緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

雀蜂巣撤去

2023-08-31 22:41:03 | その他
今日は在宅勤務だったのだが、朝のごみ出しを終え、あばら家の玄関に戻ってきたとき、風呂場の窓にツタがたくさん絡まっているのが目に入ったので、それを取り払っていたら、大きなハチが数匹、眼の前をブンブン飛んでいるのに気が付いた。

一瞬、恐怖におののいたが、そのハチの行方を追うと、何と、ツタが絡まっていた風呂場の窓の脇に、かなり大きなスズメバチの巣があるではないか。
20cmくらいはあるだろうか。
そしてその巣に、大きなスズメバチが数匹ひっついていた。

ウヒャ、ゾっとして身震いした。すると1匹のスズメバチが私の方をめがけて襲ってきたので、急いで家の中に逃げ込んだ。

2か月前にも、反対側のベランダのある側の軒下に10cmほどのスズメバチの巣が出来ていたので、管理会社に来てもらって撤去してもらったばかりであった。
まさか、反対側に、それも玄関のすぐ脇の窓に巣が出来ているとは全く気が付かなかったのである。

9時になってすぐに管理会社に電話して見てもらうようお願いした。
10時頃、玄関を出て恐る恐る写真を撮った。





巣の表面に穴がいくつか開いていて、その穴からスズメバチが出入りしているのが見える。
ウヒャ、ゾッ、ゲッだ。

昼過ぎに来てくれたが、まずは状況確認だった。
管理会社の方が言うには、これほどの大きなスズメバチを撤去するのは今まで3回くらいしかないとのこと。
それでも夕方撤去しに来てくれることになった。

意外に早く、2時半頃に管理会社の方が来てくれて、殺虫剤の大量に散布し、巣を完全に撤去してくれた。30匹くらいいたそうだ。



「料金はいくらですか」と訊いたら、「結構です」と言ってくれた。前回も無料だった。大変ありがたい。
前回の撤去の時は、管理会社に頼む前にネット調べた業者に来てもらって見積もりをとったら4万円だと言われたのでやめた。
まずは管理会社や大家に相談するのがいいと思う。

撤去したあとも、戻りバチがブンブン飛び回っていた。帰る巣が無くなったハチはどこに行くのだろう。
それにしてもゾっとするものを見たものだ。
また巣ができたらやだな。
3日に1回くらいの頻度で家の周りを見回りしないとならないかな。
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NLPによって対人恐怖症は改善されるのか(10)

2023-08-31 21:24:26 | 心理
(前回からの続き)

Ⅱ 勇気を持って人に接する

B.無意識で行っている自己否定と自己否定した自分を守るための強迫的衝動による行動パターン(自動回路)の意識化と解消
A.周囲の人間全てを自分を攻撃する敵と認識し、強化された信念の意識化と解消

これらの苦しみがこれまで述べた方法で解決されてくると、それまで他人に対し閉ざしていた凍った心が少しずつ溶解され、心の最も深いところで眠っていた人と心を通わせたいという、人間全てが根源的に有している感情が湧き上がってくるようになる。

これまで人と接する、人といっしょにいることが苦しくて、何十年も孤独でいることを余儀なくされていた。
何故か。強烈な恐怖と、上記A,Bで述べた潜在意識上での自動回路により絶えず生じていた、怒り、憎しみ、悲しみ、不安、強迫、孤独感などのマイナス感情を力でもって抑え込み、そのうえで人と接しなければならなかったからだ。
これでは人といっしょにいることが楽しめるわけがない。苦痛以外の何物でもないことは何よりも明らかなのだ。別に自慢する意図があるわけではなく、体験者でないと理解出来ない苦しみなのだということだ。

しかし上記A,Bによる苦しみが解消されてくると、人と接する苦しみが和らいでくるので、閉ざした心の僅かな隙間からでも、人の気持ちというものが感じ取れるようになってくる。
厚い、鋼鉄の壁に穴が、最初は小さな穴1つかもしれないが、徐々にその穴が増えたり、拡がっていく感じをイメージすると分かりやすいかもしれない。
これがいい方向に続いてくると、人間の中には案外、いい人、優しい人がいるのではないかという感覚が芽生えてくる。
これまでも、恐怖に支配されていた時に接した人の中でも自分に対して優しい気持ちをかけてくれた人がいたのかもしれないが、周囲の人間全てを自分を攻撃する敵と認識し、それが信念となるまで強化されていたために、その気持ちを悉く撥ねつけていたからだ。厚い鋼鉄製の鎧で全身を覆っているようなものだ。人の話す言葉全てが槍だと感じているのである。
人の言葉を反射的にさえぎるためにシャッターが瞬時に降りるような規制が働くのである。

そして、この鋼鉄製の壁や鎧に開いた穴なり隙間から感じ取ることが出来た、人の優しさが本物であると確信できたとき、かなり大きな変化が心に起きてきたと思っていい。
そのためにも勇気を持って人と関わっていくことが大切だし、重要だ。

私の場合は、20代半ばから50代半ば近くまで仕事以外の人間関係を持つことが出来なかった。仕事は独りで生きていくために必要だと思っていたし、うつ病時代に仕事を干された経験からそれ以後は殆ど休まず勤務してきたが、私生活では人と親しくすることはついに出来なかった。ずっと孤独な生活を送ってきた。
しかし転機が訪れたのは今から約6年前、ある偶然のきっかけで学生時代やっていたマンドリンオーケストラに30数年ぶりで参加したことであった。
これをきっかけに私生活で人と関わる機会が否応にも得られるようになった。
それでも最初はかなり苦痛であったが、徐々にその苦痛も軽減していった。
それは参加した団体にこれまで関わってきた人間とは全く性質の異なる人たちがいたからだ。
彼らと接するうちに、自然に、それまで歪んでいた人に対する認識が矯正されていったといっていい。
そして2020年に参加した心理療法の講習会で、生涯の友と言える2人の方と親しくなることが出来た。
心理療法のセッションでその方々とラインで5時間ぶっとおしで話したことも何度もあった。2時間ほどしか寝ないで職場に向かったことも何度かあった。
それまで5分話すだけでも苦痛だった自分が長時間話せるように変わっていったのである。

前回までの記事で、心を病む原因が対人関係であれば、治せるのも対人関係ということを書いた。これは鉄則だと思う。
技術的手法では決して人の心は変えることは出来ないということなのだ。
案外、プロの心理療法家ではなく、普通の人の方が閉ざした心を開くことができるのではないかと思ったほどである。
人の心に変化をもたらすのは本物の気持ち、本物の感情でしか無いということなのだ。

(次回に続く)
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NLPによって対人恐怖症は改善されるのか(9)

2023-08-30 22:15:15 | 心理
(前回からの続き)

対人恐怖の解決のためのアプローチとして以下の2つの側面と解決方法があることを以前記事にした。

A.全ての人間を敵と認識し、それを信念としたことによる恐怖の解決に向けて
B. 自己否定と強迫的衝動を原因とする恐怖の解決に向けて

そしてBについては、以下の3つのテーマについて、自分の体験から解決方法を考察してきた。

Ⅰ 今の心の状態のモニタリング、恐怖を感じるようになったプロセスと原因の考察
Ⅱ 恐怖感情の肯定 過去から現在までの生き様の肯定
Ⅲ 自分を攻撃した人間の正体(現実の姿)の理解

Bについての考察で重要なポイントとして、無意識に発動している「自己否定」と「自己否定した自分を防衛するための強迫的衝動による行動」に気が付き、意識化することが、対人恐怖を解消していくためにまず何よりも重要であることを挙げてきた。
しかし意識化出来たからといっても、これらのパターンは固定化した自動回路のように強固に潜在意識に刷り込まれ定着しているため、パターンを停止あるいは破壊していくことは容易ではなく、長い年月を要することも述べた。
やむを得ない理由があったにしても、自己否定という受け止め方を選択し、信念になるまで定着させたのは他ならぬ自分自身なのである。
したがって、この自己否定という受け止め方をやめることが出来るのもの自分自身であると捉えたい。
自己否定を止めることが出来れば、自然に、自己肯定の感情が芽生え始め、それが少しずつ育ってくる。逆はありえない。
しかし自己否定していることに気が付かず、自己否定し続けている状態でいくら自己肯定を意識的に試みても上手くいかない。
NLP、ポジティブシンキング、アファメーション、引き寄せの法則、思考の現実化など、ひと昔前に注目された方法があるが、この方法を何万回やっても上手くいかないのはこの理由があるからである。


A.全ての人間を敵と認識し、それを信念としたことによる恐怖の解決に向けて

Ⅰ 周囲の人間環境に対する認識と防衛反応の意識化

対人恐怖の解決のためには、Bの「自己否定と強迫的衝動を原因とする恐怖の解決」の他に、Aの「全ての人間を敵と認識し、それを信念としたことによる恐怖の解決」も必要となるが、この解決のためにはまずBの方がある程度解決してからでないと上手くいかない。

全ての人間を敵と認識し、それが信念となるまで強固に定着するに至るまでには、人生のプロセスにおいて、家庭、学校、職場などの逃げ場の無い閉鎖的環境において、長期間、周囲の人間から精神的攻撃を受けた可能性が高い。それもスケープゴートという立場に追い込まれるという形が多い。
人間全てが敵で、ありのままの自分のままでいることは常に危険だ、攻撃されないように常に身構え、攻撃されないための防衛行動を強迫的にするようになる。
これはある意味、自然な反応、行動と言える。人間で無くても動物であっても同じような反応が出るだろう。
やっかいなのは、後年、このような環境を抜け出した後でも、周囲を常に敵と感じ、自分は周囲の人間に受け入れないばかりでなく、攻撃のターゲットとされると感じてしまうことである。
どんな環境であっても、以前に体験した環境と同じと認識し、その環境で自分を防衛するために反射的に身に付けた行動パターンが無意識的に再現される。
そのため、この周囲の人間環境(全世界と言ってもいいかもしれない)に対する認識を変えることは容易でない。
相手が何気なく言った、全く悪意のない単なる指摘を攻撃である認識し、相手への敵意と防衛反応が無意識的に発動される。
過去に愛されないで育った人が、大人になって環境が変わっても、一生、周囲の人間に心を開くことが出来ずに不幸な人生で終わる人が多いのは、この「認識」が容易なことで変化しないことを示している。

しかしこの周囲の人間環境に対する認識を変えることは不可能ではない。
であればどうやって変えることが出来るのか。
まず、Bの自己否定を無意識で行っていることの意識化の作業と同じように、周囲の人間環境に対する認識(=全ての人間が敵と感じる)と反応を、絶え間ない日々の自己観察と過去の内観により意識化し浮き彫りにする必要がある。
この作業は大変長い時間がかかる。認識や反応が強固に定着していればいいる程、長い年月が必要となるだろう。
しかし意識化することが出来れば、その認識を恐怖を起こさせない認識に変えることができる。
「ああ、この人は私を責めている、馬鹿にしている、見下している、軽んじている、と瞬時に感じたけど、その感じ方は過去の不幸な体験で身に付けた認識が無意識的、反射的に反応して出たのだな、相手は単に深い意図もなくただ感じたことをしゃべっているに過ぎないのだ」ということが体感的に分かってくる。
そして、後年、あの時の自分はずいぶんと人に対し防衛的になって、相手が攻撃してくると恐れてあんな言動を取っていたんだな、と振り返ることが出来るようになる。

この作業も自己否定からの脱却と同様大変な時間を要するであろう。
根気よく、忍耐強く、一つ一つやっていかなければならないが、それ以上、回復のための速度が速まることはないであろう。
1週間、1か月、1年などという短期間で認識や防衛反応を変えることはまず不可能である。

(次回に続く)
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NLPによって対人恐怖症は改善されるのか(8)

2023-08-29 23:12:36 | 心理
(前回からの続き)

B. 自己否定と強迫的衝動を原因とする恐怖の解決に向けて

Ⅲ 自分を攻撃した人間の正体(現実の姿)の理解

自己否定の構えが定着した背景として、人生の過程において、次のような人物と関わったことがなかったか、思い出してみる。

・人間であれば誰もがするようなミス、間違い、失敗など、些細なことを指摘し、正義、正論、理屈を持って、言われている側が「自分が悪いから責められるんだ」と受け止めて、心にダメージを受けるまで責めるような人。

・悪意のある皮肉のように、他人への攻撃をオブラートに包み、遠まわしに言うなど、相手に真意を気付かれないないようにして、確実に相手を傷つけにいく人。

・相手に罪悪感を抱かせ、自分の未熟さを原因とする問題を巧妙に相手の責任にすり替えるような人物。

自己否定に支配されているとき、人間の本当の姿に対しては盲目になっている。
相手の言う言葉の裏にある感情を感じ取ることが出来なくなっているのである。対人恐怖と、心に抑圧されたマイナス感情の苦しさに支配されている状態では、相手の現実の姿を見ることが出来ない。

このような状態になっている時、最も注意しなければならない人物が先に記載したような人物である。
このような人物と深くかかわると確実に心に大きなダメージを受ける。何故ならばこのような人物は、自己否定の強い、自責の念の強い人を選んで攻撃するからである。

このような人物とは、心が深く病んだ人たちなのである。
このような人たちも過去の不幸な人間関係で深く傷つき、自己否定している。
自己否定することで絶えず生じる、怒り、憎しみなどの悪感情のはけ口として、最も安全なターゲットを選んで、最も安全な方法で悪感情の解放を実行する。

彼らは基本的には、自己否定がエスカレートしてうつ病になる人と同じ心の問題を抱えている。
両者の違いは、うつ病になるような人が、怒りや憎しみを自分自身に対し向けるのに対し、人を傷つける人はそれらの感情を他人に向けて解決する点にある。
うつ病になる人は、他人を傷つけることは出来ない、他人が傷つくと心が痛むという良心があったから苦しい感情を溜め込み、自分を犠牲にしたのである。
人を傷つけて悪感情を解消する人は良心というものを捨てた人たちなのである。人を傷つけても何の罪悪感も感じなくなった人たちなのである。

パワハラ、モラハラ、いじめ、虐待、DV、ネットでの中傷などは、攻撃する相手にも、見ている周囲に人にも真意が気付かれないように行われる。
これが彼らの正体である。
狙った獲物は巧妙かつ確実にとらえるのが彼らのやり方である。

しかし自己否定から回復してくると、このような人たちが手に取るように見えてくるようになる。何故ならば、彼らも自分と同じ苦しみを抱えていることが同じ体験者として分かるからだ。
そしてだからこそ、彼らから攻撃されても反撃できるようになれるし、彼らの最も恐れているものも指摘することが出来るようになる。
そして後で、こんな情けない人物から攻撃されていただけだったのだ、ということが体感として分かる時が来る。

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NLPで対人恐怖症は改善されるのか(7)

2023-08-27 23:02:30 | 心理
B. 自己否定と強迫的衝動を原因とする恐怖の解決に向けて

Ⅱ 恐怖感情の肯定 過去から現在までの生き様の肯定

(前回からの続き)

無意識で「自己否定」していることに気が付くことの重要性について改めて考えてみたい。
この、無意識で「自己否定」していることに心底気が付かなければ、どんな心理療法を数多く受けても、改善すべく行動を繰り返しても対人恐怖は改善しない、と私は自分の体験から考えている。

逆にこの無意識の自己否定の「自動回路」に気が付くことが出来たならば、改善を意図した意識的、強制的な行動をしなくても、本来の人間が根源的に備え、持っている矯正作用が自然に働いていくと思ってよいだろう。

私は潜在意識で絶えず発動している自己否定の「自動回路」に気が付いた(意識化できた)ことで、流れが大きく変わった。180度変わったといっていいかもしれない。
自己否定が心に及ぼす影響が理解出来れば、自動回路を停止させることが出来る。
自己否定の自動回路こそが絶え間ない苦しみを生み出していたからだ。
行動を起こす前にまず第一にこのことに気付くことが絶対に必要だ。

このことに気が付かず改善のための行動を取ると、無意識のうちに自己否定の自動回路に従った選択と行動をとってしまい、苦しみが強化されることはあっても改善することは無い。経済的にも時間的にも大きな損失を被りかねない。
さまざまな心理療法を渡り歩くというのも、このことが原因ではないかと思う。

そのためには前回までの記事に書いたように、日々の絶え間ない、自己観察と内観が必要となる。
ただ自己否定の「自動回路」に気が付くことができたとしても、それを破壊するためには長い年月が必要となるということだ。
たった1日で取れるというものではない。
薄紙を1枚、1枚、丁寧にゆっくりと剥がしていくという作業が必要となる。
じっと忍耐するしかない。きっとこれで良くなっていく、必ず長く暗いトンネルを抜け出すことを信じて!。
しかしこのプロセスを経ることにより、自分の苦しみが後戻りすることなく、確実に前進していくことが出来る、という実感を感じ取ることが出来る。
長い階段をゆっくりと一段、一段ずつ登っていくけど、引き返すことはない、という感覚に近い。ゆっくりとした速度だけど確実に前進しているので、将来に希望を持つことが出来るからである。

あと重要なことは、感情はその人の本質とは関係ない、ということである。
つまり、「恐怖」、「怒り」、「憎しみ」などのマイナス感情があったとしても、根源的な意味において、その感情とその人の人格とは無関係ということだ。
「恐怖」があるから自分に対し、良い、悪いなどの評価を下すことは無意味ということだ。
そのことについてもう少し考えてみたい。

「恐怖」などの感情は、過去の体験で得た記憶情報、すなわち過去に恐怖感情が起きた体験に対して自ら判断し選択した「解釈」、「受け止め」、「観念」、「価値観」などにより、今目の前で起きている出来事や状況に対して反応して起こっているもの、と言える。
すなわち恐怖感情発生の契機となっている、これらの「解釈」、「受け止め」、「観念」、「価値観」などは常に変化するものであり、その人の根源的な本質ではないということなのだ。
仮にある体験に対し、「自己否定」という「解釈」、「受け止め」を選択し、それを「価値観」、「観念」としたならば、その後その体験と同じ体験をするたびに、潜在意識に刷り込まれたこれらの情報により「恐怖感情」が起きてくるのである。
恐怖感情自体がおかしいものでもないし、問題ではない。
むしろ、体験に対して不適切な「解釈」、「受け止め」、「観念」、「価値観」をリンクさせ、強化し、定着化たことが問題なのである。

そのため、昔からこの恐怖感情発生の基となっている、不適切な「自己否定」の受け止めや観念を適切な、恐怖を起こさせないものに変換することが心理療法で行われてきた。
伝統的なロジャース派による心理療法(対談者中心療法)においても、来談者(クライアント)の過去の記憶体験に遡り、カウンセリング技術により、来談者にこの「苦しみ」の元になった体験とそのときにとらざるを得なかった、「受け止め」、「自分への評価」、そしてそれらが「価値観」や「信念」にいたるまで定着した事実を意識化し、気付きを与えることで、来談者自らがこの不適切な感じ方を矯正できるように働きかけることを目的として行われていたと考えられる。

しかしこの方法は非常に長い年月と時間を要し、来談者自身が苦しみの原因となっている無意識の「自己否定」に気付くことが出来なければ、成功しない。そのため、1990年代後半頃から、なかなか改善しない来談者中心療法に不満を持つ人の受け皿として、短期解決を謳い、問題に対するアプローチや解決方法に具体性のある方法が現れ始めるようになった。

対人恐怖症の解決に対して、伝統的なロジャース派による心理療法(対談者中心療法)が困難であることが分かり始めてから、NLPの他、TFT(思考場療法)、認知行動療法、インナーチャイルドによる癒し、催眠イメージ療法、観念浄化など、従来のカウンセリングといった単純な対話といったやり方ではなく、具体的な作用をを用いる方法が広まるようになってきた。1990年代後半頃のことである。

TFTは別として、これらの療法のねらいは結局、先に述べたように苦しみの感情の基になっている(苦しい感情とリンクしている)、過去の体験を契機として定着化させた不適切と言える自己否定の観念を変化させることにあると言える。
イメージや行動で観念を浄化したり、上書き、書き換えしたりする方法である。
私はこれらの療法も全て試したが、その時は「自己否定」の自動回路が固く定着していることに完全に気が付くことの出来ない頃だったので、何度実行しても効果が得られなかった。
実際、これらの療法は短期間での解決を謳っているので、浄化や記憶の上書きといった手法が強調され、潜在意識に根付いた自己否定に焦点を当て、この自己否定の構えこそが苦しみの元凶であることを気付かせることに対しては重点を置いていない。
だから気付いていないのにワークをやるから何度繰り返しても効果が出ないのも当然と言える。
仮に気が付くことが出来たとしてもその自己否定の構えや自動回路を変えていくことが並大抵のことではないことはすでに述べた通りである。
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