金曜夜、ホールで栗原慶太がIBF4位スックプラサート・ポンピタックに2回TKO勝ち。
A-signの動画で、即日見ることが出来ました。ありがたや。
スックプラサートは、タイの元王者やランカー常連選手に時々居る「世界ランク配給王」みたいな見方もされますが、その反面、その実力自体は一定以上のものがあります。
前回来日時の小國以載戦でも、小國のロングのボディアッパー、コンビネーションを浴びても怯まず出て、ダメージ甚大とはいかなくともダウンを奪い、その後の攻勢では小國を厳しく追い込む場面も再三。
あ、こりゃけっこ強いな、そもそもちゃんと勝つ気あるやん、と見えたのを覚えています。
そりゃ「世界で4番目に強いバンタム級コンテンダー」では全然ないですが、本気のタイ国ナショナル王者、くらいには充分見られる選手である、と。
今回の試合でも、栗原の強いリードに対し、ダック、スリップで外して左右のフックを強振。
隙があったらアタマも添えて、という感じで、良し悪しはともかく、ちゃんと本気でした。
しかし栗原、その大振りに巻き込まれ、お付き合い...と見せといて、2回にコンパクトな右ショートを地味に決め、スックプラサードを止めると、強いワンツー、右で攻め、下がりながら返しの左フックでダウンさせる。
追撃でタイ人の腰が二度落ちたところ、レフェリーが止めました。まだ手を返してはいたのですが...。
栗原慶太はその実力からすると、不思議なくらい低いランクに甘んじていた選手、というのが第一印象でしたが、上位ランカー対決で田中一樹を倒し、小林祐樹を下してOPBF王座獲得、パレナスを初回で倒し、そして今回の勝利。
IBFランクがどの程度上がるか、というのが周辺の狙いなのでしょうが、部外者のいちファンとしては、ここ数年の間、井上拓真が担っていた「日本バンタム級チャンピオン」の仕事を受け継いでいる、と言える選手になってくれたなあ、というところです。
井上拓真と比べると、全体的にまだ緻密さで劣る感じはありますが、正攻法でパンチもあり、好機に決め手をもって詰めるところの迫力、確信の深さのようなものは、試合のレベルが多少違うにしても、勝るとも劣らないものがあるように見えます。
その井上拓真、実際の日本王者たる鈴木悠介、指名挑戦者澤田京介、そして一度破ったアジアパシフィック王者小林に加え、WBOでは何故かバンタム級4位の石田匠、その上の2位にいる赤穂亮、そしてブランク中にもかかわらずWBC5位に記載された比嘉大吾。
さらに先日のゴッドレフト大会準決勝で、アマチュア時代からのライバル南出仁を初回で倒したサウスポー、中嶋一輝も遠からず浮上してくることでしょう。
こうして見るに、なかなかの顔ぶれが揃うクラスですが、その中でも一定以上の水準の相手とコンスタントに闘い、勝っている栗原慶太は、国内におけるこのクラスの軸、メインキャストたりうる存在だと思います。
この辺、どう組み合わせても面白そうです。ひとつでも多く、お互いにリングの下でなく、リングの上で避けて打って、というのをやって見せてもらえたら、ファンとしては幸いです。
それは「真の日本一」を争奪する闘いとして、先の「真の世界一」を争う試合と同じく、見る者を納得させるものになるでしょう。
その中心のひとりとして、栗原慶太の今後に期待します。
ということで、動画を紹介。
画質は充分、試合前のインタビューはあるし、画面表示もあって、これでKOシーンのスローリプレイがついたら、もうTV局なんか要らんわい、と蹴たぐれるところですね(^^)
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あと、アンダーで寝屋川石田ジムの石脇麻生が、池田竜司をこれまた2回TKOで下した試合もご紹介。
全日本新人王を惜しくも獲れなかったあとも、アクティブに活動している石脇、15位とはいえランカーに快勝です。
同僚の福井貫太と共に、積極的に格上に挑み続けている石脇、今後も要注目です。
それにしても寝屋川石田ジム、先日の新人王戦にも複数、選手を送り出して来ましたし、新興ジムならではの勢いを感じます。
今後、西の一大勢力になってくるかもしれません。
セコンドに立つと、その長身で非常に目立つ石田順裕会長を超える逸材が、いつかこのジムから現れるのかもしれませんね。
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ということで、一曲。
THE WILLARD ”SILLY GAMES” です。
さて、石脇麻生君、まだ線は細いですが、ガード、ジャブとしっかりした選手ですよね。また日本ランカーをあれだけ見事にアッパーで倒してガッツポーズなし、まるで当然だとばかりの振舞い、なかなかです。去年は少し乱戦に巻き込まれて新人王逃しましだが、期待できます。
石田会長が、ジャブやストレート、ベーシックな部分の確かさで、海外で、30代後半でも戦ってきた選手なのでその辺りきちんとした指導出来てるんでしょうかね。
こういう動画配信が、興行への好影響、ひいては選手の待遇向上に繋がってくれたら良いんですけどね。それには個々の業者さんの努力を結集して...まあ、毎度同じ事ですので省きますが。
石田順裕会長のジムは、新人を多くデビューさせていて、新人王が終わったあとも、厳しいマッチメイクで積極的な「挑戦」を重ねています。一時に比べ、選手層が薄くなっている感がある関西ボクシングにおいて、新たな勢力を築くところまで行って欲しいと思います。