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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「違法な上司の命令」に部下は従う必要はあるのか?

2012-02-15 22:41:23 | ニュース

最近、このブログをツイッターやフェイスブックなどで紹介してくださった方がいるようで、ここ2~3日、アクセス数が急増しています。たいへんありがたいことです。この場をお借りして、あらためてアクセスしていただいたみなさんに、お礼を申し上げます。

さて、今日はやはり、例の大阪市職員の組合活動や政治活動に関するアンケート調査の件でしょうか。これについては、次のような記事が出ています。

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201202150019.html(橋下市長、職員調査「法の範囲で」質問の見直し示唆:朝日新聞ネット配信記事2012年2月15日付け)

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201202140023.html?ref=recc (「大阪市の職員調査は不当」労組、府労委に救済申し立て:朝日新聞ネット配信記事2012年2月14日付け)

いよいよ大阪市の職員労組側も、黙ってはいられないということで、抗議や救済申し立ての動きに本格的に動き始めたようですね。また、ツイッターなどを見ていますと、全国各地の弁護士会や労働組合などからも、このようなアンケート調査を実施しようとする橋下市長への批判、抗議などが相次いでいるようです。

さらに、大阪市教委は次の記事にあるとおり、このアンケート調査を市の教職員に実施することをいったん、見合わせたようです。(ただし、教育基本条例案の修正案は、この前の府の修正案を前提としたものを議会に出すようですが。)

http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201202140054.html (事務局が教育基本条例素案を提出、大阪市教委:朝日新聞ネット配信記事2012年2月14日付け)

そして、今日の一番上に紹介した記事にあるように、「質問の見直し」ということに一応、橋下市長も話をもっていかざるをえない段階に来ているようです。また、この記事の最後にあるように、このアンケート調査について「全責任と全権限は僕にある」と橋下市長は言ったわけです。ということは、この調査に憲法違反その他の法令違反があるとすれば、それは市長の責任。なにしろ、この調査に関する「全責任と全権限」は市長にあると、マスメディアを通じて自ら言ったわけですから、もう逃げられませんね。

ちなみに、大阪弁護士会は下記のとおり、このアンケート調査の実施について、職員の「思想信条の自由」「政治活動の自由」「労働組合活動の自由」の侵害の危険性を指摘しています。つまり、憲法違反の疑いが濃い調査だと、大阪弁護士会は言うわけです。

http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/02_seimei.php (大阪弁護士会会長声明:大阪市職員に対する労使関係に関するアンケート調査の中止を求める会長声明)

これに対して、下記のスポーツニッポンの記事にあるように、橋下市長は弁護士会の言うことはあてにならないといった趣旨のことを述べているようですが、はたして、そんな言い逃れは通用するのでしょうか? この際、橋下市長は率直に自分の非を認め、関係者にマスメディアを通じて謝罪し、調査を中止するべきではないのか、と私は思います。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/02/14/kiji/K20120214002635640.html (大阪弁護士会が反対声明も・・・橋下市長「弁護士会、あてにならない」:スポーツニッポンネット配信記事2012年2月14日付け)

なお、前にも紹介しましたが、大阪市役所に対して、私は以前、下記のとおり、「違法な上司の命令に対して職員は従う義務はあるのか?」ということを問い合わせ、大阪市総務局側の回答とともにこのブログに掲載しました。あらためて、ここでそのことを紹介しておきます。

<2006年9月26日のこのブログの記事より>

前略、いつも私の「市民の声」からの質問に対して、ごていねいにお返事をいただきありがとうございます。昨日も、市民局長名でお返事をいただきました。その内容についてあらためてご質問したいこともあるのですが、それは別途連絡することとして、今回は昨今流行のようになった「コンプライアンス(法令順守)」についてお伺いしたいと思います。
 さて、私の手元にある『解説教育六法(2006年版)』(三省堂)では、地方公務員法第32条で、「法令等及び上司の職務上の命令に従う義務」が定められています。これがいわゆる「コンプライアンス」の地方公務員法上の根拠になるものと思われます。
 と同時に、この条文を読んでいて、ふと疑問に思ったことがあります。
 それは、もしも上司が、地方公務員法第32条にいう「法令・条例・地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程」を「逸脱」あるいは「無視」する職務命令を出した場合、はたして、大阪市職員に「上司の命令に従う義務」は生じるのかどうか、というところです。
 地方公務員法の建前からすると「上司の命令」に従う必要はあるが、その「上司の命令」がそもそも「法令等の趣旨を逸脱あるいは無視している場合」はどうなるかという問題は、かなりコンプライアンス論の根幹にかかわる問題だとは思います。
 なかなかそう簡単には答えが出せないと思いますが、この点について、大阪市当局としてはどのように考えておられるのか、お聞かせいただければ幸いです。
 お忙しいところ恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いいたします。 草々

<2006年10月26日のこのブログの記事より。大阪市総務局からの回答>

 違法な職務命令については、当該職務命令に重大かつ明白な瑕疵がある場合には従う義務がないと考えております。もし、上司が違法な指示をしたときには、部下は意見を述べ上司の再考を促すことができます。しかしながら、通常の業務遂行においては、そのような事態は少ないと思われます。
 本市では、コンプライアンスの観点から、違法な命令が発せられるといった事態に陥らないよう、普段からコンプライアンス意識を養い、法令の知識を習得し、また、いつでも上司と部下が相談できる風通しの良い職場づくりを心がけるなどの日常の取り組みが大切と考えております。
 そこで、本市では本年9月から、職員のコンプライアンス意識の向上等を目指して「コンプライアンス研修」を実施しています。

ところで先日、テレビでスクープとして取り上げられた市の職員労組の一件、あれはどうなったのでしょうか? 大阪維新の会の市議がテレビに出て、内部告発から出たこの件を取り上げていたそうですが、続報がでませんね。どうなっているのかな?

それと、大阪都構想のほうですが、あれも今、どうなっているのでしょうかね? なんか、いろんなことが「言いっぱなし」になっていて、「その後どうなったか?」が全然伝わってこないのは、なぜでしょうかね?


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