今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡六百円〕
紺基調にエンジの組み合わせは、角館草履の王道とでも言うべき配色と思っています。
紺色の布地が入荷して真っ先に編むのは、いつもエンジとの組み合わせですね。奇をてらわない、セオリー通り、もっと言えば「ベタ」。いい意味でのベタは、収まりが良く心地いいということでしょう。
こちらも日本古来の文化ではベタと言えるでしょうか、縁起物のひとつ「おかめひょっとこ」プリントです。
今朝出勤の途中、大型ダンプカーとすれ違いました。何気にドライバーを見ると、白いタオルをねじって鉢巻きにしています。白タオルの鉢巻きが最もよく似合うのは、間違いなく大型車輌のドライバーですよ。こちらもいい意味で、板に付いたベタでしょう。
気候が良くなって、冬場は訪れなかったお馴染みさんたちのお顔が多くなってきました。町内のお母さんは、『今年の冬もずーっとやってらったの?』。今冬の異常寒波を思い、労いの気持ちから出た言葉ですね。
『寒さにも負けず、ずっとやってらったよ』と笑うと、『ここで草履編んでるのが当たり前になったものなっ』とお母さん。
西宮家の中で、角館の草履職人が草履を編んでいること。そして華やかな草履が並んでいること。次第にそれらが角館のベタになりつつあるのかもしれません。
昨日栃木県宇都宮市の男性から、ご注文フォームによるオーダーを賜りました。メッセージ欄には、『21年夏に、角館で初めて購入してから三足目になります。もう部屋履きには手放せません』。
男性にとって角館草履が、足元のベタになってくれたんですね。作り手としてこんな嬉しい評価はありませんよ。
こちらのオーダー草履は、明日の「今日の草履」でご紹介しましょう。
「ありきたり」や「面白みに欠ける」といった意味で使われる「ベタ」。私はむしろ、「ぴったり当てはまる」「違和感なく心地いい」「これ以上似合うものがない」という意味に使いたいと思っています。