できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

もう一度、確認しておきたいこと

2012-02-06 23:56:42 | ニュース

1.敵をつくる。2.ワンフレーズをばらまく。3.内容をぼかす。4.議論させない。5.マスコミは一部しか伝えない。

この5つのことは、去年11月、堤未果さんの講演を聴きに行ったときに、アメリカの教育や福祉などの領域に「市場化」が入ったときのマスメディアの伝え方について、彼女が語ったこと。それを私なりに整理したものです。

今日、ツイッターを見ていた限りの話ですが、大阪市の職員労組の選挙活動に対して内部告発があったようで、そのことに関する情報がテレビなどで流れたようです。しかも、一部のツイッター情報では、どうやら大阪維新の会の市議経由でこの話が出たようなことも伝わっています。もしもこれが本当だとするならば、職員基本条例の制定を前に、その方向に世論を誘導していこうと、ここぞとばかりに内部告発情報が出てきたという見方も出てきますね。

もちろん、選挙に際して職員労組側のとった動き方も問題かとは思います。ですが、今、ここへきて、なぜこの話が出ているのか、ということ。そこにも注意が必要です。その際には、大阪市政や大阪府政に関することについて、上で書いたような5つの特徴がマスメディアの伝えている中身にはあるのかどうか、そこを注意深く見ていくといいかと思います。このことを、今日はもう一度、確認しておきます。もしかしたらマスメディアの流す情報に沿って、私たちが職員労組けしからんと調子に乗って言えば言うほど、「しめしめ」と誰かが喜んでいるのかもしれませんので。

ところで、今日の朝日新聞夕刊では、大阪府の「教育基本条例案」に「有形力の行使」に関する規定があることが出ておりました。この「有形力の行使」ってなんなのでしょうか? どうやら「体罰」ではないけれども、子どもに対して力づくで言うことを聞かせる行為、それを指しているようですね。また、文部科学省自体がここ数年、生徒指導関係の行政文書などでこうした「有形力の行使」を認める方向で動いている節もあります。

でも、子どもの側から見れば、教職員による「有形力の行使」と「体罰」との間に、どのような線引きが可能なのでしょうか? それはしょせん「力づくで子どもにいうことをきかせたい」とする側が、自分たちが罰せられない範囲で都合よく、言葉を言い換えて逃げ道をつくろうとしているだけに見えたりはしないのでしょうか? こういう部分にも、「教育基本条例案」の問題点がありますね。

 


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