角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

角館の桜トリビア。

2012年04月20日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
こちらも金プリントの豪華さが際立つ草履です。ベースの基調色が比較的落ち着いていますし、組み合わせに緑を利用したことでさらにシブさも出ました。金色の華やかさはありながら、ご年配の女性にもお勧めできるでしょう。
豪華絢爛な平生地はこちらです。



いよいよ角館の桜まつりが開幕しました。お天気も気温も上々、まさに散策日和と言えるでしょう。ただし、肝心の桜はまだどこにも咲いていません。開花宣言はしばらく先を知っている地元民には、午前10時の狼煙花火がいささか寂しく聞こえましたか。

今日も「桜ざんねん旅」を訴えるお客様が複数です。久留米市からツアーでお越しのご夫婦は、『桜が見たかったんだけど、さすがにまだムリだねぇ』。
みなさん今年の桜が全体に遅いことをご承知ですから、やはり「あわよくば」なんですね。

「桜ざんねん旅」のご紹介が続くのも寂しいですから、檜木内川堤に咲き誇るソメイヨシノの「トリビア」をご紹介しましょう。
400本2キロメートルに及ぶ桜のトンネルは、「国の名勝」に指定されています。武家屋敷通りの162本が「国の天然記念物」に指定されている枝垂れ桜と並び、角館の大看板ですね。

見頃を迎えた檜木内川堤のソメイヨシノを写真でご紹介する際、よく使われるのが横町橋から上流に向かっての画像です。すると右側に位置するソメイヨシノが、川に向かって枝を伸ばす様子がよく分かります。
とても美しい光景なれど、実は植樹方法に誤りがあったための現象なんです。

ソメイヨシノは他の木のジャマになりそうな方向には、枝を伸ばさない習性を持つそうです。そのために植樹する際の樹間は、おおむね10メートル必要です。これだけあれば、隣の木に遠慮することなく枝を伸ばせるというワケですね。

檜木内川のソメイヨシノを植樹した70数年前は、その知識がなかったのでしょう。現場を見れば一目瞭然、10メートルなんかとてもありません。“律儀”な桜たちは、障害物のない川の方向へ一斉に枝を伸ばしました。こうして現在の姿が出来たんですね。

ふと思ったのは、この形を作りたくてわざと樹間を狭くしたとしたら…。いや、桜にとってはストレスでしょうから、そんなことはありませんね。
人の知識不足が生んだ「国の名勝」に、今年も多くの人たちが見惚れることでしょう。
コメント
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