではない」というのは、関市長、いったい、どんな考えでこう言っているのでしょうか? 脇で見ている私らからすると、論理的な説明に全くなっていない。今の関市長が記者会見で打ち出した方針こそ、「利用者無視」の最たるものだと考えますが、いかがでしょうか? 関市長には論理的な説明をしていただきたい。
 次に、「特別扱いをせずに本当の意味でうまく施設が利用されるようにしたい」ということについて、いったい関市長は、どういう内容の実現を目指して考えているのでしょうか。私の目には、この言葉は「行政による権利保障のないむき出しの自立と、権利保障のない状態での市民の一律平等を、最も力の弱い市民層の多い地域の住民に強いるもの」という風に見えますが、いかがでしょうか。なにしろ、「特別扱いしない」ということですから。これに加えて、青少年会館などは施設そのものを廃止し、別施設に形態を転換するわけですから、「うまく施設が利用されるように」という以前の問題ではないでしょうか。
 あるいは、毎日放送のネット配信ニュース(10月11日、0時13分更新分)では、青少年会館について「特定の地区にだけ施設があるのは市民の理解は得られない」と市長が述べたとのことですが、だとしたら、既存の施設を残したまま、他地域に施設を建設するなど、全市的に青少年会館を設置するという道もあります。なぜそういう方向ではなく、12館全館を廃止するという方向に向かうのでしょうか。あるいは、今、青少年会館で行っている施策を全市的に展開する必要性を大阪市として認めておきながら、これまでの歴史的経過のなかで、どうしてそのような措置をとらなかったのでしょうか。この点も、今の大阪市長の主張は、論理的な整合性がないように思いますが、いかがでしょうか。
 このように、ネット配信記事で紹介されている関大阪市長のコメントには、大阪市内の最も力の弱い市民層に対する配慮のかけらも感じません。これまでの権利保障の取り組みを「身包みはぐもの」としかいいようがないと思います。このような施策の実施については、私としては到底容認できるものではありません。すぐにこの方針を撤回していただきたい。以上、とり急ぎ、お伝えします。 草々


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