さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

パッキャオvsコット戦感想文(結果あり)

2009-11-15 23:04:22 | マニー・パッキャオ
どこまでも、常識の通じないお方であります。

デラホーヤを速い連打で打ちまくり、ハットンを小さく鋭い右で倒してきた様を見て、
もはやアジアの英雄というより、デュランやアームストロングと比較するに足る
「非常識」な怪物ボクサーである、と頭ではわかっていても、それでもやはり、またしても驚きました。


試合前の私の予想はコット勝利でした。
マルガリート戦は、あまりの相性の悪さ(体格面での不利、コットの短所とマルガリートの長所が合致した)が
大きく作用したものと見ていて、やはりウェルター級屈指の強豪であるコットのパワーが
今度という今度は、マニー・パッキャオを打ち破る可能性の方が、普通に考えて高いだろうと思っていました。

しかしパッキャオの試合だけは、普通の頭で考える予想が通じません。
それは今までもそうでしたし、今度もそうでした。


ただしコットにも懸念があったことは確かです。
過去、ザブ・ジュダー戦、そしてマルガリート戦で露呈したふたつの弱点。
ボディが比較的弱いこと。八の字ガードのまま、距離を取ってサイドに回ることをせず打ち合うため、
相手のアッパーカットを食う頻度が高いこと。
ことにマルガリートは、自らのスタイルを貫くことで、イコールこのふたつの弱点を突けた、希有な選手でした。

では、このコットの弱点を、パッキャオがどう突くのか。
パッキャオのスピードは、果たしてコットの懐の深さを克服しうるのか。
打ち合いの際に、八の字ガードの中央をどんなパンチで打てるのか。
そこに興味を持って試合を見ました。

なお、コットの側から見れば...というか、私がもしコット陣営の人間だったらば、
長いジャブを基本に、徹底的にパッキャオを突き放し、打ち合わない作戦を採っていたと思います。
上記のような弱点があるから、という以前に、パッキャオと打ち合うリスクは避けないといけないはずでした。


立ち上がり、コットはそういう意識で闘うつもりなのかな、と見えたのですが...。
3R、4R、いずれも打ち合いの中で、パッキャオは驚異的なほど速く的確なパンチを当てて
コットをダウンさせ、試合の帰趨をほぼ決定づけてしまいます。
とくに4Rの、コットの、ガードの形態と距離の取り方の辻褄があっていないという弱点を突いた
パッキャオのアッパー気味の左フックは、見事、お見事、参りましたというところでした。
その後は余裕を持ったパッキャオが、波状攻撃を繰り返してコットを痛めつけ、
最終回早々、左をヒットしたところでレフェリーストップ。

かくして私の愚かしい、常識に縛られた頭の古い予想はまたも打ち砕かれ、
これ以上ありせんな、金箔突きの完勝ですな、参りましたm(_ _)mというところに落ち着きました。


試合後、パッキャオの元には、いっぺんに4つくらいベルトが送られていました。
WBOウェルター級ベルトに、WBOスーパーチャンピオンベルトに、
WBCダイヤモンド、他にももういっこグリーンベルトが来てまして、もうこうなると
かえって値打ちおまへんね、というなんだか冗談みたいな光景が繰り広げられていました。
あと、公式には5階級制覇か7階級制覇か知りませんけど、まあ、とにかくこのお方は偉大です。

ジョー小泉さんが「ヘンリー・アームストロングがバーニー・ロスを破った試合に匹敵する
歴史的価値のある試合」と語っていましたが、まあそういう例えの意味を本当にわかっていない私にも、
とにかく大変な試合を見たのだな、ということはわかります(^^;)
ていうか、このお方の試合はここのところ、ずーっとそんな感じじゃないですかね。

歴史を越え、常識を越え、階級の壁を越え、全てを超えて、マニー・パッキャオはどこまで征くのでしょう。
またしても、驚嘆と感動の試合を見ることが出来ました(^^)



追記:えーと、これって、ひょっとして、東洋人ボクサー初の、
世界ウェルター級タイトル獲得だったりするんでしたっけか?
どこ見てもそうは書いてないんですけど、これも快挙ですよね。
145ポンドですけど、いいですよね。ね(^^;)

コメント (5)
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