ネットで生中継を見終えました。
途中、回線が切れたので、5回を半分くらい見られませんでしたが、他のサイトに乗り換えて、
それ以外はほぼ完全に試合を見ることができました。
不完全ながら、例の採点方式を用いて、採点もやってみました。限界はありますが、参考までに。
簡単に展開。
1回、デンカオセーンが左で先制、名城は少し重く見える。ボディブロー出す。デ10-9.5。
2回、デンカオセーン右クロス、ワンツー。名城は右クロスカウンターも単発、精度が低い。デ10-9。
3回、デンカオセーンが連打、しかし名城中盤から手数が出る。距離が少し近くなる。デ10-9.5。
4回、名城の右がヒット、デンカオセーンの顔が上がる。名城攻めるが終盤、デンカオセーンの右ヒット。
終わってみればこの試合のベストラウンドか。名10-9.5。
5回、半分見られず。名城攻めているが右ミス。デンカオセーンの右が、よりインサイドに入る。デ10-9.5。
6回、デンカオセーンがアウトボクシング。名城左ボディ単発、右アッパーはミス。デ10-9.5。
7回、展開同じ。名城上体が立っていて、これではいい的。無策。デ10-9。
8回、デンカオセーン疲れたか、お休みの回?
距離が詰まる。名城左右ヒット。左ボディ再三決まるが、接近戦でデンカオセーンのクリンチに悩まされる。
せっかく打ち合える距離なのに、サイドに出ないものだから体格で押し負け、打ち込めない。名城10-9。
9回、デンカオセーンはごまかしの手を出してはクリンチ。名城攻める、しかし右クロス精度悪い。ジャブを食う。
名城、振りの小さい右ストレートが出ない。カスティーヨをカットさせたあれが欲しい。名城10-9.5。
10回、名城左右、ワンツー。デンカオセーンはジャブ。いかにも苦しいが、名城よりも小さく、内側に打てている。
名城前進も、追撃はクリンチにより断たれる。名城10-9.5。
11回、名城右ヒットもクリンチ、上体の動きがないからワンツーを食う。デンカオセーンはもたれかかってくるばかり。
クリンチが増える。名城10-9.5。
12回、名城出るが、デンカオセーンは二発ごまかし打ち→クリンチ、の繰り返し。
名城は見栄えの悪いもらい方をし、見ている場合ではないのに相手を見てしまう。デンカオセーン10-9.5。
あくまでネットで見た限り、ですが、この方式で採点すると117-115.5でデンカオセーンとなりました。
もし普通に10-9をつける方式でいくと、115-113でデンカオセーンとなります。
結果的には、あまり変わりないといえばそうなのかもですね。
公式採点ですが、116-113.5、116.5-114.5と、二者がデンカオセーン、113-115.5で一者が名城、
2-1でデンカオセーンだったそうです。
判定や、レフェリングにおいては、敵地の不利というのは感じられない試合でした。
レフェリーは終盤、デンカオセーンのクリンチをほとんど放置せず、こまめにブレイクをかけていましたし。
ざっと見て、以上のような内容と結果でした。名城信男、またしても無念の敗戦でした。
やはり敵地で、以前のスリヤン戦と違って、より暑い時期だった影響か、思った以上に動きが重かったです。
ただ、全体としては、やはり上体が立ったまま、ガード、ブロック依存の構えにならざるをえず、
攻めが正直で単調なこともあり、好打してもリターンをもらい、いい流れをすぐ切られる、という
「もどかしい」という言葉の意味を数十倍に膨らませてもまだ足りない、と思うほどに、
いかにも効率の悪い繰り返しだった、過去の世界戦敗北のパターンと似たものに見えました。
このあたりの不具合を、ただでさえ厳しい敵地での試合でいかに改善してくるか、という
淡い期待をしていたんですが、その辺がやはりというか、非常に残念な内容でした。
そこに変化を見せられないようであれば、厳しいようですが何故再起してきたのか、という意味付けも見えません。
そして対するデンカオセーンが、思いのほか好調というか、そこそこのレベルに戻っていました。
元々、敵地アメリカで、全盛期のエリック・モレル相手に大健闘した好選手でしたが、
近年見せた数試合では、もうボクサーとして黄昏というか、糸の切れたような姿をさらしていました。
しかし今日は、モレル戦や、坂田健史戦の頃と比べ、序盤に限れば7割くらいの状態にはあったように見えました。
名城のボディ攻撃や、非効率ながら執拗な前進に終盤は疲れ、地元でないと通用しないような
露骨な時間稼ぎのごまかしボクシングになりましたが、それでも想像以上の粘りでした。
やはりタイの選手、地元じゃ別人、という感じでしたね。
ただ、そうはいっても、試合全体のレベルとしては、暫定ということを含めて考えても、
とても世界云々というレベルには見えない、内容の乏しいものでした。
結果以前の、このくらいの相手にこの内容しか見せられないのであれば、
世界王座を目指して闘うレベルのボクサーとして、名城信男は「終戦」を迎えたのだと言わざるを得ないでしょう。
ラストファイトとして喧伝され、見る者の心情に訴えるものを強く残して敗れた、
昨夏のテーパリット戦の内容が、その懸命さにより我々の胸を打ったとしても、
その反面、決して「賢明」に闘えた試合ではなかった、という冷静な分析が本人及び陣営になかった、
あるいはあったとしても、今回の「世界」戦にそれがほとんど反映され、表現されることがなかった。
この一点において、仮にこの試合が日本で挙行されていたとしても、名城信男が勝っていた、とは
私は断言する自信がありません。今日の試合はそういう試合でした。非常に残念です。
採点方式はどうであれ、おっしゃるとおり内容ですよね。かつてムニョスやカサレス、部分的にはテーパリットも実践した名城攻略法...距離を取って重いジャブで突き放し、サイドに回らせない戦法を、形は違えど序盤は実現したデンカオセーンに対し、あまりに無策に見えました。今後についてはたとえば国内の第一人者と言われるような選手との対戦を経て再浮上を期す、というようなことでもないと、再起する意味を問われても仕方ないでしょうね。そしてそういう路線を取るのも遅かった、と思いもします。残念です。
新聞とかでは敵地の洗礼とか採点方法とか、言われてますが私達ファンに取っては名城さんがデンカオ程度の相手にこんな試合しかできなかったことが悲しく思えます。仰るとおり、敵地で不利な扱い受けるのは当たり前なのにすごくばか正直で、でもいざという時に行ききれない。これをカサレスやカスティーヨ相手に激闘を演じた名城さんがやっているのがすごく悲しい。もう期待できません。