2234冊目はこの本。
鍋田恭孝『子どものまま中年化する若者たち』(幻冬舎新書、2015年)
子どものまま中年化する若者たち 根拠なき万能感とあきらめの心理 (幻冬舎新書)
児童・青年期の精神医学の立場から、最近の子どもや若者に見られるさまざまな特徴を論じた本。
基本的にご自分の精神科医としての臨床経験と、他の文献等で語られていることとをつないで論じているものなので、「なるほど、こういう見方もできますね」ということは多々あるのだけど、「はたしてそれが今の子どもや若者全般にどこまで見られる傾向なのか?」という点では、おそらく社会調査みたいなものをやって検証する必要があると思った。
ただそれでも、たとえば同じように学校に通いづらい「不登校」の子どもでも、20年前と今とでは悩み方の質が違うという指摘(最近のほうが悩みが深まらない傾向。その分、学校へ通えという規範は弱まっているというのが著者の理解)など、「なるほど」と思われる部分があるのは事実。なかなか面白い本だと思った。