昨日発表ありました。井上尚弥、リングマガジンの FIGHTER OF THE YEAR 受賞です。
Congratulations to @naoyainoue_410 on winning The Ring magazine 2023 Fighter of the Year award. The Best of 2023 issue goes live next week on RingTV and the new Ring Magazine app (available @GooglePlay)https://t.co/LYuqdPK4Fd @trboxing @KornerMan44 @daisukesugiura @yuriyuri0803 pic.twitter.com/Rna6MUFBqd
— Bible of Boxing (@ringmagazine) January 5, 2024
先日、ESPNのMVP受賞の際にブログで取り上げましたが、実はトップランクの試合を放送しているESPNの受賞はあっても、リング誌の方は難しいかもしれない、と思ったから、でした。
米国のボクシング批評において最も権威を認められるリング誌の各賞、その決定を担う投票権を持つ委員の中には、やはりアジア、そして日本人ボクサーに対する拒否反応、過小評価が根強く残っているのでは、と。
そこそこの好選手であれば、言えば上から目線で褒めることには抵抗ないにせよ、このレベルまで上がってくると、逆に謂われなき、というレベルの批判や、上位ではあっても最高ではない、と言いたいがための理屈をひねり出してくる者が、必ずいる。
それはフロイド・メイウェザーやロイ・ジョーンズのような往年のグレートの意見を借りる形で、記事になったりもしているようです。
かつては名選手だったが、コメンタリーや批評家としては別に偉大ではない者の言葉でも、影響力は馬鹿になりません。
また、こちらも老舗、英国ボクシングニュースではテレンス・クロフォードがMVP、井上は2位だったようです。
しかし、結果は昨年、1試合しかしていないクロフォードを、二戦連続でダブルタイトルホルダーをKOするという、おそらく他に類例無き実績を残した井上が(僅かに、でしょうが)上回った。それがリング誌の決定でした。
やはり、昔日からアジアを含め、よりワールドワイドな啓蒙活動を行ってきたリング誌の伝統が、マニー・パッキャオに次ぐアジアから二人目、そして日本初の受賞者を出すに至った要因、なのかもしれません。
日本ボクシングの歴史において、この賞を獲った選手はいなかったし、そもそも獲れそうになった選手も、ひとりもいなかった、と思います。
私がボクシングファンになった頃、この賞を日本のボクサーが獲れる日が来るとは、想像してみたこともありませんでした。
初めて現実的にその想像をしたのは、2014年12月30日。東京体育館に、観戦に行ったその日だったと思います。
あまりに予想外の圧勝に、喜びも通り越して唖然呆然、という試合を見終えたあと、思ったものです。
遂に現れた。リング誌、FIGHTER OF THE YEAR を獲るかもしれないボクサーが、この国に。
そして、その時初めて見た夢が、遂に実現しました。
昨今のスポーツ界には、野球の野茂英雄、イチローに続き、大谷翔平のような、昔日の遠い夢を現実に変える、破天荒なスーパースターが現れています。
日本人がメジャーリーグのホームラン王になるとは、リング誌のMVP同様、想像したことすらありませんでした。
その他のスポーツでも、国際的な活躍をする多くの選手が居ますし、格闘技、という括りなら、やっぱり吉成名高の業績は、驚愕そのものです。
しかし、やはり私にとってはボクシングが何より大事です。そして井上尚弥です。
元々、暗雲漂う世界にあって、年明け早々から凶報相次ぎ、時代はますます厳しくなっていくように思えてなりません。
しかし、井上尚弥の周辺だけは、世界が光り輝いているかのように思えます。
改めて、井上尚弥の快挙を称えます。おめでとう!
そして、ありがとう、と言いたい気持ちでもありますね。
日本人初であると同時に、アジアで行われた試合での受賞、というのも初でしょうかね。帝拳や大橋ジムに対し、自分は普段文句ばかり言っていますが、彼らからは世界で戦える日本人選手を育て、日本ボクシング界の地位を向上させたいという意思が感じられます。その結実とも言えましょうか。
これまでの米ボクシング界隈は、ある種の「余裕」をもって、井上を称賛してきたかと思います。「(あまり知られていないけど)凄い選手がいるんだよ」と。それがクロフォードのような選手と並び称されるとなると話は違うと。ただやはり、アメリカというのは懐の深い国と思います。スペンスを圧倒したクロフォードのインパクトは米国では絶大と思いますが、それでも井上を推す識者やファンも多く。井上の世界的な評価の高さは Ring 誌が牽引した部分がありますし、今の編集長が中・重量級偏重ではないというのも大きいですかね。
自分は海外発のネガティブな意見よりも、それらを歪めたり膨らましたりして紹介する日本メディアの方が気になります。大分ニュアンスが違うものもあり、ちょっといろいろ思うところがあります。そして今回の快挙の扱いは小さく。やはりボクシングという競技の社会的地位、信用、価値は、他のメジャースポーツに比べて低いのだなと。それらを高め、誠実に世間に伝えることが、例え遠回りでも人気や利益の増大に繋がると思うのですが。
吉成名高について、「打倒ムエタイ」というのは、日本キック界の悲願だったと思うのですが、キックルールでムエタイ戦士を破った選手たちの方が持て囃されるのは不思議な話だなと。
愛知大会中止の際のコメント、ひょっとしてまずいことでも書いてしまったかとちょっと心配していたのですが、そうでなければ良かったです笑。
私より上の世代だと、もっと強い感動がおありかもしれません。10代の頃からリング誌日本レポーターをやっていたジョー小泉さんなど、感慨深いなんてものじゃないはずです。どうも、他の媒体、ESPNやBOXINGSCENEあたりと同じように取り扱う報道など見て、私などは違和感を持ちます。創設95年の伝統ある賞ですし、文字通りボクシング界の頂点といえばコレ、サッカーのバロンドールに相当するものだろうに、と。もちろん現代において、BOXINGSCENEなどの情報媒体が重きを成すのは承知していますが。
確かにアジアでの二試合で評価されての受賞というのも、時代の変化を象徴するものですね。
アメリカの懐の深さというのは、確かに感じます。一方で偏狭な部分も確実に見えはしますが。ただ、日本のメディアが両面共に利用して、数稼ぎに走るばかりで、本質を伝えようとせず、前向きな話になっていない、というのは同感ですね。卑しい、貧しい、としか言えません。
キックに関しては部外者というか、傍観者ですが、本当にムエタイを改変した派閥の選手ばかりがスターになりますね。かつて若き立嶋篤志がそれに対し「てめえの庭でやって、てめえがチャンピオンか」と批判したことがありますが、本当にそう思います。しかしあの辺は、ボクシングなど生易しいくらい、儲け第一なんでしょうね。
返信忘れは単に私のミスです。どうもすみませんでした。